3年も付き合って結婚願望がなかった彼が、半年で結婚…。32歳女が驚いた男の豹変ぶりとは
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-あの時、彼（彼女）は何を思っていたの…？
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は？
▶前回：この季節のデートは、“ミニスカとブーツ”が鉄板だと思っていた女。男ウケ抜群だったのに誘われず…
土曜の朝10時。今日は休日だというのにいつもの習慣で目が覚め、なんとなくSNSを見ていた時のことだった。
「え…。啓太、結婚したの？」
そこには幸せそうに微笑む元彼の啓太と、美人な女性が一緒に写っている。
共通の友人だった友達がアップしていたその写真の中で、微笑む啓太。それはまるで知らない人のようで、事実を受け入れるのにしばらく時間がかかってしまった。
啓太と別れたのは、約1年半前のこと。でも別れた原因は、啓太が結婚を決めてくれなかったからだった。
「なんでよ…」
私とは3年も交際したのに、彼女とはわずか半年くらいで結婚を決意したらしい。だいぶ若い女性に見える。
悔しさと悲しさが込み上げてきて、私はひとり、ベッドの上で狭い天井をしばらく見つめていた。
Q1：そもそも女がすべきだったことは？
啓太と出会ったのは、もう5年前のことになる。当時26歳だった私と、28歳だった啓太。
食事会の幹事だった啓太は、常にみんなの中心にいるような目立つ存在だった。これまでの人生、陽の当たる道をまっすぐ歩いてきたのだろう。
会の途中で、お決まりの第一印象ゲームをした時。
「この中で一番モテるのは誰？」
こんな質問に対し、全員が啓太を指さしたほどだった。背も高くて顔も整っていて、爽やか。そして外資系コンサル会社に勤務している彼は稼ぎも良い。
全員が惚れてしまうような理由が、十分あった。
しかし、なぜかわからないけれど啓太は私のことを気に入ってくれて、そこからデートを繰り返す関係になった。
「遥と一緒にいると、なんか落ち着くんだよね」
いつもそう言ってくれていた。
ただこのとき、大きな誤算があった。彼の中で私との関係は、しばらく“デーティング”というステータスだったらしい。
啓太とデートをするようになって、3ヶ月くらいが過ぎた頃。
私はもう付き合っている気でいたけれど、啓太はそうは思っていないようだった。
「啓太、私たちの関係って何？付き合っているってことでいいの？」
何度聞いても、啓太は毎回はぐらかす。
「まぁそんな感じ？でもそもそも、そういう何かのカタチに落とし込む必要なくない？」
「でも…こんなに毎週末会っているのに、彼氏彼女じゃないっていうの？」
「“付き合って”という言葉って、必要なの？いらなくない？」
啓太が海外育ちだからだろうか。交際に対する価値観の違いが、私にはどうしても受け入れられなかった。
「惚れたほうの負け」とよく聞くように、私は啓太のことが好きだった。それに結婚もしたかった。
だから私は、しばらく啓太が望む曖昧な関係に対して文句を言わないことにして、ひたすら我慢していたのだ。
啓太がそんな調子だったので、正確に私たちがいつ“オフィシャルな”関係になったのかはわからない。
でもさすがに週末頻繁に会い、旅行もし、お互いの家に行き来もする関係が半年以上続いたあたりから、私はこの関係性に名前をつけてもらわないと無理かもしれないと思い始めた。
モテる啓太は、どこで何をしているかわからない。ちゃんと“彼女”という確固たる安心が欲しい。
そんなある日のこと、啓太の会社の同僚のホムパに私も一緒に連れて行ってくれることになった。
― それって…ちゃんと“彼女”として紹介してくれるってことだよね？
そんな期待を抱いて行ったホムパ。そこで同僚の人たちのファインプレイに私は助けられることになる。
「遥ちゃん、初めまして。啓太の彼女さん？」
ストレートな質問に、私は心の中で激しく首を縦に振っていた。そして横目で啓太を見ると、意外にもこんなことを言ってくれた。
「うん。彼女だよ」
そう言われた時、なんと嬉しかったことだろうか。
しかしここからさらに私の誤算は続く。啓太から「結婚する気がない」とハッキリと言われてしまったのだ。
Q2：男が女に対して結婚を決めきれなかった理由は？
でもようやくお互いの友達にも紹介しあうオフィシャルな関係になり、1年が過ぎた頃。私は悶々としていた。
結婚に対する意思がないことが大きかったが、それよりも啓太の女遊びが原因だった。
決定的な証拠を見つけたわけではないけれど、目立つ啓太のことは嫌でも周りから噂を聞く。
「遥って、啓太くんと付き合っているんだよね？大丈夫？私の別の友達の子が、遊ばれたって言ってたけど…」
「それっていつの話？」
「1年くらい前かなぁ」
1年前だとしたらもう私と出会っているし、まだぎりぎり“デーティング”中だったかもしれないが、私ともそういう関係にもあった。モテることは知っているけれど、やはりショックだった。
そしてあまりにも噂が絶えないので、私は箱根へ温泉旅行した際に本人を問いただしてみることにした。
「啓太。疑いたくないんだけど、周りからすごく啓太の噂を聞くの。女の子と遊んでいたとか、そういう類の話」
「それ、いつのこと？」
「友達曰く、1年くらい前とは言っていたけど。でもその時、もう私たち出会っていたよね？デートもずっとしていたよね？」
「そんな過去のこと言われてもな…。今ちゃんとしているから、いいじゃん」
「そうだけど…。でも、こういう話を聞くのはもう嫌なの」
「わかったよ。気をつけるから」
でも、この話し合い以降も啓太の話題を何度も耳にした。その度に、私の心はすり減っていく。
― 好きだけど、疲れるな…。
彼氏が人気者で目立つが故の悩みかもしれないけれど、不安で胸が一杯になる。啓太の太陽みたいなところが眩しくて好きだったけれど、それが逆にしんどくなる時もあった。
そしてトドメは、やはり彼が結婚願望のないことだった。
「啓太、結婚はいつするの？」
「何度も言うけど、ごめん。俺結婚願望がないんだよね。あんなのただの紙切れ上の契約でしかないし」
「私のこと、好きじゃないの？」
「それとこれとは話が別だよ。遥のことは好きだけど、結婚という制度に縛られるのが嫌なだけで」
これ以上言い返せないのは、そもそも啓太は最初から私に「結婚願望がない」と言っていたからだった。
でも交際すれば変わると思っていたし、年齢と共にもっと柔軟な考えになるかと思っていた。
しかし3年間も交際しても、啓太の意思は何も変わらなかった。そして30歳の誕生日を迎える頃私の焦りはピークに達し、喧嘩をすることも増えた。
もちろん関係が良くなることもなく、私たちは別れを選んだ。
そして2022年の今日。啓太の結婚報告をSNSで知り、呆然としている。
― 結婚願望がないんじゃなかったの…？なんで？なんで私とは結婚しなかったのに、他の子とはすぐにしたの？
写真を見る限り、彼女が妊娠しているわけでもなさそうだ。
とにかく納得がいかず、そして自分と彼女の違いはなんなのかずっと考えている。
▶前回：この季節のデートは、“ミニスカとブーツ”が鉄板だと思っていた女。男ウケ抜群だったのに誘われず…
▶1話目はこちら：「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
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男が結婚を決めた女と決めなかった女
