神戸空港が熱狂!「エアバスの激レア飛行機」1年半ぶり飛来の目的は 「まだまだ働けます!」
神戸空港に5月10日、胴体上部が大きく膨らんだルックスを特徴とするユニークな航空機、エアバスの「ベルーガST」が飛来しました。当日の空港はまさに、“祭り”の様相でした。
早朝から人で埋まる空港デッキ
神戸空港に2023年5月10日、胴体上部が大きく膨らんだルックスを特徴とする、ヨーロッパの航空機メーカー、エアバスの貨物機「ベルーガST」が飛来。同空港への飛来は2021年12月以来で、約1年半ぶりのことです。これに多くの航空ファンが詰めかけました。
神戸空港に飛来した「ベルーガST」(2023年5月10日、乗りものニュース編集部撮影)。
「ベルーガST」は旅客機「A300-600」をベースとし、おもにエアバス製航空機のパーツを輸送する目的で作られました。特徴的なルックスは、翼などの長尺の荷物を運ぶため。最大で幅7.1m、高さ6.7mの大型貨物を積載できます。名称の「ベルーガ」は「シロイルカ」を意味し、このユニークな外観が由来です。
今回の神戸空港への飛来は、海上保安庁むけのエアバス製ヘリコプター「H225」を2機輸送するため。神戸空港にはエアバス・ヘリコプターの事業所があるため、ここで装備品などが装着され、顧客へ納入されます。
「ベルーガST」は、後継機「ベルーガXL」の導入にともなって、当初の製造理由である航空機用パーツ輸送の業務から退いています。しかしエアバスは「ベルーガST」を一般顧客へむけた大型貨物の空輸サービスの担当機として活かす事業を2022年から展開しており、今回の輸送もこの一環です。この新事業は、同機が「まだまだ働ける」からこそのこと。離着陸回数に相当する「総サイクル数」が、設計限度である3万回に満たない(サービス開始時1.5万サイクルと公開)ことが背景にあります。
今回の輸送フライトでは、6日にフランス・マルセイユを出発したのち、カイロ、ムンバイ、ドバイ、台北などを経由し、10日早朝に台北から関西空港に到着。ここで通関手続きなどが実施されたと見られてます。
神戸空港では当日8時すぎになると、「ベルーガST」からヘリコプターを下ろすための台車がターミナル前の駐機場を通過。前日に同空港を運営する関西エアポートより、空港の到着時間が「10日午前」と告知があったことから、このころには、展望デッキはすでに人で埋め尽くされていました。
空港内は「お祭り」だった!
航空機追跡サイト「フライトレーダー24」によると、「ベルーガST」が関西空港を出発し神戸空港へ向かったのは10日午前9時11分。離陸した同機は西に進路を取りながら最大約1万2000ft(約3660m)まで上昇。神戸空港を通り過ぎ播磨湾上空で大きく旋回し、東に向け進路をとったのち、神戸空港に西側から進入。9時34分に着陸しました。
空港到着後の「ベルーガST」はターミナルの西側で斜めむきに駐機。到着1時間後には、まるで大口を開けるように、膨らんだ胴体上部の最前方にある貨物ドアが開き、ヘリコプター「H225」が出現しました。その後昼頃から、主要パーツの荷降ろしが行われています。
「ベルーガST」飛来日の神戸空港の様子(2023年5月10日、乗りものニュース編集部撮影)。
また、神戸空港のANA(全日空)のカウンター前では、この日限定で、「ベルーガST」の缶バッジやマグネットなどが入ったガチャガチャも設置されるなどの光景も。到着後もデッキや空港外周に、その姿を見るべく、絶えず多くの人が集まる様子が確認できています。
ヘリコプターをとりおろした「ベルーガST」は、10日18時すぎに神戸空港を出発し、ベトナムのダナンへ向かっています。