アパレル店スタッフが“困った客”について語ってくれた(写真:イメージマート)

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コロナ禍に入り、ネット通販やライブコマースが広がりを見せるも、身に着ける洋服はアパレル店で実際に試着してから購入したいという人も未だ多い。その中には、困った客もいるようで……。

高橋真由さん(仮名・23歳)が働いているアパレル店で販売しているのは、東京・青山にある30代〜40代向けのブランド。キレイ系のファッションが人気で、お客さんは30代〜50代女性が多いという。そんな高橋さんに、実際に体験した“困った客”についてのエピソードを聞いた。

「男性のお客さまが、商品は全く見ずに急に話しかけてきたと思ったら、“電話番号”を渡してきたんです。いわゆる“ナンパ客”でした。勤務中でしたので、もちろん丁寧にお断りしました」

このような勤務中のナンパは、アパレルスタッフ内で“あるある”だという。

■男性客が『セーラームーン』の衣装を着て、女性スタッフに感想を求める

「コートを着た男性のお客さまが目の前でいきなり、バッ! っとコートを脱ぎ始めたんです。何かと思ったら、中に着ていた『セーラームーン』の衣装を見せてきました。そして『どうですか?』と感想を求められたんです。周りのお客さんもいらっしゃったので冷静に『いいですね』とお伝えし、過剰な反応をしないよう心掛けました」(高橋さん・以下同)

このような客でも警察に通報することはなく、過剰な反応をしないように注意を払っているそうだ。

■「バレエの白鳥スカート」を履いた男性客が店内をウロチョロ

先ほどの『セーラームーン』衣装を超える客も。

「40代くらいの男性のお客さまが、『バレエの白鳥スカート』姿で店内をウロチョロしていました。商品を見ている訳ではなく、キョロキョロと周りのお客さんを見ている様子で、本人も居心地が悪そうにしていました」

そんな“珍しいお客さま”には、どんな対応をしたのだろうか?

「周りのお客さまの目もあったので、店長が『今はほかのお客さまもいるので、閉店後に来店いただければ、改めて接客させていただきます』と本人に伝えました。すると、お伝えした通り、その日の閉店後に再び来店されたので、スタッフ全員で接客しました」

閉店後にスタッフ全員で対応するという、まさに“VIP対応”となったわけだ。

■欲しい商品が売り切れで“スタッフに激怒するマダム”

人気商品や新商品の入荷日を教えてほしいと依頼があった場合、電話で入荷日を知らせているという高橋さん。しかし困った客は一筋縄ではいかない。

「人気商品や新商品がほしいとおっしゃったお客さまには、入荷の前日に改めてお電話しています。それでも人気商品が入る日は店内が混み合い、すぐに商品がなくなってしまうことも。50代のマダムが来店されたときには、人気商品である『マスク』の1色が売り切れることに。すると、『欲しいって言ってた色がないじゃない!』と接客していたスタッフに怒声を浴びせていました。結局、そのスタッフは1時間以上も怒られていたんです」

マダムはスタッフだけでなく、周りのお客さんにも「見てんじゃないわよ!」と声をあげ、それを聞いたお客さんも「うるさい!」と押収。店内で喧嘩状態になってしまったという。

■「シワがついてるから、アイロンかけて自宅に持って来なさい」

困った客はまだまだいる。

「セーターを購入された50代の女性のお客さまが、新品の商品を見て『明日着たいのに、シワがついてるじゃない。すぐにアイロンかけて家まで持ってきて』とおっしゃいました。店内のハンガーにかけられている服は全てアイロンをかけていますが、お客さまが購入したセーターは畳んで保管してある商品でした。新品だからこそ、どうしても多少のシワはついてしまうのです……。そのあとはすぐにアイロンをかけて、“バイク便”でお客さんのご自宅にお届けしました」

もちろん、配送にかかった費用は店持ちだという。

■洋服の値下げを要求してくる人

「50代くらいの女性のお客様が来店し、お洋服を2点ご購入いただいた際、『31,000円の端数の1,000円を値引いてちょうだい』と値下げを要求されました。丁寧にお断りすると『話にならないから店長呼んで』と怒られてしまいました」

結局、値下げすることはなくきちんとお支払いしてもらったという。

コロナ禍でソーシャルディスタンスが求められているなか、“困った迷惑客”にも丁寧に接客するアパレル店員の苦労は、計り知れない。