Blizzard Entertainmentが2022年11月16日に、同社のゲームタイトルを中国向けにパブリッシングしているNetEaseとのライセンス契約が更新できなかったため、2023年1月に中国におけるほぼ全てのゲームサービスを打ち切ることを発表しました。これにより、中国のプレイヤーは「World of Warcraft」「ハースストーン」「Warcraft III:Reforged」「オーバーウォッチ」「StarCraftシリーズ」「Diablo III」「Heroes of the Storm」などの人気ゲームが遊べなくなる可能性があります。

Activision Blizzard | Blizzard Entertainment and NetEase Suspending Game Services in China

https://investor.activision.com/news-releases/news-release-details/blizzard-entertainment-and-netease-suspending-game-services

Blizzard Entertainmentは2008年から中国のゲーム企業であるNetEaseとライセンス契約を締結しており、NetEaseは長年にわたり中国におけるBlizzard Entertainmentのゲームタイトルのパブリッシングを担当してきました。



by Kelly Hunter

しかし、2023年1月23日を期限とする現行の契約が更新できなかったため、Blizzard Entertainmentは自社のゲームを中国に供給することができなくなりました。なお、2022年6月にリリースされた「ディアブロ イモータル」の共同開発とパブリッシングについては別途契約を結んでいるため、今回のサービス打ち切りの対象外とのこと。

契約が終了する理由について、Blizzard Entertainmentは「当社の経営理念や、プレイヤーおよび従業員に対するコミットメントについて合意することができなかった」と説明しています。また、NetEaseも同様に契約の重要な点で意見の行き違いがあったと発表しています。

中国のプレイヤーに対しては、今後数日のうちにゲームの新規販売が停止されるほか、2022年10月にリリースされたばかりの「オーバーウォッチ 2」を始めとするオンラインゲームサービスについても、近日中に詳細な情報が通知されます。



Blizzard Entertainmentのマイク・イバラ社長は「私たちがNetEaseやその他のパートナーを通じて中国にゲームを提供してきた約20年の間に、中国のコミュニティが見せてくれた情熱に、私たちは非常に感謝しています。彼らの熱意と創造性は私たちを刺激し、将来的に私たちのゲームをプレイヤーに届けるための代替案を探すよう突き動かしています」として、中国のプレイヤーに対する謝意を述べつつ代替案を模索中であることを示唆しました。

一方、NetEaseのパートナーシップ責任者であるSimon Zhu氏は「Azeroth、StarCraft、オーバーウォッチで1万時間を費やしてきたゲーマーとして、2023年には自分のアカウントと思い出にアクセスできなくなってしまうことを大変残念に思っています。いつか舞台裏で起こったことが語られるようになれば、開発者やゲーマーたちはバカがどれほどの損害をもたらすのか、まったく新しいレベルで思い知ることになるでしょう」と述べて、不満をあらわにしました。

Zhu氏が言及した「バカ(jerk)」が具体的に誰を指しているのかは不明ですが、Activision Blizzardのロバート・コティックCEOのことではないかと指摘されています。



NetEaseは、「Blizzard Entertainmentのゲームからの収益が当社の収益全体に占める割合は一桁台前半であるため、ライセンスの失効がNetEaseの業績に大きな影響を与えることはありません」と説明していますが、今回の契約更新停止の発表直後にNetEaseの株価は15%も下落しており、Bloombergは「取引時間中の下落幅としては1年以上ぶりの大きさだった」と指摘しています。