市民が科学者を支援できるGaia Variプロジェクトの参画用ページ (c) ESA

写真拡大

 欧州宇宙機関(ESA)は21日、ホームページ上で、「ガイア」プロジェクトに参加するよう、一般市民への呼び掛けを行った。英語の読み書きさえできれば、日本人の我々にとってもプロジェクトに参画するチャンスが生まれることを意味する。

【こちらも】ESAとJAXAの水星探査「ベピコロンボ」、最初の水星接近画像公開

 ガイアプロジェクトとは、ESAが打ち上げた位置天文衛星ガイアを用いて、10憶を超える恒星だけでなく小惑星の位置観測も行い、銀河宇宙の非常に詳細にわたる3次元立体マッピングを行うものだ。

 2013年後半に取り組みが開始され、ガイアは現在地球から150万km離れた宇宙空間で活動を続け、既に18億個の恒星データの収集実績を残している。

 この3次元立体マップは、星たちの動きをリアルに捉え、銀河系の過去の姿を推定したり、未来の姿を予測するのにも役立っている。このミッションで、銀河系は宇宙が誕生した直後の今から100億年前に別の銀河と衝突合体したことが判明している。

 また数十億年後には、アンドロメダ座の銀河M31と銀河系が衝突合体することが予想されるが、その状態をダイナミックかつリアルにイメージすることを可能にした。

 このガイアプロジェクトには一般人が参加できるGaia Variと呼ばれる活動も含まれている。具体的には、銀河に多数存在している変光星の分類活動を、一般市民の力によって支援ができるというものだ。

 実際に変光星の分類を進める活動は、ひとつひとつの星の明るさの変化を、時間をかけてじっくりと捉えていく必要があり、科学者けでは人手が圧倒的に足りないというのだ。しかもガイアがピックアップした変光星のリストは実に数百万もあるという。

 ESAでは、2022年にガイアプロジェクトの3度目のデータリリースを実施しているが、次回2025年のデータリリースでこの膨大な変光星リストの分類を完成させ公表にこぎつけたい考えだ。

 もちろん一般人がこのプロジェクトに参画するには勇気もいることだろう。だが、ESAでは科学者の支援を行いたいと考えている尊い志を、天文学の発展に生かすべく、全面的な支援を行う用意があるとしている。この呼び掛けに興味を持ったならば、まずはESAのホームページを訪れてみることをお勧めする。