令和最新!スマホで使えるType-C接続のフロッピーディスクドライブを作る:ウェブ情報実験室(宮里圭介)
スマートフォンやタブレット、そしてPCまで、USB Type-C(以下、Type-C)は数多くの機器で採用されるようになっています。
ちょっと前までは、「いくら本体側がType-Cを搭載していても、接続する機器がType-Aばかりだから意味がない」……なんて声もあったのですが、そこは卵が先か鶏が先かという話なだけ。そこそこ普及した現在は、多くの機器でType-Cが採用されるようになりました。
実際にPCの周辺機器を見回してみても、USBハブ、USBメモリー、メモリーカードリーダー、マウス、キーボード、ディスプレー、マイク、スピーカーなど、Type-Cを採用する機器は簡単に見つかります。
ただし、比較的大型の製品や、新しい製品が出にくい機器では、Type-Cへの移行が遅れているのも事実。実際、3.5インチHDDを使った大容量の外付けUSB HDDは、Type-Aを採用しているものが多いように感じます。また、プリンターもType-Cへ移行できていない機器のひとつでしょう。
とはいえ、これらはあくまで遅れているだけで、今後、Type-C対応の製品が出てくることは想像に難くありません。
問題は、すでに新製品が望めず、取り残されてしまった機器。こういった機器もType-Cで使いたい!
そんな思いを実現するため、USBフロッピーディスクドライブをネイティブType-C化してみました。
必要なのはUSB接続の💾ドライブ
Type-C化するといっても、ケーブルを植え替え+αの簡単な改造です。そのため、材料としてUSB接続のフロッピーディスクドライブが必要となります。
入手方法はいくつかありますが、安く手に入れるならハードオフなどの中古店に行くのがいいでしょう。1台数百円で投げ売りされていることが多いので、2〜3台確保してくるのがオススメです。複数台買うのは、壊れていた時のための保険。
ちなみに自分は気が向いたときに買ってたんですが、気づくとなんか大変なことになってました。気にしたら負けです。
故障率は結構低くて、1割くらい。意外と動きます。
近くに中古店がない、というのであれば、個人売買サイトを活用しましょう。探すと送料込みで500円とかでありますし、1000円以下で手に入れることができます。動くかどうかわからない中古はちょっと……というのであれば、アマゾンのマケプレをどうぞ。2000円前後で新品っぽいものが出品されているので、お手頃です。ただし、レビューを見ると中古品や故障品が混じっているようなので、注意は必要ですが。
続いて、Type-Cのケーブルを用意。手持ちに余っているものがあればそれを、なければ100円ショップに行って調達してくるのがいいと思います。ここは、必ず両端Type-Cのケーブルを購入すること。片側Type-Aのものは内部の結線が足りません。
あとは5.1kΩの抵抗を1本用意します。
そもそも改造がダルイといった、この記事の根底をひっくり返すような思想の持主であれば、この変換アダプターを買いましょう。
挿せば終わります。
なお、今回はネイティブType-Cにこだわるため、これは使いません。
ドライブのケースを分解してケーブルを植え替える
ドライブの分解方法は製品によりますが、比較的多く見かけたDELLの付属品を例に分解してみましょう。
まず、裏面にあるネジ2本を外します。
続いて、ケースの上蓋を3mm程手前にずらします。
このずらした状態で持ち上げると外れます。ツメが引っかかってたりするので、前後に少し揺らしながら外すといいでしょう。
上蓋が開いたら、ドライブを固定してあるネジを外し、ケースとドライブを分離します。
ここまで分解できたら、ケーブルの植え替えです。今回はコネクターが使われていましたが、これを無視してケーブルを途中で切り、ハンダ付けします。代わりのコネクターを入手して丁寧に作業するのもありですが、元に戻すこともないですしね。
ケーブルを切った後は、テスターで配線の確認をしておきます。元のType-Aの端子左から、赤、白、緑、黒となっていました。これをメモしておきます。
続いて、植え替えるType-Cケーブルを切り、本来存在してはならない謎のC to A変換アダプターを使って配線を調べます。この変換アダプターを使う理由は、端子にテスターを当てやすいから、というだけ。配線さえわかるなら、どんな方法を使ってもいいです。
ということで調べた結果、赤、白、緑、黒の4本は同じ並びになっていました。黄色が1本余ってますが、これはCC(Configuration Channel)で、5.1kΩでプルダウンしてやることで、デバイスだと認識させることができます。
今回、メインとなる4本は同じ色となっていますので、これらはそのまま結線すればOKです。黄色は抵抗を繋いでGND、つまり黒に接続します。
ちなみに抵抗は5kΩ前後のものであれば大丈夫なようで、今回は手元にあった4.7kΩを使いましたが、ちゃんと動作しました。なお、フレームGNDはType-Cケーブルになかったので、無視してます。
接続部を熱収縮チューブで絶縁し、抜け防止にケーブルをひと結びしてはめ込めば、改造完了。あとは分解した逆の手順で組み立てて完成です。
せっかくなのでPixel 6に接続してみた
PCで使えたところで面白くないため、他の機器からも使えないか試してみました。そう、スマートフォンです。
とりあえず、FDをセットしてから何も考えずに手元のPixel 6に接続してみたところ、ドライブを認識して驚きました。とはいえ順調というわけでもなく、「対応していない」とか怒られてしまいます。
フォーマットがFATじゃダメみたいですね。ということで、通知をタップしてフォーマットしてやります。
「TEAC製USBドライブ」となっていますが、これがFDドライブのこと。ここで「USBドライブをフォーマット」を選ぶとフォーマットしてくれます。フォーマット後にもなにかアクセスが続いてる感じがしますが、終わりまで素直に待ちます。
無事に終われば、あとはUSBメモリーと同じように利用可能に。Filesなどのアプリでストレージデバイスを見ると、「TEAC FD-05PUB」としてFDドライブが認識されていました。
ただし、容量は400KB以下。システム用のファイルやLOST.DIRのフォルダーがだいぶ容量を食ってしまっているのでしょうか。ちなみにファイルをコピーしてみましたが、ちゃんと書き込みも読み出しも成功。また、他のスマートフォン(OPPO Reno3 A)に接続しても利用できました。
思い付きで始めたプチ改造ですが、まさかスマートフォンでFDを使う日が来るとは思いませんでした。FDのフォーマットが変わるため、Windows PCへのデータ移動に使えないという致命的な欠点から目を背けつつ、気になる人は試してみましょう。Linuxだったら大丈夫な気がします。
なお、ケーブルを植え替えたのは「ネイティブType-C接続だ!」と言いたかっただけなので、変なコダワリがないなら変換アダプターを使ってください。楽だし確実です。