季節のサイクル、エルニーニョ現象、地球温暖化の三重苦により、2023年7月4日における地球の平均気温が17.18度に達し、記録が始まった1979年以来で最も暑い日となっていたことがわかりました。気象学者は、科学的な分析により得られたデータから、過去12万5000年間の中でも飛び抜けて暑い日だったと推測しており、迅速に気候変動を食い止めなければ今後も記録が塗り替えられ続けるだろうと指摘しています。

Climate Reanalyzer

https://climatereanalyzer.org/clim/t2_daily/

This July 4 was Earth's hottest day since records began, scientists say - The Washington Post

https://www.washingtonpost.com/climate-environment/2023/07/05/hottest-day-ever-recorded/

以下は、アメリカ国立環境予測センターのデータを元にメイン大学気候変動研究所が作成した、気温の推移を表すグラフです。2023年7月3日には世界の平均気温が17.01度を記録して過去最高となりましたが、それからたった1日で記録が更新されました。



イギリス・グランサム研究所の気候科学者であるパウロ・チェッピ氏によると、この気温は気象観測所、船舶、海洋ブイ、人工衛星などから集められたデータを使用して導き出されたものとのこと。チェッピ氏はその精度について「これは地球各地の地表温度が何度だったかについて我々が知ることができる、最良の推測値です」と述べています。

具体的な温度の分布を色分けすると以下のようになります。7月に入り、アメリカでは5700万人が危険な暑さにさらされ、中国の首都・北京では気温が35度を超える猛烈な熱波が連日発生し、北アフリカでは気温が50度を超えました。



チェッピ氏は樹木の年輪や氷床コアの解析から有史以前の気温の推移を推測しており、「これらのデータは、少なくとも12万5000年前の間氷期以来、これほど地球が暖かい時はなかったことを物語っています」と話しています。

炭素の排出を食い止める対抗策がとられない限り、気温は今後も上昇していくだろうと専門家は考えています。イギリス・オックスフォード大学のマイルズ・アレン氏は「最も暑い日は地球温暖化、エルニーニョ現象、年間サイクルのすべてがそろうときです。地球は10年で0.25度ずつ温暖化しているので、今回の記録は単発的なものではなく、今後も継続的に更新されていくでしょう」と話しました。

フランスのパリで2015年に採択されたパリ協定では、世界の平均気温の上昇を「産業革命前から1.5度未満」に抑えるという目標が掲げられましたが、世界気象機関は2023年5月に、2027年までにこの基準をオーバーしてしまう可能性があると警告しました。

2027年までに記録的猛暑で観測史上初の「気温が産業革命前から1.5度上昇」が起きると世界気象機関が警告 - GIGAZINE



基準を一時的にオーバーしてしまったからといって、気候変動が完全に回避できなくなるというわけではありませんが、この基準を上回ると熱波や飢餓、感染症といった気候変動による災害が人類の手に負えなくなるほど激化する危険性が高まります。

特に、2023年は4年ぶりにエルニーニョ現象が発生しているため、記録的な暑さに見舞われる日が多くなることが想定されています。チェッピ氏は「今後、温室効果ガスの排出を正味ゼロにするための迅速な行動を取らない限り、温暖化は続き、気温の記録はますます頻繁に更新されるでしょう」と警鐘を鳴らしました。