Wi-Fiと無線LANは違うの? 製品名やサービス名ではないWi-Fiの意外に知らないこと

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「Wi-Fi(ワイファイ)」は、コロナ禍でのテレワークやスマートフォンの普及によって広く知られるようになったもののひとつだ。

Wi-Fi自体は、テレワークやスマートフォンが登場する以前からあった。
年々、利用でのメリットが知られてきたが、その名を多くの人が認識、知るきっかけになったのが、コロナ禍でのテレワークやスマートフォン、オンラインゲームという人も多いのではないだろうか。

しかしWi-Fiと聞いても、
・インターネットにつながるサービス
・利用するには設定が必要
・お店や駅などあちこちにある
このような、ざっくりとした認識しか持っていないという人が多いのも実情かもしれない。

中にはWi-Fiについて、誤解や詳しいことは知らないといった人も多いのではないだろうか。

そのせいか、自宅にWi-Fiを導入しても、
・Wi-Fiでインターネットに接続ができない
・Wi-Fiで接続したら通信速度が遅くなった
このようなトラブルや不具合が発生して困っているという声も多く聞く。

実際、Wi-Fiでのトラブルは、Wi-Fiについての知識がないと解決に時間がかかったり、解決てきなかったりする。

そこで今回は、Wi-Fiの基礎知識について解説する。


■Wi-Fiは何の意味? サービス名でも規格名でもない
Wi-Fiという言葉の意味は、普段何気なく使っている程度だと意外に知らない。
Wi-Fiは本来、サービスや製品、規格の名称ではないのだ。


そもそもWi-Fiとはなんなのか


Wi-Fiを説明する前に、いくつかの用語を解説しておこう。

まずは、無線LAN(ムセンラン)だ。
無線はワイヤレスのことで、LANは(Local Area Network:ローカルエリアネットワーク)の頭文字を取った略称である。
つまり、自宅やオフィス、店舗など局所的なエリア(ローカルエリア)でワイヤレス接続するネットワークのことを無線LANという。

次はIEEE(アイ・トリプル・イー)だ。
こちらもInstitute of Electrical and Electronics Engineers(インスティトゥート・オブ・エレクトリカル・アンド・エレクトロニクス・エンジニアズ)の頭文字を取った略称で、米国電気電子学会を指す組織名だ。

このIEEEが策定した無線LANに関する国際標準規格のひとつに「IEEE 802.11(アイトリプルイー・ハチマルニテンイチイチ)」というものがある。

Wi-Fiとは、
このIEEE 802.11規格をベースにした無線LAN接続技術のこと。
Wi-Fiという名称は、米国に拠点を置く「Wi-Fi Alliance(ワイファイ・アライアンス)」という業界団体によって認証されたことを表しているのだ。

つまり、そもそもは技術についての名称なのである。
そして、Wi-Fi Allianceの認証を受けた製品に表示される名称でもあるのだ。
そのため、無線LAN接続ができる製品であっても、Wi-Fi Allianceの認証を受けていない製品にはWi-Fiのロゴ表記はなく、またWi-Fi製品であることを名乗ることもできないことになっている。

一言でいうならWi-Fiは、無線LAN接続技術のひとつなのだ。

いくつかある技術のうちのひとつではあるものの、Wi-Fi AllianceのWebページを見てみると、

・世界で最も幅広く利用されている無線通信技術
・世界のインターネット トラフィックにおける主要な媒体
・3兆3,000億ドルの世界的な経済価値
・40億以上のデバイス年間出荷実績、世界で使われているデバイス数は160億
このような記載があり、世界的に利用されている無線ネットワーク技術であることがわかる。


■Wi-Fiの仕組み どうやってインターネット接続しているの?
自宅などでインターネットを申し込んで利用できるようにした場合、モデムといわれる機器などとLANケーブルでパソコンを接続することでインターネットが利用できる。
これを有線LAN接続という。

デスクトップパソコンが主流だった頃は、この有線LAN接続が主流であった。

しかし、現在のパソコン利用はノートパソコンが主流となり、ニーズが変わった。
ノートパソコンの本体は小型軽量なため、家庭内や屋外などに持ち運びや移動ができる。
このため有線LANのようにケーブル接続では移動できないだけでなく、移動先でインターネットが利用できないという問題も発生する。

LANケーブルを接続しなくても、インターネットに接続する方法はないか?

