エンゼルスの大谷翔平(左)とヤンキースのアーロン・ジャッジ【写真:ロイター】

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カーショーは断言「チームのプレーオフに貢献した選手に」

 メジャーリーグはレギュラーシーズンを終えた。エンゼルスの大谷翔平投手は投手として15勝、打者として34本塁打という“唯一無二”の数字を残し、ア・リーグ新記録の62本塁打したヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手とのMVP争いにも様々な意見が噴出している。大谷の2年連続はなるのか。米メディア「ジ・アスレチック」は、過去に個人最大の栄誉、MVPを受賞した名選手たちの意見を特集している。

 記事によると、大谷とはチームメートのマイク・トラウト(2014年、2016年、2019年ア・リーグ MVP)はこの質問に対し回答を“棄権”している。2人の関係性から、トラウトはどちらが勝つべきか考えているとは答えなかった。ただこのような議論は「野球にとっていいことだよ」としている。

 1971年のア・リーグMVP、ヴァイダ・ブルー氏は「私は投手なので、オオタニを選ぶべきなんだろうけど、ジャッジがやったことは、素晴らしいと思うよ。特に、彼が何か薬物を使用しているという噂を聞いていないことを考慮するとね」と、ジャッジがいわゆる“オーガニック”な肉体で62本塁打を記録したのを高く評価している。「オオタニも素晴らしいけどね。決めるは難しい」と悩ましい心境のようだ。

 2014年にMVPとなったドジャースのクレイトン・カーショウ投手は「価値ある(valuable)」という言葉を悩ましく思っている。この言葉はチームの好成績と不可避だと考えているという。そのため、チームがPO進出も果たせなかった大谷の受賞には否定的だ。

「もし、ベストプレーヤーのための賞を作りたければ、ベストプレーヤー賞というのを設けるべきだと思う。でも、MVPは……。特に接戦のときには、チームのプレーオフ出場に貢献した選手に贈られるべきだと思う。オオタニがやっていることを他に出来る人はいない。成績の悪いチームにいるからという理由でペナルティを課すのは気の毒だけど、まあ、そういうものだからね」としている。

ベッツは「8回投げて2安打打てるのは大谷だけ」と言うが…

 現役では、ドジャースのムーキー・ベッツ外野手(2018年のレッドソックス時代に受賞)もこの質問に答えている。「オオタニがベストプレーヤーだということに異論を唱える人はいないと思う。投手で8回を投げる日に、打者で4打数2安打とか、5打数2安打とか打って、ホームランと打点まで記録する。そんなことができる選手はオオタニだけだ」と、大谷の選手としての価値を高く評価する。

 一方で「でも、MVPはチームにとって最も価値ある選手ということ。ジャッジがチームをプレーオフに導いたのは間違いない。僕の中では、この2つは全く違うものなんだ。もし私が投票するとしたら、ジャッジに投票するよ」として、カーショーに近い立場を明らかにした。

 さらに、レッズのジョーイ・ボット内野手(2010年ナ・リーグMVP)も「オオタニも素晴らしいけど、アーロン・ジャッジが史上最も“攻撃的なシーズン”を送ったのを否定はできない。彼のチームは地区優勝したからね。簡単な話だ」と、チームを上位進出させたジャッジを選んでいる。

 伝説的なクローザーのデニス・エカーズリー氏は、1992年のアスレチックス時代にMVPを受賞した。こちらも「私ならジャッジに投票する」とキッパリ。理由は彼にとって「3冠が特別のもの」で、ジャッジがそれに近い活躍をしたからだという。

 最後に、ブレーブスで1999年のMVPに輝いたチッパー・ジョーンズ氏の答えは明確だった。「ジャッジだよ……議論は終わり!」ジョーンズ氏はジ・アスレチックのデビッド・オブライエン記者に、文字メッセージでこう伝えたという。

「1位のチームで歴史的なシーズンを送っている。彼は、チームが厳しい状況の時も、チームを支え続けた。これ以上言うことはないだろう?」(Full-Count編集部)