JAXAとアストロスケール、軌道上衛星への燃料補給サービスを検討開始
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7日、地球を周回している衛星への燃料補給サービスについて、事業コンセプト検討を開始したと発表した。宇宙ベンチャーのアストロスケールと共に共創活動として行う。宇宙の持続可能性(スペースサステナビリティ)の実現を目指した軌道上サービスの1つとして、今後約1年かけて検討を進めていくという。
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背景には、宇宙ゴミ(スペースデブリ)の増加による軌道の混雑化がある。スペースデブリとは、地球周回軌道上にある、運用を終えた人工衛星やロケットの上段、爆発・衝突で生じた破片などの不要な人工物体全般を指す。
2019年に米国宇宙戦略軍が観測したスペースデブリは、10センチメートル以上で約2万個、1センチメートル以上は50〜70万個、1ミリメートル以上は1億個超あったという。世界的な宇宙開発・産業化の展開や、軌道上に打ち上げた複数の衛星を連携させて通信サービスを提供するコンステレーション事業の拡大などにより、今後もその増加が見込まれている。
JAXAは、19年頃からスペースデブリ除去の事業化に向けて実証を開始。20年3月には、アストロスケールとパートナーシップ契約を締結し、デブリ除去の前段階となる接近・観測技術の実証を共同で進めてきた。
JAXAらが提唱するのは、長期的に地球周回軌道を活用できる宇宙環境維持の重要性だ。スペースサステナビリティを実現するため、使い捨て前提の衛星やロケットの開発・運用ではなく、再利用や修理、燃料補給へとシフトしていく必要があるという。
同時にデブリ除去を行い、宇宙空間で環境に配慮した循環型システムを構築する。その構成要素の1つとして燃料補給サービスを位置づけており、今回のコンセプト検討の開始に至ったという。
検討では、軌道上での燃料補給を前提として開発された衛星か否かに関わらず、専用補給口がない衛星も対象に含める。
アストロスケールは、デブリ除去技術の実証成果を補給対象衛星への接近・近辺運用に活かす形で、主にコンセプト検討を担う。同社が開発中の、宇宙船外で作業を行うロボットアーム技術などの活用も併せて検討する方針だ。JAXAは、燃料補給を行うシステムの技術的な実現性検討や、技術知見・アドバイスの提供を担うという。
JAXAがその先に目指すのは、スペースデブリの除去を起点とした軌道上サービスによる宇宙事業の新規開拓と、日本企業の市場獲得だ。
軌道上サービスの1つである燃料補給サービスが実現すれば、運用者は、衛星の寿命延長による打ち上げ回数や機数の削減・コスト削減が図れる。また燃料の制約が外れることで、衛星のミッション範囲の拡大なども見込めるという。軌道上サービスの今後の進展が期待される。
