今年で東日本大震災から12年、熊本地震から7年がたちます。「毎年この時季は地震のニュースを見る機会が増え、自然と防災意識が高まり、非常用の備蓄や防災リュックの見直しをするいい機会になっています」と話すのは、熊本地震を経験したライター・松野久美さん。今回は、お子さんが成長して、用意するものや量が変化したという松野さんが考えた「非常用の持ち出しリュック」について教えてもらいました。

子どもの年齢や暮らしの変化で見直した非常用リュック

子どもの成長に合わせて、備えるものをブラッシュアップ。ここでは、被災経験を基にして考えた、非常時に備えたいものをご紹介します。

【写真】準備している防災リュック

●人気おやつはおいしさのほかに便利な機能も

子どもが2歳になり、常備していた離乳食やミルクの代わりに「ビスコ」の保存缶を買いました! 賞味期限が5年6か月と長いうえに、じつは災害時に便利なサービスが備わっているんです。

缶の側面には、被災した人が自分の安否を録音したり、家族や知人がその登録された伝言を聞いたりすることができるサービス「災害用伝言ダイヤル」が記載されています。手順が書いてあるので、初めて利用する人でも簡単に伝言の録音&再生ができますよ。

また、賞味期限をスマホやPCで登録すると、4年前、1年前、3か月など…期限が近づいたらメールで教えてくれる「賞味期限お知らせシステム」というサービスも。「いつの間にか期限がきれていて食べられない…」なんてことも防げ、備品管理が苦手な私はとても助かります。缶にあるQRコードを読み込めば画面に進むので、しまい込む前に登録すればOK!

あけて驚いたのが、個包装のパッケージ。備蓄用のイメージからシンプルなデザインを想定していたので、かわいいハート柄を見て、緊張が続きがちな災害時に笑顔になれる気がしました。ちなみに「ビスコ」は、水のない災害時でも口溶けよく食べることができる工夫がされているんですよ。

おいしく食べながらビタミンやカルシウム、乳酸菌などの栄養分をばっちり摂れる面も、今回買いたした理由のひとつです。

リュックの中身を減らす代わりに、スマホアプリを充実化

被災時に、手を繋ごうとせず走り回る息子を追いかけるには、身軽に動けることが重要。13kgの子どもを抱っこすることになると荷物は軽いほうがいいので、防災リュックは中身を厳選しました。

●厳選したリュックの中身は…

リュックの中身をご紹介すると…

<食糧>

・グリコ保存缶
・水だけで食べられる非常食
・飲料水

<命を守るもの>

・懐中電灯(ラジオ一体型)
・ガムテープとマジック
・マスク
・使い捨てカイロ
・ばんそうこう

災害時は停電して真っ暗になるので灯りは大切。ガムテープは靴や服が破れたときの補修に、メモ代わりに、ケガ部分にタオルを当てて固定するときに、とさまざまな活用法があるので、ペンと一緒に入れておきます。

<快適に過ごすためのもの>

・携帯用トイレ
・小銭
・給水用のペットボトル
・生理用品

小銭は停電によってキャッシュレス決済ができなかったときのために。ペットボトルは給水を受けるときに容器がないと困るので、空っぽのものを1本。

生理用品は吸水ショーツを用意するのもおすすめです。ムレやゴワつきなどの不快感から解放されますし、シャワーできる環境が整っていれば洗って繰り返し使えるので、避難中にナプキンのストックがきれることへの不安も減ります。

息子のオムツ類は、普段のバッグからポーチごと持ち出します。おしりふきやゴミ袋、除菌グッズなどをまとめているので、これだけ持ち出せばOK。

最後に、忘れると困るのがモバイルバッテリー。スマホのフル充電で300〜500回くらいで寿命を迎えるそう。わが家の使用頻度はおそらく100回程度ですが、緊急時に困らないよう新調することも考えています!

●知育系と災害時用アプリをもしもの前にダウンロード

2歳児が避難中、飽きずに静かに過ごせるようにするために知育アプリをゲットしました。

<ワオっち!、あそベビー>

どちらも2歳児の我が子が遊びながら学べる知育アプリ。パズルや迷路などのゲームが充実していて、課金せずにすべて無料で楽しめるところも魅力です。避難場所や避難状況に合わせて利用する予定。

また、災害時は情報が錯綜し、デマに振り回されることもありました。
・情報元の信頼性やスピード
・オフラインで利用できるか
・使い勝手
などを踏まえ、防災向けのアプリを入れ替え。

<特務機関NERV(ネルフ)防災アプリ>

気象庁本庁舎と専用線でダイレクトにつながっているため、テレビの速報より10秒以上早いとか! 地震をはじめ、津波や噴火などさまざまな防災情報を受信できます。

<ゆれくるコール>

緊急地震速報でおなじみのアプリ。防災に役立つ情報を紹介するコラム「+ソナエ」では、“緊急地震速報とは”、“街で地震に遭ったら”といった地震に備える情報を多数紹介。イラストつきでわかりやすいです。

<全国避難所ガイド>

現在地からいちばん近い避難場所や避難所をマップで表示。オフライン時でもキャッシュ保存された情報が表示されるそう。コンパス機能やARカメラ機能が避難所や自宅まで案内してくれます。

そのほか、住んでいる県と市、首相官邸(災害・危機管理情報)の公式Twitterは以前からフォローずみ。自治体によっては災害時向けの公式アプリもあるので、チェックしてみてくださいね。

●節目、節目で確認することが大切!

昨年考えた防災リュックの中身は、1年たって今のわが家には合っていませんでした。子どもが1歳だったので心配な部分をカバーするように多くのものを用意していましたが、今はリュックが重くて緊急時に身軽には動けないと実感。

普段の忙しさから防災意識をキープするのは難しいですが、やはり再確認しやすいのは、東日本大震災や熊本地震が起きた3〜4月、9月の防災月間などのタイミング。ニュースに触れた折で定期点検をしていこうと思います。