ヨドコウはなぜセレッソ大阪のパートナーになったのか? 二田哲×森島寛晃 社長対談
株式会社淀川製鋼所は、2021年シーズンよりセレッソ大阪のトップパートナーに加わりました。長年「ヨドコウ」の名で親しまれてきたこの企業は、2021年7月17日にこけら落としの試合が行なわれたセレッソ大阪の本拠地、「ヨドコウ桜スタジアム」の命名権も取得しています。
ユニフォーム広告にとどまらず、なぜスタジアムの命名権まで取得したのか。今回は、株式会社淀川製鋼所 代表取締役社長 二田哲氏と株式会社セレッソ大阪 代表取締役社長 森島寛晃の対談が実現。セレッソ大阪のトップパートナーとして歩むことになった経緯やクラブへの想いについて語っていただきました。
決め手は「桜」と「地域貢献」
森島 改めまして、2021年よりセレッソ大阪のトップパートナーに就任いただき、心より感謝申し上げます。ヨドコウさんには、今回の契約によって、ユニフォームへの企業ロゴ掲出に加えて5年間のスタジアム命名権を取得いただきました。
コロナ禍ということもあり、御社にとっても大きなご決断だったと思いますが、初めてこのお話を聞かれたときに、社長はどのように感じられましたか?
二田 弊社の社員から私に話が上がってきたときは「本当にウチでいいの?」と思ったことを覚えています。弊社はヨド物置などのエクステリア商品を事業のひとつの柱としているのですが、認知度が低いことが課題でした。スポーツチームに社名や企業ロゴを露出させることは、その課題を解決する方法でもあると感じたので、「是非やりましょう」とお返事させていただきました。
また、弊社はセレッソさんと同じく「桜」を、社章や鋼板のブランドマークとして使っているのですが、それも縁だな、と感じたのも理由のひとつです。
森島 ありがとうございます。我々としては、新スタジアム(現:ヨドコウ桜スタジアム)の屋根をヨドコウさんの材料で施工して頂いたとお聞きし、これを機にパートナーとして何か一緒に取り組みを出来ないかと考え、お声がけさせていただきました。また、ヨドコウさんの歴史など色々と調べていくうちに、企業シンボルが我々と同じ「桜」であることも知り、「これは是非セレッソファミリーに加わっていただくしかない!」と。結果としてこういう形になり、大変嬉しく思います。
ちなみに、トップパートナーとなられた決め手を教えていただけますか?
パートナーシップ契約締結時の記者会見の様子
二田 先ほども申し上げましたが、弊社の名前をもっと多くの皆さんに知っていただけると思ったことが最も大きな理由ですね。特に若年層の認知度が低く、これは採用の観点からもあまり良い話ではありません。セレッソさんのパートナーになることで、弊社の名前を知っていただくきっかけになればと。
実はここ数年個人株主を増やす取り組みを積極的に進めているのですが、その数はかなり増えています。今回のセレッソさんのパートナー就任を契機にヨドコウの存在を知って、個人株主となっていただいた方は多いと思います。また、地域貢献を唄うJリーグの理念に弊社も賛同するところがありました。こういった点も含めてトータルで考え、共に活動させていただきたいと思った次第です。
<セレッソ大阪のホームタウン活動について、AZrenaで以前取材しています!>
森島 地域貢献を積極的に行ない、サッカーを通じて皆さんに夢を与えていくことは、まさにセレッソの企業理念として掲げていることでもあり、我々が求められている大切な役割だと考えています。
二田 セレッソさんがそういった活動をされていることは弊社の耳にも入っていましたし、それを応援するのも、地元企業ができる地域貢献活動のひとつの形だと考えています。収益を上げることは企業にとって重要ですが、社会的な責任も企業に問われる時代となっています。既にヨーロッパのスポーツチームは地域に根ざしていますし、日本でもそういった考えが広がることが重要ですよね。
鎖骨の「ヨドコウ」がカタカナの理由
森島 トップパートナーに就任されて以降、セレッソと一緒に様々な活動をしていただく中で、何か印象に残っていることはありますか?
