Microsoftが表計算ソフト「Excel」上でPythonを動作させることを可能にすると発表しました。Microsoft 365 Insider Programを通して使用できるベータ版のExcelで既にPythonが利用可能になっています。

Announcing Python in Excel

https://techcommunity.microsoft.com/t5/excel-blog/announcing-python-in-excel-combining-the-power-of-python-and-the/ba-p/3893439

新たに導入される「PY」関数を使用すると、セルに直接Pythonのスクリプトを書き込むことができ、書き込まれたスクリプトがMicrosoft Cloud上で実行されてシートに結果が表示されます。サーバーで実行されるPythonにはデータ分析用のライブラリがインストール済みとなっており、下図のように一瞬でデータフレームを作成可能。



Matplotlibやseabornなどのグラフ作成ライブラリもインストールされているため、下図のようにさまざまなグラフを作成することが可能です。



また、scikit-learnやstatsmodelsというライブラリを活用して時系列モデリングや回帰分析での予測のほか、機械学習を行う事も可能とのこと。



そのほか、欠損値を特定したり、形式を標準化したり、重複を削除したり、正規表現でパターンベースの変換をしたりするなどのデータクリーニングを簡単に行う事ができます。



Excelに入力されたPythonのコードがクラウド上で実行されるということで、セキュリティには万全の注意が払われており、各Excelファイルごとに隔離されたコンテナーでPythonが実行されるとのこと。また、Pythonの実行環境はAnacondaの協力で安全に構築されていると述べられています。

Pythonが使用されているExcelファイルでも、従来通り複数人で共同編集したり、コメントを付けたり、メンションしたりすることができます。機密ラベルの付いたExcelファイルにPythonを導入した場合でも、組織の情報保護ポリシーに準拠した状態が保たれたままになるとのこと。



記事作成時点では、Python実行機能はMicrosoft 365のライセンスを所有している人であれば誰でも参加可能なMicrosoft 365 Insider Programを通して配布されるベータ版のExcelにて利用可能です。今後さらなる調整を重ねた後で一般公開する予定とのこと。また、アプリ内のフィードバック機能やフィードバックフォーラム、GitHubリポジトリを通じてフィードバックを行って欲しいと述べられています。