優勝を決めてギャラリーの声援に笑顔で応える山下美夢有【写真:Getty Images】

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国内ツアー・ブリヂストンレディスで通算8勝目

 女子ゴルフの国内ツアー・ブリヂストンレディスは21日、愛知・中京GC石野C(6573ヤード、パー71)で最終日が行われた。首位で出た昨季の年間女王・山下美夢有(加賀電子)が6バーディー、ボギーなしの65で回り、通算18アンダーでツアー通算8勝目を挙げた。2位に7打差をつけての圧勝。父・勝臣(まさおみ)コーチ、母・有貴さんも現地で見届け、娘の戦いぶりを喜んだ。

 独走で迎えた最終18番。決めればバーディーのウイニングパットを外した山下は、一呼吸おいて笑顔を作った。「カッコよく入れたかったんですけど、外してしまって……」。固唾を呑んで見守ったギャラリーも山下の表情で緊張からほどかれ、グリーン周りは微笑ましい雰囲気に。穏やかな表情を浮かべた両親の姿もそこにはあった。

 前週のRKB×三井松島レディスでは岩井明愛、千怜の双子姉妹とプレーオフを戦い、惜しくも千怜に敗れた。当日は母の日。「自分ができるのは恩返し。悔しかった」の思いもあり、取材対応では涙も見せた。その帰り道、有貴さんから「よく頑張ったね」と言ってもらえて気持ちが晴れた。プロテスト合格後の1年ほどは苦手だったという切り替えも、「失敗をどう次に活かすか」の思考法が身についた今では武器の一つになっている。

 母の日にはオレンジやピンクの色とりどりの花束をプレゼント。「誕生日にはネックレスをくれたんです」と喜ぶ有貴さんへ、1週間遅れを取り返して余りある“母の日ギフト”の優勝となった。これまで父の日にもプレゼントは渡しているものの、「成績があまり……今年は父の日も頑張ろうって言ってます」と母は笑った。

「やっと自分らしいプレーができた」と優勝会見で喜びを語った娘のプレーを、父の勝臣コーチも「リズムはかなり良くなっている。雨の中でもいいゴルフしていた」と称えた。メルセデス・ランキング、賞金ランキングともに首位となった21歳。6月16日開幕のニチレイレディスで、今度は最高の“父の日ギフト”を贈っても不思議ではない。

(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)