人気ゲーム「フォートナイト」開発・運営元のEpic Gamesが、両親の同意なく13歳未満のユーザーの個人情報を収集したり、ダークパターンを用いてユーザーをだまし不要な購入を行わせたりした件で、合計5億2000万ドル(約710億円)の支払いに合意しました。連邦取引委員会(FTC)が施行する規則をもとに課せられた罰金として最高額だとのことです。

Fortnite Video Game Maker Epic Games to Pay More Than Half a Billion Dollars over FTC Allegations of Privacy Violations and Unwanted Charges | Federal Trade Commission

https://www.ftc.gov/news-events/news/press-releases/2022/12/fortnite-video-game-maker-epic-games-pay-more-half-billion-dollars-over-ftc-allegations



Epic FTC Settlement and moving beyond long-standing industry practices - Epic Games

https://www.epicgames.com/site/en-US/news/epic-ftc-settlement-and-moving-beyond-long-standing-industry-practices

Epic Games to pay $520 million for privacy violations, dark patterns

https://www.bleepingcomputer.com/news/gaming/epic-games-to-pay-520-million-for-privacy-violations-dark-patterns/

Fortnite Fined $520M For Invading Privacy, Tricking Kids

https://kotaku.com/fortnite-epic-games-ftc-fine-privacy-refunds-skins-1849910311

FTCがEpic Gamesを訴えていた問題は2件。

1つは、Epic Gamesが児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)に違反し、両親への通知や両親の検証可能な同意がないまま、13歳未満のユーザーの個人情報を収集していたというもの。Epic Gamesは両親から個人情報の削除を求められた際、不当な手続きを踏むように求め、場合によっては削除要求に応じなかったとのことです。

また、ティーンエイジャーへの影響を考慮してボイスチャット機能をオプトイン(ユーザーの意思でオンにする)にするよう求めた従業員の声を退けてボイスチャットをデフォルトでオンにし続け、ティーンエイジャーを見知らぬ人とマッチングさせて害を及ぼしたという疑いもかけられていました。ボイスチャットについては、のちにオフにするボタンが追加されたものの、どこにあるのかわかりにくいという申し立てを受けています。



裁判所はEpic GamesがCOPPAに違反したことを認め、Epic Gamesに対して2億7500万ドル(約378億円)の支払いと、収集した個人情報の削除を命じました。

もう1件の訴訟は、Epic Gamesがダークパターンを用いてユーザーをだまし、ゲーム内で意図しない購入をさせたというもの。たとえば、「アイテムのプレビュー中に誤って購入してしまいやすい」などです。また、2018年まで、子どもがゲーム内通貨「V-Bucks」を購入するにあたって親や登録しているカードの所有者の同意を必要としませんでした。さらに、クレジットカード会社から不正請求があると異議を唱えたユーザーのアカウントを凍結しました。アカウント凍結の解除時には、「今後の請求に異議を唱えた場合、永久凍結にする」と警告していたとのこと。

FTCによれば、不正請求では100万件を超える苦情があり、従業員からも膨大な不正請求が発生していると懸念が寄せられていたものの、Epic Gamesはすべて無視していたそうです。

この件についてはEpic Gamesに対して2億4500万ドル(約336億円)を支払うよう行政命令が出て、支払い分が消費者への返金に充てられるとのこと。なお、命令ではEpic Gamesがダークパターンを使用して購入させること、同意なく購入をさせること、不正請求に異議を唱えたユーザーのアカウントへのブロック措置も禁止されました。

Epic Gamesは「最終的にこうなることを意図してゲームを作る開発者はいません。ビデオゲーム業界は変化の早いイノベーションの場所であり、プレイヤーの期待は高く、新しいアイデアが最優先されます。数十年前に制定された法令には、ゲームのエコシステムがどのように機能すべきか明記されていません。法律は変わっていませんが、その適用は進化していて、長年にわたる業界慣行ではもはや十分ではありません。Epicは消費者保護の最前線に立ち、プレイヤーに最高の体験を提供したいからこそ、この合意内容を受け入れました」との声明を発表しています。