(左から)青木さやか、吉川ひなの、杉本彩、中島知子

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 吉川ひなの(40)は《あるとき心が壊れ、芸能活動を続けることができなくなり、以前から両親に頼んでいた貯金を分けるようお願いをした》と5月に上梓したエッセイ本『わたしが幸せになるまで』の冒頭で生い立ちを書き、反響を呼んでいる。

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金をせびる毒親に悩まされ……

 両親から渡された通帳には、吉川の稼ぎで住んでいた豪邸1か月分の家賃に満たない額しかなく、その後も吉川のところへ何度も来ては、なけなしの貯金さえも奪っていったという。

 さらに吉川は本書の対談で「小さいときから母親に『こんな時代に子どもを産んじゃダメ』と言われて育ったから、子どもが欲しいとか考える前に、産まないものだと思っていたの」と発言しているところから見ても、明らかに毒親からコントロールされていたと言っていいだろう。

 毒親との確執が描かれた漫画『毒親サバイバル』(菊池真理子著)に登場し、毒親の被害を告白したライターの成田全さんは「アメリカ人のスーザン・フォワードが、著書『Toxic Parents』で、子どもの人生を支配し、子どもに害悪を及ぼす親を、“Toxic Parents”(有毒な親)と呼び、この本が'99年に日本で『毒になる親』として出版され、以後“毒親”という名称が定着しました」と語る。

毒親にはさまざまなタイプがあります。体罰などの暴力や性的虐待があるもの、常に監視・支配・管理・抑圧して過干渉したり、自分ができなかったことや夢を押しつけ、できないことを責めて暴言を吐くもの、その逆で一切面倒を見ないネグレクトなど。

 それらが複合的に絡み合っていることが多いのですが、共通するのは子どもに『あなたのため』と言いながら、実は自分のことしか考えていないことです。世間体を保つためだったり、子どもを自己実現のための“自分の分身”としか思っていないんですね」(成田さん)

 家に借金取りが来ると母が隠れてしまい、学校へ行けなかったという吉川。

「芸能界には金銭でもめる家庭が多いんです。両親が浪曲師だった藤圭子さんは、貧しさから高校へ行くのを断念、両親と一緒に流しをしていましたが、歌手として売れ始めると金銭トラブルで両親が離婚。父と疎遠になり、その後同居した母とも金銭トラブルで絶縁しました。

 松坂慶子さんも幼少時から芸事を習わされ、費用捻出のため食事を減らすなどされたそうです。その後結婚を反対され、親が暴露本を出すなどして絶縁状態となりましたが、父の死後に母と和解、同居して先日100歳で母親は大往生されています。棋士の林葉直子さんは通帳や印鑑を親が管理、14歳からの稼ぎをすべて使われ、借金を抱えて自己破産しています」(スポーツ紙記者)

否定・支配する親

 また元オセロの中島知子はインタビューで毒親について言及している。

「親に金を毎月無心され、無職の妹の結婚・出産費用に加え生活費まで払っていたが、それを断ると妹が中島さんの人間関係の悪口を言いふらし、それが影響してか独立騒動で大変なことになったと。

 生放送の後に母親が『ダセえ服着やがって』と電話でダメ出ししてきて、最後に金を振り込めと言われたそうです。毒親は『誰のおかげで飯が食えると思ってるんだ』などと、生活できることやこの世に生まれたことを自分の手柄のように言いますが、これは典型的なモラハラ。この発言があったら要注意です」(成田さん)

 教師だった母との軋轢を、著書『母』で吐露したのが青木さやかだ。テストで85点を取っても「どこを間違えたの? 次は100点取らなきゃね」と評価を下して価値観を押しつけてくる母に応えたい、でも私の頑張りが足りないから褒められない、と自己否定し続ける。

「自分がやりたくなくても言われたことは指示どおりにやれるのは母の教育の賜物と言いながら、どれほど評価されても自信のなさは埋まらず。子どもができると世界が変わると言われたが、何も変わらなかったとありました。

 しかし子育てを通じて個性や自己肯定、共生を学んだそうで、母の呪縛の連鎖を断ち切ろうともがき続け、看取ったことでひとつ区切りをつけたのでしょうね」(成田さん)

 同じように、小島慶子も出演する番組をすべてチェックされ、ファクスが束になるほどの感想を送られるなど大人になっても母から過干渉を受けていた。それでも期待に応えようとしていたが、7年間距離を起き、自分を取り戻したという。

 また杉本彩は父が借金の保証人になって貧困となり、母は愛想を尽かしてほかの男と出ていくなど家庭が崩壊、16歳で自立して芸能活動を開始。後に仕送りをしていた母を、妹夫婦のもとから呼び寄せようと仕送りを止めた途端、暴言を浴びせられるなどしたそうだ。

 杉本は母についてブログで「人の悪口と恨みつらみしか口にしない」「若いころから数々のひどい仕打ちを母から受けている」と書き、絶縁した。このように小島と杉本は実家とは違う世界を自分の力で得て、連鎖を断ち切っている。

酒と暴力を浴びせる親

毒親育ちの人には、自分の子にも同じことをしてしまうのでは、という連鎖の恐怖があるんです。芸人の若井おさむさんは母と兄から虐待されたことで、結婚後に妻から子どもがほしいと言われ、父親になるのが怖くて離婚を選んだ、とインタビューで語っていました」(成田さん)

 芸能界には、かなり壮絶な家庭で育っている人もいる。

「遠野なぎこさんは、酒・借金・暴力の父から虐待を受け、母は男性をとっかえひっかえして1週間放置されたり、付き合っている男の下半身の写真を見せられたといいます。両親が離婚後についていった大東駿介さんは、母が男と出奔してネグレクト状態となり、中学生から極貧ひとり暮らしするなどかなり壮絶ですね」(前出・スポーツ紙記者)

 中でも成田さんが驚いたと言うのが、女優の小川真由美から受けた壮絶な虐待を、娘でミュージシャンの小川雅代が赤裸々に綴った『ポイズン・ママ』だという。

「昔、小川母子が『ジャングルTV〜タモリの法則〜』に出演した際、娘が無愛想で、セットを蹴ったりしていて、あのタモリさんでさえ扱いに困るほどだったのですが、この本を読んで数々の虐待を受けていたのを知り、嫌々共演したことがわかりました。

 占いを信じて緑と紫のものを排除させ、このままだと悪いことが起こると勝手に改名、放っておかれて食事を与えられずに飢餓状態になったり、中学生の娘(雅代)がいるのに気にせず自宅で性交したり、付き人が金を盗んだのに犯人扱いされたり、悪魔が取り憑いているとおまじないやお札を増やしたり……もうとにかく凄まじい毒親っぷりで、唖然としました」(成田さん)

 毒親育ちは大人になってからも自分を傷つけ、苦しむもの。芸能人の告白が、少しでも力になりますように。