このような考え、ニーズから、
Wi-Fi(無線LAN)で、インターネット接続をするようになったのだ。

さてWi-Fiでインターネット接続するためには、ケーブルの代わりに必要な機器がある。
それがWi-Fiルーターだ。

Wi-Fiルーターは、インターネット回線が通じているモデムと有線LAN接続し、その先のパソコンやスマートフォン、ゲーム機などのWi-Fi対応機器とWi-Fi接続(設定)することでインターネットが利用できるのだ。

これがWi-Fiの仕組みだ。
この仕組みを知っていれば、外出時の駅や店舗などで提供されているWi-Fiは、どこかに設置されているWi-Fiルーターと自分のパソコンやスマートフォンを接続(設定)することでケーブル無しでインターネット利用できるようになっていると理解できる。


モバイルWi-Fiルーターがあれば外出先でも様々な機器をインターネットに接続できる


Wi-Fiを1度使えば、便利さから有線LANに戻れない。
そういう人も多いだろう。

そして生まれたのが、
・ポケットワイファイ
・UQ WiMAX(ユーキュー ワイマックス)
これらに代表される「モバイルWi-Fiルーター」なのだ。

モバイルWi-Fiルーターを持ち運べれば、外出先でもWi-Fi(無線LAN)が利用できるため、さらに便利にWi-Fiを利用できる。


■Wi-Fiにはいくつかの種類がある
IEEE 802.11規格には、技術の進歩にともなっていくつかの種類がある。

「IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax」

スマートフォンやパソコン、Wi-Fiルーターなど、Wi-Fi対応の製品のカタログスペックを見るとこうした表記がある。

これは、それぞれ
IEEE802.11a
IEEE802.11b
IEEE802.11g
IEEE802.11n
IEEE802.11ac
IEEE802.11ax
これらの規格をまとめて表記したものだ。

それぞれの詳細は割愛するが、利用する電波の周波数帯域や通信速度などが異なる。


Wi-Fiにおいて「2G」は「2GHz帯」、「5G」は「5GHz帯」の周波数帯域を表している


このいくつかあるIEEE 802.11規格のうち、
・IEEE802.11nをWi-Fi 4(ワイファイ フォー)
・IEEE802.11acをWi-Fi 5(ワイファイ ファイブ)
・IEEE802.11axをWi-Fi 6(ワイファイ シックス)
このように呼称されている。

それぞれ第4世代、第5世代、第6世代という意味で付けられている。
この世代によって、Wi-Fiでの最大通信速度が向上しており、大きな差がある。

冒頭で「速度が遅い」というトラブルについて触れた。
自宅のインターネットの契約は超高速だが、Wi-Fiルーターで接続すると、
パソコンやスマートフォンなどで速さを実感できない。
こうした例も多い。

この場合、
・LANケーブルで有線接続されているWi-Fiルーターまでは超高速で通信できている
・Wi-Fiルーターが高速なWi-Fi規格に対応していないので通信が遅くなる
こうした理由が考えられる。

Wi-Fiルーターが対応している無線LAN規格の最大通信速度が、Wi-Fi接続するパソコンやスマートフォンでできる最大の通信速度となる。

つまり、有線LANで使えているインターネット通信速度が、そのままWi-Fi(無線LAN)で実行できるワケではないのだ。

超高速なインターネット回線契約をしているが、Wi-Fi接続ではWebページの表示など、インターネット通信が遅くなっていると感じた場合は、まずは使っているWi-Fiルーターの仕様を確認してみるといいだろう。


このように一言でWi-Fiといっても意外に知らないことは多い。
さらに、Wi-Fi技術は、日進月歩で向上しているため、数年後にはまた新たな規格に準拠したWi-Fiも登場するだろう。

そしてこうしたWi-Fi技術の進歩は、
日常生活で使っているパソコンやスマートフォンにいち早く取り入れられ、
我々の生活を快適にしてくれることも覚えておきたい。

Wi-Fi Alliance
IEEE ジャパン・オフィス




執筆:S-MAX編集部 2106bpm