2022年11月、日本の入国手続きオンラインサービス「Visit Japan Web」が新バージョンに。コロナ禍で海外から入国するときの手続きはどのように変わったのでしょうか。実際に新旧の使い勝手を比べてみました。

11月から「My SOS」アプリが「Visit Japan Web」内に

 2022年11月、日本の入国手続きオンラインサービス「Visit Japan Web」が新バージョンとなり、コロナ禍で海外から入国するときの手続きが変わりました。これまでは「My SOS」アプリをダウンロードしてそこにワクチン接種証明や陰性証明書などを登録し、検疫手続きを事前登録する「ファストトラック」という手続きを経れば、それほど時間がかかることなく入国ができるようになっていました。今回のシステムリニューアルでは、「My SOS」アプリが「Visit Japan Web」のなかに組み込まれるかたちとなり、アプリを使わずに「ファストトラック」での入国ができるほか、税関申告などもこのサービスで申告できます。

 新システムとなった「Visit Japan Web」は、どのようなものなのでしょうか。実際に10月に「My SOS」アプリ、11月に「Visit Japan Web」をそれぞれ使ってみました。


羽田空港の国際線ターミナル(乗りものニュース編集部撮影)。

 従来の「My SOS」アプリでは、ダウンロード後、パスポート情報のアップロードしたのち、質問票に答え、ワクチン接種証明書をアップします。各種書類のアップロードはスマートフォンで書類を撮影し、都度登録完了の連絡が来るまで待ちます。この待ち時間はそれぞれ数十分といったところです。質問票では搭乗便や座席番号なども入力します。この手続きが一通り完了すると、アプリの画面が赤から青に変わります。

 10月に成田空港へ到着した際に旧「My SOS」を用いた手続きでは、搭乗ゲートから遠回りし、閉鎖中のラウンジなどを通る形の到着導線がとられました。アプリの青い画面を見せると用紙が配られ、各所でその用紙提示したのち検温など経て、最後にアプリ上のQRコードを機械で認証し、入国手続きに入りました。とはいえ、降機から入国は13分とかなりスムーズでした。

 この旧システムと比較して「Visit Japan Web」はどのように変わったのでしょうか。

「Visit Japan Web」、実はほぼ「My SOS」? 新機能は課題アリか

「Visit Japan Web」では、最初にアカウント登録をする必要があります。パスポート情報、住所などを入力してアカウントを登録した後、帰国予定情報を入力し「ファストトラック」の手続きに入ります。この登録方法や操作、ユーザインターフェースなどは旧「My SOS」アプリとほとんど同じです。2枚の書類(パスポート・ワクチン接種証明)を撮影・アップしたのち、都度、しばらく待機の時間ができるのも一緒です。

 ただ「Visit Japan Web」は、使用者側から見ると、アカウントの登録作業が増えた分だけ、以前よりは手間を要するものとなっています。その一方で、頻繁に海外渡航する人にとっては、旧アプリだと帰国のたびに都度QRコードでアプリを落とさなければならなかったのが、アカウントを用いて旅程ごとに個別管理ができるようになりました。

「Visit Japan Web」を用いての入国は前出した成田のケースとほぼ同じです。羽田では、最初にウェブ上の「ファストトラック」完了画面を職員に見せると、青いカードがもらえます。羽田の到着導線は、コロナ禍前とほとんど変わりませんでしたが、数10メートルおきに職員が立っており、都度このカードを見せながら到着導線を進みます。

 ちなみに、かつて入国後の抗原検査が実施されていたところはガラリとしています。最後にQRコードの読み取りを行い入国。降機から入国までの所要時間は11分と、駐機場がターミナルの端の方だったわりには、時間的には、かなりスムーズな入国といえそうです。


羽田空港到着時に配られたカード(松 稔生撮影)。

 一方、「Visit Japan Web」のリニューアルで新たに追加された「税関」のオンライン申し込みについては、手書きのものよりアカウント情報(名前やパスポート情報、住所など)が反映されるので、登録自体は手書きより簡単にできます。

 ただし、空港での税関手続き時にパスポートや登録可否を照合するQRコードを読み取ったのち、顔写真を撮影する必要があります。そのため現在のところ、従来の紙での申告と比べると「Visit Japan Web」での手続きは時間がかかってしまうようで、後者で手続きしたグループの方が数分遅く出てくるような状況でした。

 このように11月から大きく変わった日本の入国方法ですが、依然としてスマートフォンが必須であることに変わりはありません。基本的な違いはアプリかウェブかといったところで、大きく使い勝手の変化や使いやすさの向上は見られませんでした。「ファストトラック」の受付締め切り時間も、到着6時間前までと、従来と同じです。

 ダウンロードが必要な代わりにすぐに情報を呼び出しやすく、入力事項も少ない旧アプリか、ダウンロード不要でやれることが増えた代わりに、複数のタブを開いている場合に情報を探しづらく、入力事項も増えた新ウェブサイトか――どちらが良いかは「人それぞれ」といえそうです。