マルチバースカンフー映画からパルム・ドール受賞作まで…2023年映画館で見たい作品10選! 透明ランナーのアート&シネマレビュー「そっと伝える」
こんにちは。あなたの代わりに観てくる透明ランナーです。
2022年6月に始まった本連載「透明ランナーのアート&シネマレビュー」では、映画と美術展のレビューをこれまで34本お届けしてきました。読んでくださった皆様のおかげでここまで続けることができました。2023年もよろしくお願いします。
2022年の映画の振り返りとして、「2022年日本公開映画ベスト10」&「2022年日本未公開映画ベスト10」という記事を書きました。2023年も楽しみな映画が目白押しです。
この記事では2023年に日本劇場公開が予定されている新作映画の「ベスト10」を紹介します。私が試写会や映画祭、海外配信などを通じて一足先に鑑賞し、ぜひおすすめしたいと思った作品たちです。2023年はどんな映画が私たちを待っているのでしょうか。それでは行ってみましょう!
2023年日本劇場公開予定映画の「ベスト10」
①『ウーマン・トーキング 私たちの選択』サラ・ポーリー ②『コンパートメントNo.6』ユホ・クオスマネン ③『Corsage』(原題) マリー・クロイツァー ④『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート ⑤『別れる決心』パク・チャヌク ⑥『ピンク・クラウド』イウリ・ジェルバーゼ ⑦『Aftersun』(原題) シャーロット・ウェルズ ⑧『EO』(原題)イエジー・スコリモフスキ ⑨『TÁR』(原題)トッド・フィールド ⑩『逆転のトライアングル』リューベン・オストルンド2023年日本劇場公開予定映画の「ベスト10」
①『ウーマン・トーキング 私たちの選択』サラ・ポーリー
【公開予定:2023年初夏】
いまの時代を代表する映画は何かと後から振り返ったとき、おそらくこの作品が挙がるのではないでしょうか。原題「Women Talking」のとおり、この映画は複数の女性たちによる「語り」でほとんどの要素が構成されています。「語り」は物理的な有形力を伴いませんが、ひとつの言葉がときに暴力よりパワフルに作用することは歴史が示すとおりです。
メノナイト(電子機器などを使わずに暮らすプロテスタントの教派)の人里離れたコミュニティで、女性が意識を失っている間に性被害に遭う事件が多発します。女性たちは男性が来ない屋根裏部屋に集まって今後の対抗策を話し合いますが、議論は思わぬ方向へと広がっていきます。実際に起きた事件を取材したミリアム・トウズ(1964-)の同名小説を原作としています。ルーニー・マーラ(1985-)やクレア・フォイ(1984-)らの競演も見どころです。
監督は10年ぶりの復帰となるサラ・ポーリー(1979-)。女優としても活躍していた彼女が映画業界からしばらく遠ざかっていたのは、女性の権利を抑圧するハリウッドの風潮に嫌気が差したためでした。本作は彼女の前作のドキュメンタリー『物語る私たち』(2012、原題「Stories We Tell」)とも通じるところがあります。
②『コンパートメントNo.6』ユホ・クオスマネン
【公開予定:2023年2月10日(金)】
やったー! ついに公開決定です! 私はこの作品が大好きで、日本公開をまだかまだかと待っていました。実は一度決まりかけていた日本配給会社が手を引くというトラブルがあったらしいのですが、2023年2月10日(金)に無事公開されることになりました。