「歯磨き粉みたい」といわれることも

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 6月20日は「ペパーミントの日」です。暑い季節はミントが持つ爽やかな香りや味わいが恋しくなりますが、中でも、チョコレートの甘さにミントの清涼感が合わさった「チョコミント」フレーバーの人気は高く、アイスクリームを筆頭にチョコミント味のお菓子はいまや、夏の定番となっています。その一方で、甘さと清涼感を同時に味わうチョコミントが「歯磨き粉みたいで苦手」という人がいるのも事実で、とりわけ、関西エリアの人たちに嫌われる傾向があるようです。

 関西の人が「チョコミント嫌い」というのは本当なのでしょうか。一般社団法人日本味覚協会の水野考貴さんに聞きました。

「甘いソース文化」が関係?

Q.チョコミントの好みについて、地域差がみられるというのは事実でしょうか。

水野さん「事実といえると思います。2016年7月、不動産情報サービスのアットホーム(東京都大田区)が全国の20〜59歳の男女1457人(47都道府県から各31人)を対象に実施した調査によると、『チョコミント味のアイスは好きですか』との問いに対し、『はい』と答えた人は36%、『どちらでもない』は15.5%、『いいえ』は48.5%との結果が出ており、好みが割れていることが分かります。

次に、『はい』の回答率が高かった地域を見ると、北海道と宮城が54.8%で1位、山形と埼玉が51.6%、岩手が48.4%で続き、北海道や東北など、北の地域で人気が高い結果です。逆に最も低かったのが大阪と高知で9.7%、近畿や中国、四国のほとんどの地域が30%台となるなど、関西以西で人気の低い傾向が顕著でした」

Q.「チョコミントが苦手」な理由として、「歯磨き粉っぽい」「甘いのにスースーするのが苦手」といった意見がよく聞かれますが、これについてどう思われますか。

水野さん「チョコミントの味には『甘さ』と『清涼感』が同居しています。たこ焼きやお好み焼きなどの甘いソース文化が根付いている関西の人にとって、甘さが後味に残る意味は大きく、甘いものを食べた後には甘さが残ってほしいものです。しかしチョコミントは、ミントのスースーとした清涼感で甘さが消えてしまうため、どっちつかずの味として受け入れられにくいのではないでしょうか。

つまり、チョコミントが苦手な人は『(たこ焼きなどの)甘い後味が残ることを好む』、逆にチョコミントが好きな人は『甘さが控えめで、後味が残らずすっきりとしていることを好む』といえるでしょう」

Q.ちなみに、チョコミント人気が高いのが「北の地域」なのも気になりました。

水野さん「先述の調査結果で、『チョコミント味のアイスが好き』との回答が最も多かった北海道にはハッカの文化があり、北見市は世界的なハッカ油の産地として知られています。そうした文化的背景や地域性も、チョコミントのフレーバーが受け入れられやすい土壌を形成しているのかもしれません。

チョコミントの『甘さ』と『清涼感』を含む味は非常に独特で、初めて食べると『おいしくない』と感じがちですが、食べ続けることで味に慣れ親しみ、おいしいと感じることができるようになります。新しい味に敏感かどうか、また、好きと思えるかどうかは地域性や食文化、年齢などの影響を受けますが、新しい味にチャレンジしてみるのもよいでしょう」