ニチレイレディスで優勝した山下美夢有【写真:Getty Images】

写真拡大

ニチレイレディス最終日

 女子ゴルフの国内ツアー・ニチレイレディス最終日が18日、千葉・袖ヶ浦CC新袖C(6621ヤード、パー72)で行われた。首位で出た山下美夢有(加賀電子)が3バーディー、ボギーなしの通算17アンダーで今季4勝目をマークした。ツアー通算10勝目は、3日間首位を譲らない完全優勝。その裏に、ボランティアやコースにまで感謝を忘れない礼儀正しい振る舞いがあった。(文=THE ANSWER編集部・宮内 宏哉)

 ◇ ◇ ◇

 3日間で叩いたボギーはたった1つ。抜群の安定感で優勝した山下は、初日から18ホールを回り終えると感謝を体で示していた。

 まずは同伴競技者と握手やハグで称え合い、去る前にコースへ向かって一礼。そして、スコアボードを掲げて回ってくれたボランティアらに「ありがとうございました」と直接伝え、笑顔で握手を交わしていく。

 一連のシーンは日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)公式インスタグラムでも動画で紹介され、その礼儀正しさがファンの注目を集めていた。山下に聞くと、少なくとも大阪桐蔭高時代からやっていることだという。

「やっぱり(コースを)使わせてもらってるっていう思いがあるので『ありがとうございました』っていうのはやってますね。ボランティアの皆さんにも、やっぱりこの暑い中18ホールついて回ってくれて、っていう思いでやってます」

 この行動は誰かに教わったわけではない。ただ、ゴルファーとしての礼儀、マナーを教えてくれたのは父・勝臣(まさおみ)コーチと、母・有貴さんだった。

「一番怒られた」ジュニア時代の思い出は

「一番怒られた」と振り返る思い出はジュニア時代。ミスショットの後、態度に出してハウスキャディーに当たってしまった。父の雷が落ち、まだ未熟だった少女は涙した。

 反抗期はあったが、口を利かなくなることはなかった。ムッとすることを言われても「よう考えたら、私がやっていることがアカンな」。そう思える言葉をかけ続けてくれた。

「ゴルフでプロになって、1人で出来るスポーツじゃないと感じますし、いろいろな方に支えられないとできないスポーツ。家族の支えとかたくさんの方がサポートしてくれて、いま私が強くなれているなと感じます」

 父は昔から、夜遅くまで仕事をしていても必ず練習に付いてきてくれた。時には午前0時近くになることも。「父がいなければ私もここまで成長できていない」。技術も礼儀も教え込んでくれた父には、言葉にしきれない感謝がある。優勝スピーチでの涙は、父の日の勝利に誰より強い気持ちがあった証拠だった。

 今後は海外メジャーの全米女子オープン、エビアン選手権、AIG全英女子オープンに出場予定。「出るからにはしっかり優勝争いできるように。まずは予選突破して、自分らしいゴルフで頑張りたい」。実力も振る舞いも日本を代表する年間女王。例え海外でも、結果で感謝を示す。

(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)