Microsoftはこれまで、オフィススイートソフト「Microsoft 365(旧Office 365)」を導入する際にビジネス向けメッセージングツール「Microsoft Teams」を自動インストールさせる抱き合わせ販売を行ってきました。しかし、OfficeとTemasの抱き合わせ販売方式について、EUの執行機関である欧州委員会が独占禁止法違反に関する正式な調査を開始したことを発表しました。

Commission opens investigation of practices by Microsoft

https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_23_3991







EU opens antitrust probe into Microsoft bundling of Teams app

https://www.cnbc.com/2023/07/27/eu-opens-antitrust-probe-into-microsoft-bundling-of-teams-app.html

Microsoft Teams + Office bundle leads to official EU antitrust probe | Ars Technica

https://arstechnica.com/tech-policy/2023/07/microsoft-teams-office-bundle-leads-to-official-eu-antitrust-probe/

欧州委員会は「ビジネス顧客向けに確立されたクラウドベースのサービスであるOffice 365やMicrosoft 365にTeamsを組み込むことは、欧州経済領域(EEA)における通信およびコラボレーション製品の競争を制限することにつながっており、Microsoftは業務用ソフトウェア市場での地位を不正に高めている可能性があると懸念しています」と述べています。

欧州委員会の競争担当コミッショナーである、マルグレーテ・ヴェスタガー氏は「Teamsのようなリモートコミュニケーションおよびコラボレーションツールは、ヨーロッパの多くの企業で不可欠な存在になっています。したがって、これらの製品市場は競争力を維持しつつ、企業が自社のニーズに合った製品を自由に選択できる市場が形成される必要があります」と述べ「これが、MicrosoftがOfficeとTeamsの抱き合わせ販売がEUの独占禁止法に違反している可能性があるかどうかについて調査を行う理由です」と説明しています。



欧州委員会によるMicrosoftの調査は、2020年にTeamsと競合するビジネス向けメッセージングツールを提供するSlackからの苦情申し入れがあったことに端を発します。Slackは当時「私たちはEUに中立的な審判として、独占禁止法違反の事実を検証して、法律を執行するように求めていました」と語っています。また、「MicrosoftがOfficeを導入した企業にTeamsのインストールを強制し、その削除をブロックしているようです」と主張していました。

一方で、Microsoftは2023年4月にOfficeとTeamsの抱き合わせ販売を廃止する可能性が報じられており、その際、イギリス経済紙のFinancial Timesは「今回のMicrosoftの動きは、約10年ぶりとなる独占禁止法違反調査を回避しようとする企業努力の一環であり、過去に禍根を残した欧州委員会との法廷闘争を避けようとしたものです」と述べていました。

MicrosoftがOfficeとTeamsの抱き合わせ販売を廃止する可能性、Slackからの苦情でEUが独禁法違反調査をしようとしたため - GIGAZINE



欧州委員会による調査の結果、OfficeとTeamsの抱き合わせ販売が独占禁止法に違反していると報告された場合、Microsoftは世界での年間総売上高の最大10%の罰金が科される可能性があります。

Microsoftの広報担当者は「我々はこの件に関する欧州委員会の取り組みを尊重しており、責任を非常に真剣に受け止めています。独占禁止法違反の懸念に対処する解決策を見つけ出すまで、引き続きMicrosoftは欧州委員会と協力していきます」と述べています。