「軽いめまいが続く」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

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軽いめまいが続くとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
丸山 潤(医師)

群馬大学医学部卒業。群馬県内の高度救命救急センター救急科及び集中治療科に2022年まで所属。2022年より千葉県の総合病院にて救急総合診療科および小児科を兼務。乳児から高齢者まで幅広い患者層の診療に努める。
【保有資格】
医師/医学博士/救急科専門医/集中治療専門医/DMAT隊員/日本航空医療学会認定指導者(ドクターヘリの指導者資格)/JATECインストラクター/ICLSインストラクター

「軽いめまいが続く」症状で考えられる病気と対処法

何かのタイミングでふとめまいを自覚する経験は誰しもあると思います。症状の原因はたくさんありますが、脳、耳、心臓、神経の病気が関わっているケースが多く見られます。どんな場合に病院受診を行う必要があるのか解説していきます。

軽いめまいが続くの症状で考えられる原因と対処法

日々の生活の中、軽いめまいが続いている時は自律神経失調症が疑われます。
自律神経失調症は医学的には正式な病名ではなく、自律神経の乱れが関わる症状の総称です。ストレスや緊張、感染症、薬物の副作用などが原因となり得ます。症状はめまいの他に、倦怠感、不安、息切れ、立ちくらみ、頭痛、肩こり、腰痛、食欲低下などが挙げられます。
主な診療科は内科、心療内科、精神科です。まずは内科を受診し、各種検査で診断できるような病気が隠れていないかを調べます。検査は正常にも関わらず前述の症状がある場合は自律神経失調症を考えます。主な治療は生活習慣の変更、ストレス管理ですが、時に薬物治療を併用することがあります。

ふわふわした軽いめまいが続くの症状で考えられる原因と対処法

顔がほてるような感覚と共にふわふわした軽いめまいが続く場合、更年期障害が疑われます。
更年期障害は閉経の前後 5 年の女性のホルモンバランスが大きく変わる時期に生じる症状の総称です。主な症状として顔面のほてり、持続する汗、不眠、不安、イライラ、肩こり、腰痛、頭痛などが挙げられます。近年では男性の更年期障害(正式名称:加齢男性性腺機能低下症)も指摘されており、中年期においては男女問わず更年期障害になる可能性があります。
主な診療科は女性なら産婦人科、男性なら泌尿器科です。治療としてまずは健康な食生活や適度な運動が推奨されます。また、加齢に伴うホルモンバランスの変化が原因であるためホルモン補充療法を行います。

軽いめまいが続いて吐き気がする症状で考えられる原因と対処法

軽いめまいが続いて吐き気を伴っているような場合はメニエール病を疑います。
メニエール病は難聴や耳鳴り、耳閉感などの聴覚症状を伴う繰り返すめまいで吐き気を伴うことがあります。症状は年数回から1週間に数回までその頻度は様々で、家庭や仕事におけるストレスがきっかけとなることがあります。
主な診療科は耳鼻咽喉科です。メニエール病の聴覚症状は病気が進行するとめまいがなくても難聴や耳鳴りが続いてしまうケースがあります。したがって、聴覚症状を伴うめまいが出た時は必ず病院を受診しましょう。治療内容はめまいがある時期とない時期で分かれます。めまいがある時は症状の軽減のために吐き気止めやめまい止めの薬、ステロイドを投与します。めまいがない時期は発症予防として十分な睡眠、ストレスの軽減、有酸素運動を心掛けましょう。

頭を動かすと軽いめまいが続く症状で考えられる原因と対処法

頭を動かすたびに軽いめまいが出現する場合は良性発作性頭位めまい症が疑われます。良性発作性頭位めまい症は、頭を動かすたびにグルグルと目が回るようなめまいが生じる耳の病気です。嘔気・嘔吐を伴う激しいめまいであることが多いですが、数日安静にして様子を見ていれば自然と症状が改善するのが特徴です。
主な診療科は耳鼻咽喉科です。医師は頭位変換検査を行って良性発作性頭位めまい症を診断します。どこに問題があるか判明すれば、症状に適しためまい体操を教えてもらうことができます。めまい体操で2人に1人はその日のうちに症状が良くなるとの報告がありますので、無理のない範囲でめまい体操に取り組んでみましょう。症状が強い場合は吐き気止めとめまい止めの薬も併用します。

