●地道なゲスト出演を重ねて昨年ついに開花

「新年の頭にネクストブレイク候補を発掘する」、マイナビニュース恒例の正月企画を今年も実行。年々、他サイトで似た記事も増えてきたが、ここでは「とびきりフレッシュな先物買い」という観点から10名の若手俳優を紹介していく。

セレクトのポイントは、最近の出演作品で見せた可能性、出演予定のラインナップ、業界内の評価。近年、若手俳優の躍進が目立つだけに、早い段階からチェックしておきたい。

○■帯ドラマ主演、『舞いあがれ』同級生

井上祐貴  撮影:宮田浩史

1人目は、2019年に『ウルトラマンタイガ』(テレビ東京系)で主演を務めた井上祐貴(26)。昨年は春スタートの帯ドラマ枠「夜ドラ」第1弾となる『卒業タイムリミット』(NHK)の主演に抜てきされ注目を集めた。さらに『silent』(フジテレビ系)では主人公たちの同級生役で出演。『イケメン共よ メシを喰え』(テレビ大阪・BSテレ東)への出演も含め、知名度を上げる一年となった。

今年は1月期から『大奥』(NHK)、『花嫁未満エスケープ 完結編』(テレ東系)の2作に加えて、単発ドラマ『やっぱそれ、よくないと思う。』(テレ朝系)にも出演。ゴールデン・プライム帯、深夜帯、映画、配信など、幅広いフィールドでの活躍が期待できそうだ。

醍醐虎汰朗

2人目は、2019年のアニメ映画『天気の子』で主人公役を務めた大器の醍醐虎汰朗(22)。昨年は主演を含む映画2作に出演したほか、舞台『千と千尋の神隠し』でハクを演じた。さらに秋には朝ドラ『舞いあがれ!』(NHK)でヒロインの航空学校同級生役を熱演。母子家庭で奨学金を受けて航空学校に通うも、母が倒れたことで危機的状況に陥るが、仲間を大切にしながら夢を実現させていく姿が共感を集めた。

濱正悟

3人目は、同じ朝ドラ『舞いあがれ!』航空学校編で同級生役を演じた濱正悟(28)。2018〜2019年の『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(テレ朝系)に出演したあと地道なゲスト出演を重ねて、昨年ついに開花した感がある。『恋せぬふたり』(NHK)では主人公に屈折した思いを寄せる元カレ役を演じ、『鎌倉殿の13人』(NHK)では富士川の戦いで源頼朝に敗れる平維盛を演じた。同じ年の朝ドラと大河ドラマの両方に出演した効果は、今年さっそく表れるのではないか。

○■メンノン、LDH、子役育ちの逸材

豊田裕大

4人目は、メンズノンノモデルの豊田裕大(23)。一昨年秋に放送されたドラマデビュー作『じゃない方の彼女』(テレ東系)でヒロインに惹かれる大学生を演じたあと、早くも俳優業を本格化させた。

昨年は『妖怪シェアハウス-帰ってきたん怪-』(テレ朝系)、『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(朝日放送・テレ朝系)と、映画2作に出演した。今年も1月2日放送の単発ドラマ『正しい恋の始めかた』(テレ朝系)、2月スタート予定の『沼る。港区女子高生』(日テレ系)、映画『銀河鉄道の父』などへの出演を控えている。

吉野北人 撮影:宮田浩史

5人目は、THE RAMPAGE from EXILE TRIBEのボーカル・吉野北人(25)。LDHの所属タレントらしく『HiGH&LOW』シリーズで経験を積んだあと、2021年の『トーキョー製麺所』(MBS・TBS系)で主演を務め、昨年は『魔法のリノベ』(関西テレビ・フジ系)でゴールデン・プライム帯の連ドラデビューを果たした。今年は1月期から『スタンドUPスタート』(フジ系)で主人公を慕うゲーム会社の社長役を演じる。

●視聴者の涙を誘った悲劇の大学生役

○■今年も特撮ヒーロー発の逸材がズラリ

荒木飛羽

6人目は、すでにデビュー10年目を迎える荒木飛羽(17)。幼いころから『好きな人がいること』(フジ系)などのさまざまな作品で主要人物の幼少期を演じていたが、大人俳優としての存在感をジワジワと高めつつある。

昨年は『愛しい嘘〜優しい闇〜』(テレ朝系)に出演したあと、『少年のアビス』(MBSほか)で主演を務め、『ザ・トラベルナース』(テレ朝系)では悲劇の大学生を熱演して視聴者の涙を誘った。さらに映画『耳をすませば』、Netflixの『First Love 初恋』にも出演するなど活動フィールドは広がっている。

日向亘 撮影:大門徹

7人目は、一昨年9月から昨年8月まで『仮面ライダーリバイス』(テレ朝系)に出演していた日向亘(18)。今年はいきなり日曜劇場の大型ドラマ『Get Ready!』(TBS系)の主要キャストとして天才ハッカー役を演じる。2019年の『ホリプロ メンズスターオーディション』グランプリ受賞から約4年、順調にステップアップしてきただけに、仮面ライダーが終了した今年、どんな姿を見せてくれるのか興味深い。

駒木根葵汰 撮影:大門徹

8人目も、特撮ヒーロー出身の駒木根葵汰(22)。2021年にスーパー戦隊シリーズ『機界戦隊ゼンカイジャー』(テレ朝系)で主演を務めたあと、翌年の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』(テレ朝系)にも連続出演している。昨年はさらに『商店街のピアニスト』(BS松竹東急)で主演を務めたほか、深夜の帯ドラマ『差出人は、誰ですか?』(TBS系)、さらに『クロサギ』(TBS系)にもゲスト出演。今年も1月期の『星降る夜に』(テレ朝系)、3月公開の『映画 ネメシス 黄金螺旋の謎』に出演するなど、これまで以上の活躍が期待できそうだ。

綱啓永

9人目は、2017年の『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』グランプリを受賞した綱啓永(24)。彼も2019年のスーパー戦隊シリーズ『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(テレ朝系)への出演歴を持ち、『顔だけ先生』(東海テレビ・フジ系)、『この初恋はフィクションです』(TBS系)で学園ドラマの経験を積むなど、順調な俳優人生を歩んでいる。昨年は『君の花になる』(TBS系)でボーイズグループ・8LOOMのメンバーを演じたほか、『武士が、マックで店員になった件。』(関西テレビ・フジ系)、『モトカレ←リトライ』(MBSほか)などにも出演した。

10人目は、映画『20世紀少年』で主人公・ケンジの幼少期を演じるなど子役としての活動歴が豊富な西山潤(24)。毎年数本のコンスタントな出演を重ねて迎えた2021年、『ドラゴン桜』(TBS系)で愛きょうたっぷりのヤンキー生徒役を演じて注目を集めた。昨年は『卒業タイムリミット』(NHK)、『初恋の悪魔』(日テレ系)にレギュラー出演。現在はコメディのイメージが強いものの、何でも演じられる万能型の主演俳優になりそうな気配がある。

いずれも単なるイケメンではなく、演技経験、存在感、可能性を秘めた俳優ばかり。ブレイク間近の若き俳優たちを一年間追いかけてみてはいかがだろうか。

木村隆志 きむらたかし コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月30本のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組にも出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』など。 この著者の記事一覧はこちら