17歳の少女が妊娠検査薬を見つめて…『17歳の瞳に映る世界』本編映像
第70回ベルリン国際映画祭銀熊賞（審査員グランプリ）などの映画賞に輝いた『17歳の瞳に映る世界』（7月16日公開）より、主人公である17歳の少女オータムの心が揺れ動く姿を捉えた本編映像が公開された。
本作は、第2作『ブルックリンの片隅で』で注目を浴びたエリザ・ヒットマンが監督を務め、思いがけず妊娠した17歳の少女オータムの旅路を描く人間ドラマ。予期せず妊娠していたことを知ったオータムは、未成年者は両親の同意がなければ中絶手術を受けることができないペンシルベニア州を離れて、同じスーパーでアルバイトをしている従妹にして唯一の親友スカイラーとニューヨークへ向かう。オータムを演じたのは、本作が長編映画デビューでありながら、第86回ニューヨーク映画批評家協会主演女優賞、第41回ボストン映画批評家協会主演女優賞など、数々の俳優賞を獲得したシドニー・フラニガン。
今回公開されたのは、勇気を出して妊娠センターを訪れたオータムが、妊娠検査を行った結果を見ながら職員と静かにやりとりをするシーンを切り取った本編映像。オータムは職員に「陽性だけど、陰性の可能性はある？」と質問をするも、職人の「陽性はあくまでも陽性」との答えに険しい表情でうつむき、複雑な表情を浮かべる。17歳という子どもと大人の間で揺れ動くオータムが人生のなかで大きな事実を知る瞬間を捉えた、本作のスタート地点ともいえる映像となっている。
ヒットマン監督は映像にも映し出される小さな町によくある妊娠センターについて「医療施設に見えるけれど、免許を持った医師は居なくてあてにはならない。実際に話に行くと温かく迎えてくれた。彼女たちは良い人たちだったけれど、情報は限られていてその意図は、（中絶はできず）つながりのある支援先や養子縁組の情報を提供するのみ」だという。そして、当時妊娠中だったエリザ監督は自らセンターで妊娠検査を受け、そこにいた女性たちと言葉を交わし、セリフのいくつかは会話をそのまま活用したという。作品にもその経験が反映され、リアリティあふれるやりとりを見ることができる。（編集部・大内啓輔）