すぐに病院へ行くべき「軽いめまいが続く」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

激しい頭痛や耳鳴りがある場合は、内科へ

めまいは脳、耳、心臓、神経とその原因は多岐に渡ります。激しい頭痛が出現する場合や顔・手足が動かしづらく痺れを感じる場合は脳出血や脳梗塞を起こしている可能性があるため、神経内科や脳外科を受診する必要があります。また、難聴・耳鳴り・耳閉感がある場合は耳に由来するめまいの可能性が高いため耳鼻咽喉科を受診するのが良いでしょう。その他、めまいの原因が貧血や失神の前触れの可能性もあり、自分でどの診療科を受診するのか決めるのは大変難しいです。したがって、めまいを自覚した時はまず内科を受診し、医師が案内した専門の診療科を受診するようにするとスムーズです。

受診・予防の目安となる「軽いめまいが続く」ときのセルフチェック法

軽いめまいが続く以外に以下のような症状がないか確認しましょう。

・強い吐き気があり嘔吐してしまう

・顔や手足にしびれを感じる

・顔や手足が動かしにくい

・うまく歩けない

・ろれつが回らない

・激しい頭痛がある

・意識状態がいつもより悪い

・耳鳴りや難聴が出現した

「軽いめまいが続く」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「軽いめまいが続く」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

良性発作性頭位めまい症

良性発作性頭位めまい症は内耳と呼ばれるバランスを司る部分に石が入り込み、頭を動かすたびにその石が転がることでめまいを起こす病気です。グルグルと目が回るようなめまいで嘔気を伴う激しい症状であることが多いです。しかし、この病気は迷路に石が入り込んだような状態なので、めまい体操を行なって石が排泄されるとすっきり良くなります。内科や耳鼻咽喉科で頭位変換検査を行うことで良性発作性頭位めまい症を診断できます。どこに石があるのかが分かれば、医師から症状に適しためまい体操を教えてもらうことができます。めまい体操で2人中1人はすぐに症状がよくなるとの報告もあります。無理のない範囲で家でもめまい体操に取り組むと良いでしょう。

メニエール病

メニエール病は内リンパ水腫と呼ばれる耳の病気です。原因は明らかになっていません。難聴や耳鳴り、耳閉感などの聴覚症状を伴うめまいが反復するのが特徴です。家庭や仕事におけるストレスがめまいのきっかけとなることが多いとされます。メニエール病の聴覚症状は病気が進行するとめまいがなくても難聴や耳鳴りが続いてしまうケースがあります。したがって、聴覚症状を伴うめまいの場合は必ず病院を受診しましょう。治療内容はめまいがある時期とない時期で分かれます。めまいがある時は症状の軽減のために吐き気止めやめまい止めの薬、ステロイドを投与します。めまいがない時期は発症予防として十分な睡眠、ストレスの軽減、有酸素運動を心掛けましょう。それでもめまいを繰り返すような場合は中耳加圧治療や内リンパ嚢開放術を行います。

前庭神経炎

前庭神経炎は耳鳴りや難聴のない突然のめまい症状を来す病気です。風邪を引いた後に前庭神経炎になるケースが多く、ウィルス感染が原因の1つと言われています。症状はたいてい数日で良くなりますが、1~2週間続く場合もあります。
主な診療科は耳鼻咽喉科です。目が回っている様子を確認する「眼振検査」や耳に冷水を注入する「温度刺激検査」を用いて診断します。めまいが出ている時の治療は吐き気止めやめまい止めの薬、ステロイドの投与です。数週間経ってもふらつきやふわふわする感じが取れない場合は前庭リハビリテーションと呼ばれる訓練が有効であるとされています。

「軽いめまいが続く」の正しい対処法は?


