「牧場の中の新幹線駅」整備へ本格化 「何もない」風景を売りに? 北海道の新八雲駅
建設が進む北海道新幹線の新函館北斗〜札幌間で「異色の新駅」となりそうな「(仮称)新八雲駅」の整備に向けた動きが本格化しています。なんと牧場のなかに駅ができます。
新駅周辺整備計画を深度化へ
建設が進む北海道新幹線の新函館北斗〜札幌間。その中で、「異色の新駅」となりそうな「(仮称)新八雲駅」の整備に向けた動きが本格化しそうです。
北海道新幹線(画像:写真AC)。
鉄道・運輸機構は2023年3月、「北海道新幹線、新八雲(仮称)駅高架橋」の建設工事を発注しました。八雲町も2023年4月、「北海道新幹線新八雲(仮称)駅周辺整備計画策定支援業務」の公募型プロポーザルを公告しており、新駅周辺の整備方針を作成する見通しです。
新八雲駅の計画地は、函館本線の八雲駅の西側から約3km離れた新幹線単独駅となる見込み。駅舎は高架構造を想定しており、八雲町では駅の乗降客数を1日あたり552人(周辺自治体からの利用がない場合は406人)と推計しています。
八雲町が開催した「北海道新幹線新八雲(仮称)駅周辺整備推進会議」の資料によると、駅舎出入口を札幌側に設けるほか、トイレや待合室は改札外に設置する方針。また、新幹線車両からの景観向上を目的に、防音壁の透明化を検討したものの、町の負担が重くなるため困難という方針が示されています。
新駅周辺は農用地で牧歌的な風景が広がっていることから、八雲町では駅のデザインコンセプトを「牧場の中にある駅〜二つの海をもつ八雲の大地にたつ、牧歌的風景に調和したシンプルな駅〜」に決定し、2022年2月に鉄道・運輸機構に提出。機構はこれを基に駅のデザイン素案の検討を進めるとしています。
八雲町では、現状の「何もない」牧歌的な風景を逆手に取り、開発を必要最小限にとどめる土地利用とする方針です。駅周辺では駅前広場や駐車場のほか、「農業の発展に寄与する施設」の整備を視野に入れているようです。今後、新駅周辺整備の方向性の検討が深度化していく見通しですが、開業した暁には新幹線有数の「閑散駅」として注目を集めそうです。