二田 まだ日が浅いのでこれから色々と作っていきたいなとは思っていますが、個人的には、ヨドコウ桜スタジアムのこけら落としであり、ヨドコウの冠試合として開催した7月17日の試合でキックインセレモニーをやらせていただいたことですね。まともにボールを蹴るのは高校以来だったので、少々不安でしたけど(笑)。この試合は社員や家族も試合前のイベントに参加させていただいて、非常に良い思い出が作れたかなと思います。
でも、一番印象に残っていることは、鎖骨部分に『ヨドコウ』とロゴが入ったユニフォームで選手がプレーする姿を見たことです。
キックインセレモニーを行う二田社長
森島 鎖骨広告は選手の顔にも近いので、メディアのインタビューを受ける際にも、一緒に写ることが多いですからね。
二田 実は、『ヨドコウ』の文字をカタカナにするかローマ字にするかという議論が社内でもありました。見栄えが良いので、ローマ字を選ぶ企業が多いと思いますし、社内でもその方向で進むかと思いました。でも、営業本部長が「どうしてもカタカナにしたい。絶対にその方が目立つ」と力説しまして、こうなったと(笑)。実際に見てみると、かなり目立っていて、インパクトもありますよね。
2021シーズンの開幕戦で大久保(嘉人)選手がゴールを決めたシーンをスポーツニュースで見て、弊社のロゴが大写しになったその瞬間に喜びを感じました。
2021シーズンJリーグ開幕戦でゴールを決める大久保選手
森島 カタカナロゴの背景には、そんな裏話があったんですね(笑)。大久保選手はこれまでに得点を量産してきて、リーグでも注目度の高い選手です。長らくヨーロッパでプレーした乾(貴士)選手も帰ってきましたし、彼らの活躍がチームを引っ張ってくれています。「もう、写りすぎや」と言われるくらい、メディアに取り上げられるよう選手たちには頑張ってほしいですね(笑)。
「もっとJリーグの素晴らしさを知ってもらいたい」
森島 我々にとって、ファン・サポーターからの声援はもちろんですが、パートナーの皆様からのサポートは本当に力になります。ただ、今もセレッソを応援しようかどうかと迷っておられる企業の方も多くいるかと思います。そういった方々へ向けて後押しのお言葉をいただけるとありがたいです。
二田 セレッソさんは大変良いチームですので、是非みんなで応援しましょう(笑)。これからますます良くなるチームだと信じています。多くの企業の皆さんにJリーグの素晴らしさや良さを知ってもらいたいと思っています。セレッソさんは「育成型クラブ」として自前で選手を育てていく姿勢でやっておられますが、このコンセプトも良いと思いますね。
森島 ありがとうございます。本当にいろいろな人から愛されるクラブになりたいし、ならなければいけないと、常日頃から思っております。大阪からアジア、そして世界に咲き誇りたいという思いがクラブの中にもありますので、世界で活躍する選手を育てていきたいですね。
二田 やはり、セレッソさんとしてはそれが大事ですよね。良い選手を育て、最後にはしっかりと勝つ。
森島 これはクラブへの要望ということで、社長としてしっかり受け止めます。
二田 サポーターの皆様も、勝つことを望んでいますからね。
勝利を分かち合うセレッソサポーター
森島 ピッチの中で戦うのは選手だけですが、サポーターも一緒に戦っているという意識を強く持っていますからね。選手からしても、疲れている時に彼らの声援を受けると、不思議と力が湧いてきて最後まで頑張れるんです。ヨドコウ桜スタジアムのこけら落としとなった試合では、上限規制の中最大の約5,000人のサポーターに集まっていただきましたが、最後に追いつけたのもその場に集まるサポーターの想いが伝わったからだと思います。サポーターの皆さんがいなければ、最後のひと踏ん張りもできなかったかもしれません。改めて、サポーターの存在の大きさを感じましたし、これからもその声援を力に変えていきたいです。
二田 追いつくだけではなくて、追い越してほしかったのが本音ですが(笑)
森島 次はなんとしてでも(笑)。スタジアムに来ていただいている皆さんにはしっかり笑顔でご挨拶できるようにしたいです。
最後に、2021年は東京でオリンピック・パラリンピックが開催され、企業のスポーツチームに対する支援への意識も変わったのかなと思うのですが、いかがでしょうか。
二田 コロナ禍のように世の中が苦しいときにこそ、スポーツは人を楽しませ、勇気づける力があると確信しております。今夏は「これがスポーツの力だな」と改めて強く感じました。今はいろいろな制約もありますし、選手もその中でプレーをしなければいけません。こういうときだからこそ支援をすることに意義があるし、想いも強くなっていくものなのかな、と。
森島 本当にありがとうございます。ホームゲームがある時には、大阪の皆さんにヨドコウ桜スタジアムに行こうと思ってもらえるように、そしてしっかりとその期待に応えられるように。ちゃんとタイトルをとって、ここ(ヨドコウ本社)に優勝トロフィーを飾っていただけるようにしたいですね。
二田 そんな大事な物をここにずっとは置けないですが(笑)。1週間くらいだけでも置いて、写真を撮らせていただけると嬉しいですね。
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