渋野日向子が語ったゴルフをやる理由とは【写真:Getty Images】

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会見で飛んだ熱愛質問に違和感、渋野日向子は何を伝えてほしいのか

 会見の様子を見た記者が感じたのは「本人が伝えてほしいことは何か」だった。7日まで沖縄で行われた女子ゴルフの今年初戦・ダイキンオーキッドレディス。各日1000人限定で1年3か月ぶりにギャラリーの来場が許可された中、最も注目を浴びたのは渋野日向子(サントリー)だった。初日の会見では、プライベートの話も報じられた22歳。率直に浮かんだ疑問をぶつけてみた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

 ずっと笑っていた。大会関係者に新型コロナウイルス陽性者が出たため、開幕前日の練習が中止に。予定していた公式会見もなくなり、初日の競技終了後が渋野にとって久々のメディア対応だった。ゴルフの話も中盤を過ぎたところで、1月に一部で報道された熱愛について質問が飛ぶ。「試合なのに。キャハハハ」。苦笑いでツッコミを入れつつ、そつなく応じていた。

 過去に2年間男女ツアーを取材したが、渋野取材はほぼ初めて。終始笑っている様子を傍観し、記事にはしなかった。馴染みの記者たちが聞いたからこそ、明るい雰囲気となった会見場。でも、質疑応答の様子を直に見ていると、本人が「本当に伝えてほしいこと」とはかけ離れているように感じた。

 だったら、彼女が一番伝えたいことは何なのだろう。今、胸に抱えている本音を知りたい。「ゴルフのこと、ツアーのことをどう伝えてほしいとか、何か想いがあれば教えていただきたいのですが……」。最終日の会見、唐突とは承知しながら質問をぶつけた。

 渋野は「難しいですね」と少し言葉を詰まらせた。でも、直後にこちらの目を真っすぐに見つめ、テレビを通して見るのと同じスマイルで答えてくれた。ありのままの言葉を記す。

競技に全身全霊を懸ける理由「今、私がゴルフをやっているのは…」

「やっぱり『テレビでは見たことがある』と言える人はいるかもしれないですけど、会場に来て見てもらいたいなっていう気持ちもあって。今、私がゴルフをやっているのって、ゴルフを知ってもらいたい、小っちゃい子に女子プロの世界を目指してほしい、そういうことを考えてやっている状態です。やっぱり小っちゃい子にゴルフの楽しさを知ってほしい。それを言葉で伝えるのは凄く難しいんですけど。

 ゴルフは『お金持ちの競技』みたいな感覚があるかもしれない。でも、全然そんなんじゃなくて、小っちゃい子からおじいちゃん、おばあちゃんまでできる競技。それはもうゴルフしかないと思う。いろんな人に楽しんでもらいたいって思います。まずはクラブを持ってみるとか、テレビでも見てみるとか。入れるようになったら、会場で見てもらいたいなって感じです」

 全身全霊を懸けて取り組んでいるゴルフへの想いを教えてくれた。競技の面白さを届け、次世代に繋ぐ責任を自覚しているからこそ、メディアの問いに素直に答えてくれるのだろう。夢は5つある海外メジャーの完全制覇。今、彼女が「ゴルフを頑張っている理由」を伝えなくてはならないと感じさせられた。

 率直な想いを明かしてくれた直後、「渋野さんの思う女子ツアーの魅力は?」と立て続けに聞いた。唐突過ぎる質問に「女子ツアーの魅力!? スッゲー、難しい(笑)」と困惑。はっきりとした答えは聞き出せなかった。

 初戦を終えたばかりの女子ゴルフ。続きは次の機会に聞き、伝えていきたい。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)