「社員の時給が高い会社」ランキング

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「時間当たりの収入が高い企業」をランキング(写真:mits/PIXTA)

上場企業など大手・有名企業の社員の収入を時給換算するといくらになるのか。今回は『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2023年版掲載の平均年収を年間総労働時間で割った各社の「計算時給」を算出、上位100社をランキングした。「時間当たりの収入が高い企業」をご紹介する。

1位のヒューリックは計算時給7950.3円

ランキング1位は不動産業のヒューリックで7950.3円。2021年度の平均年収は1803.2万円で総労働時間2268.2時間。月の残業時間は42.2時間と多めだが、有給休暇取得率は81.5%とオンオフをはっきりとし高い収入で報いている。小学校3年生までの1日最大2時間の勤務時間短縮や月5万円まで支給される学童クラブ利用補助といった子育て関連制度も充実している。

2位は総合商社の三菱商事で7784.8円。平均年収は1558.9万円で総労働時間は2002.5時間。フレックスタイム、短時間勤務、時差勤務、勤務間インターバルなど柔軟な働き方を実現できる制度が充実。男性の育児休業は2021年度で取得率56.5%(108人)と高いレベルにある。

3位も総合商社で三井物産(7495.0円)。平均年収1549.0万円、総労働時間2066.8時間。個人単位の時差出勤制度、時間単位年休、リモートワーク制度などで働き方改革を推進している。

4位伊藤忠商事(7430.6円)は朝型勤務に積極的。5位丸紅(7052.6円)は10時〜16時45分のフレックスタイム制度など総合商社それぞれの働き方改革を進める。

6位はM&A仲介会社のストライクで6835.9円。30歳の月間平均賃金が45万4981円と高レベルにある。以下、7位住友商事6741.8円、8位ケネディクス6735.3円、9位ソフトバンクグループ6731.9円、10位日本オラクル6320.6円と続く。

6000円超えは14位三井不動産6150.7円まで。44位日立製作所5002.8円までが5000円を超えている。上位は大手企業やコンサルティングなどの業種の企業が多い中、各種テスターなど電気測定器の中堅メーカーHIOKIが42位(5033.1円)にランクイン。

HIOKIは長野県上田市が本拠で2022年12月の売上高は343億円と上場企業としては決して大きくはないが、業績好調で従業員に高い報酬を支払う。同社は地域への社会課題解決活動にも積極的でサステナビリティ先進企業としての評価も高い。

物価高で社員の時給も上がるのか


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ランキング対象892社の計算時給の平均値は3543.0円。昨年の841社の平均値3551.4円から若干低下した。

国税庁「令和3年分民間給与実態統計調査」によると2021年の正規雇用の平均給与(年収)は508.4万円。年間総労働時間を上記892社の平均労働時間1974.0時間で計算すると時給は2575円。今回のランキング対象の平均値とは1000円近い差があり、依然上場企業の賃金レベルが高いことがわかる。

物価高が続き国内の賃金は上昇傾向にある。上場企業の社員の時給も上がっていくのか。今月開始で秋にまとまる予定のCSR調査の結果に注目だ。



(岸本 吉浩 : 東洋経済 記者)