「アイスドリンクを飲み終わった後に残った氷をついガリガリとかみ砕いてしまう」という人は多いはず。アイスキャンディーなどと違って糖分を含んでいないただの氷でも、かみ砕いて食べると虫歯のリスクを高めてしまうと、歯の専門家が指摘しています。

Is chewing on ice cubes bad for your teeth?

https://theconversation.com/is-chewing-on-ice-cubes-bad-for-your-teeth-168714

ピッツバーグ大学歯学部の准教授で小児歯科の専門家でもあるマシュー・クック氏の元には、患者や子どもの親からよく「氷をかむのが好きな人がいるのはどうしてですか?」「なにか悪い影響はありますか?」といった質問が寄せられるとのこと。



クック氏によると、氷をかむとストレス解消やリラックス効果が期待できるそうです。また、カロリーを摂取せずに何かを食べているような感覚を得ることが可能なので、空腹感を紛らわせるために氷をかむ人もいるほか、ドライマウスの人など氷を口に含むのが単なる習慣になっているケースもあります。

しかし、クック氏は歯科医として「理由が何であれ氷をかむ習慣は直すべきです。氷をかむのは口内の健康に悪影響を及ぼし、運が悪ければ歯科医院に通うはめにもなりかねません」と警告しています。

クック氏が氷をかむのに反対しているのは、歯の表面にあるエナメル質にひびが入り、冷たいものや熱いものを食べたときにしみるようになってしまう可能性があるためです。歯を保護している固いエナメル質に傷がついたり歯がかけたりすると、歯の柔らかい層である象牙質に虫歯菌が作る酸が浸透するようになり、虫歯につながるおそれもあります。

また、歯に詰め物やかぶせ物、歯列矯正具、歯の表面に貼り付けて歯を美しく見せる歯科ベニアなどをつけている人が氷をかむと、特にダメージを受けやすいとのこと。氷をかんで歯にダメージが及ぶと、簡単な詰め物から麻酔を必要とする大規模な処置まで、さまざまな治療を要するような歯のトラブルに発展しかねないと、クック氏は述べています。



そのためクック氏は、以下のような方法で氷をかむ癖をなくすことを推奨しました。

・氷をかまずに口の中で溶かして食べる。

・そもそも氷を食べるのをやめる。製氷機には細菌が繁殖することがあるため、氷を食べないに越したことはないとのこと。

・どうしても氷が食べたい場合は、かき氷など柔らかい氷にする。ただし、甘い氷菓は歯に悪いのでなるべく避けること。

・氷の代わりに生のにんじんのスティックやスライスしたリンゴなど、歯ごたえのある野菜や果物を食べる。歯ごたえのある食べ物は口の中を保護する唾液の分泌を促すほか、繊維質の食べ物には歯をきれいにする効果があるとのこと。

また、理由はよく分かっていないものの、鉄分の不足により氷食症になることもあるので、上記の方法を試しても氷を食べるのをやめられない場合は、食生活の改善や鉄分補給を心がけたり、医師に相談したりするといいと、クック氏は勧めています。