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来年2022年2月開館予定の東京都中野区立・中野東図書館の「巨大本棚」が、ネット上で話題になっている。

区立図書館の公式アカウントが11月7日、ツイッターに投稿した内容・画像によると、この本棚は、7階の天井から9階にかけて吹き抜けになった場所に設置されている。

3階分の高さがある本棚だけあって、投稿された画像を見るだけでも相当な迫力と存在感が伝わってくるが、7階より高層にある本棚部分はとても通常の手段では近づけず、普段から本の出し入れをする場所には見えない。

この投稿に対しては、「怖い」「危なそう」「地震対策がどうなされているのか」など安全面を不安視する声や、「これは飾り?」「本棚として使用しないならただの無駄」など図書館のデザインとして不適切だとする意見が目立つ。

●「デザインも楽しみながら本を選んでもらいたい」

はたして、どのような意図でこの巨大本棚を設置したのだろうか。

区立図書館を運用・支援する区子ども・教育政策課の担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「視覚的にも楽しみながら本を選んでもらえればという狙いがある」と巨大本棚を設置した目的を話す。

「文化施設のデザインとして、大きな書架(本棚)を設置することで、開放感や見栄えなどを考慮してます。

また、高い部分のエリアについては、実際の本を入れるのではなく、たとえば発泡スチロールなどの素材でできた本に模したものや、本の表紙部分を少し展示するような形でのレイアウトを想定しています。

来ていただいた方の視覚に訴えて、デザインも楽しみながら本を選んだり、展示を見て興味関心を持っていただくといった狙いがあります」

この本棚には、各フロアの廊下側に面した部分も表側と同じように作られており、そこから職員のみが開け閉めできるようにして、表側の展示など入れ替えることができる仕組みになっているという。

「表側が展示してあるものの本物を裏側に配置して、(表側の展示で)実際見たものがすぐ手に取れるような仕掛けもできるようになっています」

本棚の一番下のエリアに当たる7階の部分については、ほかの本棚と同様に貸し出す図書を配置する予定でいるが、「みなさまのご意見やご心配の声なども確認しながら決めていきたい」としている。

地震があった場合や落下物対策など安全面に関しては「重々承知している」といい、吹き抜け部分の上層部から物が落下しても、下のエリアにいる利用者に当たらないよう、ネットの設置なども検討しているという。

●「配慮や説明が足りてなかった」

巨大本棚について、11月12日時点では、まだ区役所に意見などが直接は届いてはいないが、ツイッターでの反響を受けて、区は11月11日に「中野東図書館の吹抜書架の取扱いと安全対策」をホームページ上で掲載した。

「(書架の画像をアップした)ツイートに対するご不安の声をたくさんいただき、配慮や説明が不足しているとあらためて認識しました。きちっとご説明しないとみなさまの安心につながらないとして、ホームページで安全対策等について出させていただきました」

同ホームページでは、安全対策として、(1)展示物は紙及び発泡スチロール等の素材で作成する、(2)各階上層部分には書架として認識可能なように、紙及び発泡スチロール等の素材で作成した本のダミーを固定して設置する、(3)吹抜書架向かいのフロア側に落下防止ネットを設置する――としている。