寒い時こそベストシーズン!? 冬に屋根を開けて「オープンカー」に乗りたくなる理由とは

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オープンカーはとても贅沢なモデルだった!?

 クルマ好きなら一度は乗ってみたいと思うクルマといえばオープンカーでしょう。

 オープンカーは屋根を開けて開放的な気分と風を味わいながら乗れる贅沢なモデルだといえますが、じつは晩秋や冬こそオープンカーにベストな季節だということはあまり知られていません。

【画像】露天風呂みたい!? 軽からラグジュアリーまで、冬に乗りたいオープンカー(26枚)

 なぜオープンカーは、冬がベストシーズンなのでしょうか。

寒い時期がオープンカーに最適

 日本には四季があり、春夏秋冬で気候がまったく異なります。オープンカーは屋根を開けて走ることから気候の影響を受けやすく、例えば春は暖かくて心地よい季節であるものの、花粉が舞うことから花粉症の人がオープンカーに乗るのは過酷でしょう。

 また夏は暑さが厳しく、屋根を開けて灼熱のなかでオープンカーに乗ると熱中症の危険が伴います。

「寒い」というデメリットはあるものの、晴天率が高い晩秋から冬にかけては、オープンエアを楽しむのに最適なのです(もちろん雪が降っているときに屋根を開けることはできませんが)。

 自動車発祥の地である欧州では日照時間が短い地域も多く、日差しを浴びることは贅沢な行為だとされています。

 また、かつてクルマは富の象徴でもあり、耐候性に優れた屋根付きのクローズドボディが作られているにも関わらず、それを犠牲にしてまで日差しを浴びるという贅沢を味わえるとあって、高級車を中心にオープンカーが作られてきました。

 現在ではエアコンをはじめとした空調システムの高性能化もあって、より快適に日差しを浴びながら走行することが可能になっています。

 また、クローズドボディの屋根を取り除いても十分な剛性を確保するためには、見えない部分で専用の補強が必要です。そのため専用パーツが多く使われており、その分も車両価格に反映されます。

 この実用性の犠牲や専用設計などの努力も含めて実現したという付加価値があるからこそ、オープンカーは贅沢だといえるでしょう。

 さらに最近のオープンカーは風の巻き込みなどを極力抑えるように設計され、効きが良いヒーターやシートヒーターも装備されるなど、防寒対策が施されています。

 ただし、いくら風の巻き込みを軽減した設計とはいえ、クローズドボディと比べればオープン状態では耐候性は劣りますし、外気の寒さをまったく感じないわけではありません。

 屋根をオープンにしたときは上着を着たりブランケットをかけたり、あまりにも寒くなったときは屋根を閉めるなどして、臨機応変に楽しむのがよさそうです。

※ ※ ※

 クルマ好きの間では「ドイツ製オープンは日差しを味わうため、日本製オープンは季節の移り変わりを感じるため、イタリア製オープンは乗っている自分を格好良く見せるため」といわれており、オープンカーの役割にはお国柄が表れているようです。

軽からスポーツや高級車まで! キャラ違いで楽しめるオープンカー

 オープンカーにはさまざまなタイプが存在しますが、現在日本で販売されているオープンカーの代表的なモデルを紹介します。

●ダイハツ「コペン」

 昨今の軽自動車といえば、広い車内空間と実用性を重視したトールワゴンスタイルが主流です。

 その一方、軽だからこそのコンパクトなボディや小排気量、維持費の安さにより、「遊びグルマ」としても最適なジャンル。そこで注目されるのが、軽オープンスポーツです。

ダイハツ「コペン」

 軽自動車でありながら、スポーツカーとオープンカーをミックスさせた存在として、クルマ好きからは熱い視線が注がれてきたジャンルですが、ホンダ「S660」の生産終了が決定したいま、現行モデルで唯一となるのがダイハツ「コペン」です。

 初代コペンは、丸みを帯びたレトロ調デザインと、軽市販車としては初となる電動油圧ポンプによる開閉式ルーフ「アクティブトップ」を採用したチャレンジングな軽スポーツとして2002年に誕生。660cc直列4気筒のターボエンジンを搭載し、当時のダイハツでは唯一のMTを設定するなど、ダイハツ製軽自動車のイメージリーダーとしても活躍しました。

 現行モデルの2代目コペンは2014年に登場。十分な剛性を確保する骨格構造「D-Frame」により実現した外装着脱構造「ドレスフォーメーション」を採用し、ボディ外板パネルを交換できる仕様としました。

