長くお付き合いをしていると、相手の言動や態度に「ん?」と何かが引っかかる……、ということはありませんか?その時はスルーしてしまいがちな『引っかかり』ですが、後になってから「そういうことだったのか〜!」と、感じた違和感の理由が判明することも。今回は、そんな小さな違和感を無視し続けたら、いつの間にか彼氏が無職、家ナシのヒモ状態になっていたという、アラサー女子の体験談をご紹介します。

「もしかしてケチ?」記念日に感じた違和感

桜子さん(仮名/26歳)は、ふわっとパーマがかった髪の毛と、パッチリとした目元が印象的な華やかな女性。web系の会社に勤めています。

ある時、桜子さんはマッチングアプリで出会った5歳年上の男性、Aくんと意気投合します。Aくんはフリーランスの建築系デザイナー。桜子さんが知らないジャンルの知識をたくさん持っていて、話が楽しかったそうです。

Aくんとのデートは、ダラダラと長時間ではなく、大体1〜2時間程度のサクッと短いデート。長過ぎないから、逆に少し物足りなく感じ、桜子さんは、すぐにまた会いたくなったそう。そんな感じで順調なデートを重ね、ふたりはお付き合いにいたります。

桜子さんはしばらくして、Aくんとのデートや貰うプレゼントなどに、ちょっとした違和感を感じるようになったそうです。

「順調に楽しくお付き合いしていたのですが、時々、『お金がないのかな?ケチなのかな?』と、ふと思う瞬間がありました。例えば、誕生日や記念日とかですね。プレゼントが文房具や小銭入れなど、中学生のプレゼントみたいなチープな雑貨類だったり、デートに行くレストランもリーズナブルな居酒屋が多かったんです。30代の一般的な働いている男性のチョイスとはちょっと違う?と感じましたが、そういう感覚の人なのかな……とも思いました」

「家を開放」って?空気を読んで深く聞けず

桜子さんは、度々「ん?」と思う瞬間があるものの、深く気には留めず、Aくんとのお付き合いを続けていました。しかし、桜子さんの違和感が深まる出来事が訪れます。

「初めて彼の住まいに行ったのですが、一軒家だったんです。彼は建築系のデザイナーだったから、建物にこだわっているのかな?とは思いました」

彼の部屋にいると、部屋の外で人が出入りする気配がします。桜子さんが「誰かいるの?」と尋ねると、Aくんは、「うん、ちょっと家を開放してるんだよね」とのこと。桜子さんは彼の返答に違和感を感じつつも、深く聞いて欲しくなさそうなAくんの空気を読み、詳しく追求しませんでした。

「後から考えると、あれはシェアハウスだったのかもって思います。家賃を安く済ませるために、シェアハウスに住んでいたのかも知れません。そう考えると、人の気配も一軒家だったことも納得がいきます」

コロナ禍でのステイホームがただの入り浸りに

コロナ禍になり外でのデートができなくなると共に、Aくんは桜子さんの家にずっといるようになりました。始めは、「出歩くと感染リスクが高まるから、気にしてくれてるのかな」と思っていたという桜子さん。しかし、それが理由だとしても、あまりに家に入り浸りすぎだったそうです。

「仕事をしている様子もなかったので聞いてみると『持続化給付金を受けたいから、積極的に仕事を取らないことにしてる』って言ったんです。でも、持続化給付金って、コロナ禍で本当に仕事が減ってしまった人のためのものじゃないですか。なのにそんな形で持続化給付金を貰おうとするのってどうなのかなって。そんな価値観の違いにも違和感を感じ始めました」

1度目の緊急事態宣言が解除され、しばらくしてステイホームが徐々に緩和し始めても、桜子さんの家にい続けるAくん。こんなに自分の家にいるのはさすがにおかしいと、違和感に耐えられず桜子さんは問いただします。すると、Aくんはすでに自分の住まいを解約していた事が判明しました。

「『それなら家賃は半分払ってよ』と彼に言いました。すると『忙しい桜子の代わりに、家事とか掃除とかしてるからいいでしょ』って。呆れて口論になったのですが、何を言っても頑なに家賃を払おうとしないので、我慢の限界に達しました」

桜子さんは「もう無理です!」と彼を家から追い出し、お別れにいたります。こうなる前に、違和感に気がつくチャンスはたくさんあったと言う桜子さん。その場の空気を読んだり、『こういう人もいる』とその人の個性として解釈したりすることで、違和感をスルーしてきたそうです。痛い思いをした桜子さんですが、現在は違和感を感じない、新しい恋人と素敵な関係を築いているそうです。

「ん?」という違和感は、想像以上に当たっているもの…。

人間関係の中でふと感じる違和感…。それは直感が出しているアラートとも言えるでしょう。スルーすることもできる『違和感』ですが、掘り下げることで、関係性を見直すキッカケになるかも知れませんね。

取材協力/マッチングアプリなび
取材・文/まなたろう