めまいの多くは頭が動いた時に悪化します。したがって、めまいを自覚した時は無理をせず安静にしましょう。貧血や自律神経に由来するめまいの場合は起き上がる時に症状が出やすいです。起き上がる時は勢いよく頭を上げるのではなく、横を向いてからゆっくりと起き上がりましょう。耳からくるめまいは頭が動いた時や首を回した時に症状が出やすいです。めまいがある時は頭の位置を大きく動かしたり、首を振るような動作を減らすことで症状が軽くなります。吐き気止めやめまい止めの市販薬は症状緩和につながりますので用法を守って飲む分には問題ありません。しかし、症状が完全に良くなることはあまりないため過度な期待は禁物です。めまいの薬の1つにビタミンB12があります。ビタミンB12はレバーやしじみ、アサリに豊富に含まれているため、このような食材を摂取すると良いでしょう。また、緊張やストレスがめまいのきっかけになることが多いので、十分な睡眠、リラックスできる時間を作る、運動を習慣づけるといった生活習慣の改善がめまい予防につながります。

「軽いめまいが続く」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「軽いめまいが続く」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

軽いめまいが続くのですが何科に行けばいいですか?

丸山 潤(医師)

軽いめまいが続く場合は内科か耳鼻咽喉科に行きましょう。ぐるぐる目が回るようなめまいの時は耳に由来することが多いため耳鼻咽喉科をお勧めします。ふわふわするようなめまいや倦怠感、血の気が引く感じなどがある場合は脳、心臓、神経に由来する症状の可能性があるため内科を受診しましょう。

軽いめまい・立ちくらみが続くのですが薬で治りますか?

丸山 潤(医師)

めまいの市販薬は対症療法であり、症状を軽くしてくれますが病気を治すことはできません。病気の原因を特定して、その原因を取り除くためには病院を受診する必要があります。病院から処方される薬にはステロイドなど病気自体を治すものも含まれるので、しっかり飲み切るようにしましょう。

更年期が原因で軽いめまいが続くことはありますか?

丸山 潤(医師)

更年期の症状として軽いめまいが持続することはあります。このような場合はめまい止めの薬を飲むよりも、更年期そのものの治療をすることで症状が改善します。十分な睡眠、適度な運動を心掛けましょう。医師の指示の元、更年期の治療薬を併用する可能性があります。

めまいがどのくらい続いたら病院に行くべきですか?

丸山 潤(医師)

めまいが1時間以上続くようであれば病院を受診すると良いでしょう。問題のないめまいの場合、数十分安静に過ごしていただければ、ある程度症状が改善します。めまい+危険なサインがある場合はすぐに病院を受診して検査が必要です。

危険なめまいの見分け方はありますか?

丸山 潤(医師)

危険なめまいは脳や心臓からくる病気の可能性があります。激しい頭痛を伴う時、ろれつが回らない時、顔や手足が痺れたり動かしにくい時は脳卒中を疑います。突然目の前が真っ暗になるような場合や胸痛を伴うようなめまいの場合は失神・心筋梗塞など循環器系の病気を疑います。このような症状を認めた場合はすぐに病院を受診しましょう。

まとめ

軽いめまいは普段の生活のなかでも比較的遭遇することの多い症状だと思います。めまいは日常生活の質を大きく下げてしまう原因になります。自然に治る場合も多いのですが、症状がつらいときは無理せず医師に相談してくださいね。

「軽いめまいが続く」で考えられる病気と特徴

「軽いめまいが続く」から医師が考えられる病気は23個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

起立性低血圧症

脱水症

貧血心筋梗塞不整脈

耳鼻科の病気

内耳炎

急性中耳炎良性発作性頭位めまい症メニエール病耳硬化症

脳神経科の病気

片頭痛

一過性脳虚血発作(TIA)

脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)

椎骨脳底動脈循環不全

側頭葉てんかん

脳腫瘍

聴神経腫瘍

帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群)

多発性硬化症

その他の病気

更年期障害自律神経失調症

アルコール乱用

薬物の副作用

めまい症状の多くは様子を見ていて問題ありませんが、中には治療が必要な病気も隠れているので注意が必要です。

「軽いめまいが続く」と関連のある症状

「軽いめまいが続く」と関連している、似ている症状は14個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

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ふわふわした軽いめまいが続く

軽いめまいが続いて吐き気がする

頭を動かすと軽いめまいが続く

「軽いめまいが続く」の他に、これらの症状がある場合も「良性発作性頭位めまい症」「メニエール病」「前庭神経炎」「更年期障害」「自律神経失調症」などの疾患の可能性が考えられます。
症状がなかなか良くならない場合は、なるべく早く病院への受診をおすすめします。

【参考文献】
・自律神経失調症(日本臨床内科医会)
・産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2020(日本産科婦人科学会)