 全長3395mm×全幅1475mm×全高1280mmのボディに、軽規格いっぱいの64馬力を発揮する直列3気筒ターボエンジンを搭載。CVT(7速MTモード付き)と5速MTを用意しています。

 外観は、スポーツカーとしての躍動感を高めた「ローブ」、アグレッシブをテーマとした「エクスプレイ」、初代モデルを彷彿とさせる丸目ヘッドライトの「セロ」、トヨタのスポーツ部門であるGAZOO Racingのノウハウを注入した「GRスポーツ」の4タイプを展開しています(GRスポーツのみダイハツとトヨタが販売)。

 また、前述のドレスフォーメーションによって、ローブとセロはボディ外板パネルを交換できるというユニークな仕様を実現しました。

●マツダ「ロードスター」

 「日本が世界に誇るオープンスポーツ」の代名詞ともいえる名車が、マツダ「ロードスター」です。認知も高く、世界のオープンカー市場にも多大な影響を与えたといわれています。

 もともとは1950年代から1960年代に流行した「ライトウェイトスポーツ」という概念を現代の技術で甦らせたのが、1989年に登場した初代「ロードスター」です。

 扱いやすいコンパクトサイズのボディに、ハイパワーではないけれど素直なNAエンジン、さらにMTを駆使してクルマとの一体感をオープンエアで楽しむという発想で誕生し、世界的な大ヒットモデルへと成長しました。

 現行モデルとなる4代目が誕生したのが2015年。現在のマツダでも受け継がれている「SKYACTIV TECHNOLOGY」と「魂動デザイン」を踏襲し、よりグラマラスなボディラインへと進化しました。

 全長3915mm×全幅1735mm×全高1235mmと幅のみ3ナンバーになりましたが、それでもフロントオーバーハングを短くするなどで「人馬一体」コンセプトは継続。3代目で2リッターまで拡大された排気量を改めて1.5リッターにダウンサイジングするなど、原点回帰な部分もみられます。

 2016年には、リトラクタブルハードトップと2リッターエンジンを搭載したクーペスタイルの「RF」が追加されましたが、こちらもノスタルジーを感じさせるスポーツカーらしいスタイリングで人気モデルとなっています。

 高速でも過不足なく走れるパワーを持つ排気量の普通車サイズのオープンカーは希少であり、その希少さが人気となっています。

●メルセデス・ベンツ「Eクラスカブリオレ」

 ひと言で「オープンカー」といっても、ベース車両によってカテゴリーもさまざま。なかでも、実用性とラグジュアリーさを組み合わせたオープンはひと際高い人気を誇ります。そしてその代表といえるのが、メルセデス・ベンツ「Eクラスカブリオレ」です。

「Eセグメント」と呼ばれるプレミアムサルーンの代表格であり、世界の高級セダンの指標とまでされたメルセデス・ベンツ「Eクラス」は、1985年に初代が登場してから一貫してセダンだけでなく、クーペ、ワゴン、そしてカブリオレ(オープン)を作り続けてきました。

 現行モデルは2016年に登場した5代目(W213)で、複数のボディタイプに幅広いパワートレインを搭載しています。

 Eクラスカブリオレはクーペをベースに全長4830mm×全幅1860mm×全高1430mmとプレミアムサルーンらしいワイドなボディを採用。

 エンジンは1.5リッターターボエンジン+48V電気システム(マイルドハイブリッド)の「E200カブリオレ」と2リッターエンジン搭載の「E300カブリオレ」、3リッターツインターボエンジン&4WDの「E450 4マチックカブリオレ」、さらには435馬力までパワーアップされた「E53 4マチック カブリオレ」をラインナップしています。

 何より、威風堂々とした佇まいのエクステリアと、贅を尽くした高級感あふれるインテリア、しかも4座オープンという非常に贅沢な作りになっています。

 メタルハードトップではなく「アコースティックソフトトップ」と呼ばれる電動格納式ソフトトップを採用していますが、耐候性には問題ありません。

 さらにメルセデス・ベンツらしい世界最高水準の安全性を誇るなど、Eクラスが持つ高い実用性や快適性を確保しつつ、オープンという付加価値を加えた真のプレミアムモデルだといえます。

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 オープンカーは贅沢なジャンルのひとつとして昔から存在してきたわけですが、所有するだけでもその満足感は格別です。

 眺めているだけでも満足でき、屋根を開けなくても楽しい、屋根を開ければもっと楽しいというモデルになっています。

 とくに寒い風が頭部を抜け、下半身はエアコン&シートヒーターで暖かくして走る、通称「露天風呂」走りは冬のオープン乗りならではの特権でしょう。