日本全国に4万2000台余りある警察車両。パトカーや白バイはいくらぐらいで調達されているのでしょうか。さらには日本に2台しかない激レア特殊車両についても価格を調べてみました。

トヨタ「クラウン」パトカーの値段は?

 日本には警察用車両としてパトカー、白バイなど合わせて4万2000台あまりが整備されています。

 それらは用途に合わせて、よく見かける白黒ツートンの一般的なものから、白一色のもの、機動隊向けの青白のもの、見た目が一般車とほとんど変わらない、いわゆる覆面パトカー、さらに大規模事案でないと出動することのない特殊車両までさまざまです。

 これら警察車両は、1台あたりいくらぐらいなのでしょうか。そこでパトカーや白バイ、さらには激レア警察車両について価格を調べてみました。


トヨタ「クラウン」がベースの無線警ら車。いわゆる白黒パトカー(乗りものニュース編集部撮影)。

 そもそもパトカーの調達方法は、大別すると警察庁(国費)で調達したものと各都道府県(地方自治体)が独自に調達したいわゆる“県費モノ”、そして寄贈の3つに分けられます。そのうち寄贈は特殊なケースで台数もごく少数に限られるため、基本的には国費調達、もしくは自治体調達になります。

 国費調達というのは文字どおり国費、すなわち国税によって調達されるもので、国の行政機関である警察庁が一括で大量購入し、全国の都道府県警察に必要台数に応じて少しずつ振り分けます。対して自治体調達というのは、都道府県が必要と認めたときに独自に調達するものです。こちらは各自治体がバラバラに調達するため、個々の調達数は少ないものの、日産「スカイライン」やトヨタ「マークX」のように独自車種が入るのが特徴です。

 トヨタ「クラウン」の場合は、いずれの方法でもパトカーとして導入された実績がありますが、最も数が多いのは国費で調達された車体です。

 2019年の調達情報によると、この年に国費導入された「無線警ら車」は総額13億6522万6920円で、調達台数は454台でした。単純計算では1台あたり300万7100円で導入していることになります。

 なお、入札はトヨタ1社のみが応じたため、車種についてはクラウンと考えられます。

白バイっていくら?

 では、白バイはどうでしょうか。

 白バイで圧倒的なシェアを誇るのが、ホンダのCB1300Pです。全国47都道府県の警察本部に納入されており、前出のクラウンパトカーと同様、2019年も国費調達されています。

 公開されている調達情報によると、2019年3月に落札された白バイは総額3億3242万4000円で、調達台数は228台でした。ここから計算すると、1台あたりの単価は145万8000円です。

 こちらも無線警ら車と同じく車種は明記されていませんが、落札者はホンダとなっているため、CB1300Pになります。


ホンダ「CB1300P」の白バイ(乗りものニュース編集部撮影)。

 なお、高額な警察車両としてはどのようなものがあるのか調べてみたところ、同じ年に調達されている特殊車両「常駐警備車」を見つけました。

 常駐警備車は重要防護施設の常駐警備で用いるための車両で、各都道府県警察の機動隊などに配備されています。万一の際にバリケードの役割を担えるよう、壁のような背の高い形状をしています。側面は足をかけてよじ登ったりできないよう突起物やへこみがほぼなく、壊れやすい赤色灯は埋め込み式で、フロントガラスなどは装甲板で覆えるようになっています。なお、不整地走破性は重視されていません。

 2019年6月に常駐警備車を落札していたのはヤナセテックで、総額1億4234万円、調達台数は5台。これを計算すると、1台あたり2846万8000円でした。

 これより高い警察車両というと、どんなものがあるでしょうか。

東京と福島にしかない激レア警察車両

 警察車両の中で最も高額と思われるもの、それは全国に2台しかない激レア車両「放射線防護車」でしょう。

 放射線防護車は警視庁と福島県警に1台ずつしかありません。その名の通り、放射線を遮断できる特殊車両で、2011年3月に起きた福島第一原子力発電所の事故を受け警察庁が国費で導入、2013年春に納入・配備されました。

 車体サイズは全長約10m、重さ約22tありますが、これは放射線を遮れるよう車体や窓ガラスには鉛を含む素材を使用し、車内の気圧を外部より高めて放射性物質の流入を防ぐ構造となっているからです。また周辺の放射線量も測定できるよう、相応の機材も搭載しています。


警視庁の常駐警備車。これが連なるとまさに壁のよう(乗りものニュース編集部撮影)。

 価格は1台約1億5000万円と高額ですが、原子力発電所が大規模災害やテロなどで被害を受け、放射性物質が拡散すると大変なため、そういったことに対処できる唯一の車両として考えると妥当なのかもしれません。

 消防用の大型はしご車が1〜2億円程度することを鑑みると、同じく万一に備えた車両といえるでしょう。

 ほかにも警察には、防弾仕様の警護車や「ウニモグ」ベースの高性能救助車などあります。これら緊急車両がどのような役割を担っているのか考えると、新たな発見があるかもしれません。