スマートフォンでいつでもどこでも簡単に印象的なショートムービーを撮影できるTikTokは(PDFファイル)アプリダウンロード数35億回・アクティブユーザー数10億人を突破するほど、世界中で人気を博すアプリです。しかし、ネパールの観光地や宗教施設で、「No TikTok(TikTok禁止)」の標識が立てられていると報じられています。

Overrun by influencers, historic sites are banning TikTok creators in Nepal - Rest of World

https://restofworld.org/2022/nepals-historic-sites-banning-tiktok-creators/

TikTokはネパールでも最も人気のあるソーシャルメディアアプリの1つで、2022年にネパールで行われた調査では回答者の55%以上が「TikTokを使用している」と答えたとのこと。IT系ニュースメディアのRest of Worldによれば、新型コロナウイルスのパンデミックに伴う都市封鎖の影響でTikTokの人気が急上昇し、封鎖が解除されたことでヒマラヤ地方や宗教施設などの風光明媚な場所でTikTokを撮影する国内観光客が増えたそうです。

しかし、TikTokの撮影に夢中になるあまり、地元住民や宗教施設が迷惑を被るケースも増えているとのこと。地元メディアは、映えスポットを求めるTikTokの撮影者によって地元農家の畑が踏み荒らされる姿を以下のムービーで報じています。

क्यामोमाइल वनस्पति टिकटक बनाउनेहरूका कारण जोखिममा Chamomile Flower - YouTube

また、ネパールの首都・カトマンズ市内の観光名所として知られる「アンブレラストリート」は400本以上のカラフルな傘が頭上を覆う通りですが、このアンブレラストリートでオシャレなムービーをTikTokで撮影しようとする人でいっぱいになったため、道路を閉鎖せざるを得なくなり、交通渋滞を引き起こしてしまったそうです。そのため、記事作成時点では傘の一部が撤去されてしまったとのこと。



by Gaurav Dhwaj Khadka

2021年3月、カトマンズにある仏教寺院の管理委員会は、TikTokの撮影を禁止すると共に、寺院に監視カメラを設置し、12人の警備員を配置しました。寺院の管理者はRest of Worldに対して「大音量の音楽を演奏してTikTokのムービーを撮影する行為は、ガウタマ・シッダールタゆかりの地を訪れる世界中の巡礼者にとって迷惑です」と述べています。

また、寺院の参拝客は「TikTokerは完璧なショットを撮るために、同じ音楽を何度も再生します。彼らにとっていいねを手に入れることは楽しいかもしれませんが、私たちのような参拝客にとっては気がかりです」と答えました。



by Yasser Alaa Mobarak

カトマンズ在住のTikTokerであるManisha Adhikaryさんは「TikTokは単なる娯楽のためのメディアであり、そこまで真剣に考える必要はありません。TikTokのコンテンツクリエイターとして、有名な寺院でムービーを撮影してはならないと決まっているのであれば、必ずしもそこで撮影する必要はないことは理解すべきです。重要なのは創造性であり、動画を撮影する場所ではないのです」と答えています。

弁護士でコラムニストのGyan Basnet氏は「TikTokの全面禁止は最も簡単な措置です。しかし、当局は何かを全面的に禁止するのではなく、TikTokのコンテンツクリエイターに寺院が神聖な場所であることを尊重するように呼びかけるべきでした。TikTokは寺院に観光客を呼び込む強力なメディアであり、これを無視することはできません」と述べました。