「成長」と「課題」を実感・徳之島徳之島の得点シーン

<春季九州高校野球鹿児島大会:鹿児島城西9−1徳之島>◇1日◇準々決勝◇平和リース

 鹿児島城西は2回裏、一死一三塁から8番・内司 将成(3年)の中前適時打で先制し、満塁から1番・山室 天魁(3年)が走者一掃の右翼線三塁打を放った。2番・黒川 虎大郎主将(3年)の犠飛、4番・池野 航太(3年)の中前適時打と続き、打者10人で6点を先取した。

 3回裏は、先頭の6番・濱田 陵輔(3年)のソロ本塁打を皮切りに、3点を追加した。

 徳之島は5回表、8番・正岡 大暉主将(3年)が左越え三塁打を放ち、9番・太村 駿之介(2年)の中前適時打で1点を返した。

 鹿児島城西の先発右腕・明瀬 諒介(3年)は140超の速球で力強く三振を重ね、1失点してからは変化球を有効に使い、徳之島打線から10三振を奪った。

 強豪・鹿児島城西にコールド負けの徳之島だったが、地頭所眞人監督は「攻撃面では昨秋よりも成長した手応えを感じた」と言う。

 3回までは鹿児島城西・明瀬の「速すぎて見えなかった」(正岡主将)最速140超の速球に対応できなかった。それでも4回に4番・上原 龍樹(2年)が141キロを打ち返し、5番・盛 悠也(2年)も連打で続く。得点はできなかったが、5回に先頭の8番・正岡主将が左越え三塁打を放ち、9番・太村の中前適時打で1点を返した。

 昨秋の準々決勝は同じ強豪私学の鹿屋中央を相手に「手も足も出なかった」(地頭所監督)。このレベルのチームが相手になることを想定し、冬場は打撃マシーンを140キロに設定した練習もしてきた。「途中から何とか対応できるようになった」(正岡主将)のを示した1点だった。

 明確になった「課題」は守備面だ。2回の6失点は「0で抑えられた」と地頭所監督は悔しがる。身体が大きく能力が高い選手がフルスイングした打球は、凡フライでも見たことがないくらい高く上がり、凡ゴロも鋭いスピンがかかる。守備が受け身になり、ミスが続いたのがきっかけで大量失点につながった。

 攻撃では140超の速球に「心構え」「準備」ができて対応できたが、守備ではまだまだ足りていなかった。「堅い守備」(正岡主将)がベースになければ勝負の土俵に上がれない。その上で、持ち味の積極的な攻撃で勝てる野球を作っていく。本気で甲子園を目指すなら何が必要か肌で感じたのが何よりの「収穫」だ。正岡主将は「次、鴨池で野球をするときは違った野球を見せられるようにしたい」と誓っていた。

(取材=政 純一郎)