2022年末、東京都昭島市の国道で、救急車の横転事故が起きた。中央分離帯に衝突・横転し、隊員3人が軽傷を負った事故で、運転していた隊員は「眠気に襲われた」と説明しているとわかった。

【映像】救急車が横転した現場の様子

 隊員3人は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、17時間連続で休みなく活動し、7件の救急出動に対応していたという。捜査関係者によると、ドライブレコーダーには事故直前、運転手や助手席に座る隊員が居眠りしている様子が記録されていた。

 救急の現場で、いま何が起きているのか。元救急隊員のえだまめさんは、「居眠り」というよりも、むしろ「気絶に近い状態」だと指摘する。えだまめさんは元救急隊員で、現在は消防士志望者の支援活動を行っている。

「常に緊張感がある状態で出動しているため、かなり疲弊している。仮眠が取れない、食事も救急車の中で食べる生活が、日常茶飯事になっている」(えだまめさん、以下同)

 ルートを間違えてはいけないプレッシャーも、隊員の負担になっている。

「1分1秒を争う現場。道を間違えた時点で、周りの市民から見ても『何してるんだ』という話になる。間違えてはいけない緊張感もある」

 東京消防庁によると、2022年の救急隊出動件数は87万2101件と、過去最多を更新した。救急隊1隊あたりの1日の平均活動時間は15時間30分を超え、前年を4時間ほど上回るレベルだという。

 救急車での出動から帰ってくると、隊員は救急出動報告書を書く。えだまめさんは、「出動が1時間あったら、デスクワークは20〜30分かかる」といい、東京消防庁のように報告書をつくる専門部署を持つところもあると説明する。

 埼玉東部消防組合では、救急車の出動要請が急増したことで、朝から夕方まで、消防署に戻れないケースも。救急車が停車していると、SNSなどで「サボっているのでは」と批判され、隊員がためらってしまうこともあるため、コンビニエンスストアで水分補給や軽食の購入、トイレを借りることなど、市民の理解を求めている。

 えだまめさんもまた、「コンビニにフラッと寄れるような世の中にしたい」と語るが、激務を強いられる隊員への対応も、その場しのぎの現状がある。

「『ミント味のタブレットを配布するので、それを食べて運転してください』という対応があった。そんなので事故を防げるのなら、みんなやっていると思う。意味の解らない対策を出しているところは直して欲しい」(えだまめさん)

 えだまめさんによると、119番通報される電話の7割が、救急車が出動する必要のないパターンだという。まずはスマホアプリや、「すぐに病院に行った方がよいか」「救急車を呼ぶべきか」などを電話相談できる#7119を利用して欲しいと呼びかけている。(『ABEMA的ニュースショー』より)