PlayStation 5(PS5)の専用コントローラーであるDualSenseの表面には、PlayStationのコントローラーボタンのアイコンとしておなじみの「○×△□」が刻印されています。ソニーがこのデザインをどのようにして生み出したのかについて、海外メディアのThe Vergeが迫っています。

The PS5’s ultimate easter egg is 40,000 PlayStation symbols you can feel - The Verge

https://www.theverge.com/circuitbreaker/2021/2/7/22269634/how-sony-designed-ps5-dualsense-playstation-symbol-microtexture

PS5の専用コントローラーであるDualSenseの表面には、○×△□というPlayStationのシンボルが4万個も刻印されています。○×△□という記号はコントローラー表面の細かな凹凸となっているため、「グリップしやすさ」にも貢献しているとのこと。

パッと見はボタン部分以外に○×△□を見つけることはできませんが……



コントローラーの白色部分を近くで見ると、以下の写真のように極小の○×△□のアイコンが並んでいます。



この印象的なデザインについてThe Vergeに話してくれたのが、PS5およびDualSenseのチーフザイナーを務めた森澤雄人さんと五十嵐健さんの2人。○×△□アイコンは立体的に刻印されており、それぞれのアイコンは等間隔に並んでいるわけではありません。その理由はベースとなったデザインが手作業でスケッチされたものであるため。



森澤さんによると、テクスチャーデザインは手書きのスケッチから始まり、これをデジタル化し、モックアップを作成し、試作機を作成し、最終的な製品版へと仕上げていったとのこと。このプロセスの中で開発チームは納得のいくバランスを見つけるまで何度もテストを繰り返したそうです。この「納得のいくバランス」というのは、テクスチャーデザインの中にある○×△□の密度や触感のようで、「見栄えが良く、快適で滑りにくいテクスチャー」になるように調整が行われた模様。

どのテクスチャーを採用するかについては、見た目だけでなく手触りも重視していたため、実際に試作したものに手で触れて確かめる行程が重視されたそうです。



また、同じテクスチャーでも刻印の高さを4パターンほど作成することで、最も手触りの良いものが追及されています。



肉眼で確認するだけではわかりませんが、DualSenseの表面テクスチャーは2つのレイヤーに分かれています。実際にコントローラー表面を顕微鏡で確認するとこんな感じ。アイコンの上にアイコンが刻印されており、微妙に高さの異なるアイコンが重なるように配置されていることがわかります。



ただし、The Vergeはテクスチャーの欠点として「汚れやすい」を挙げました。



テクスチャーが配されている白色のプラスチックパーツは射出成形で加工されています。つまり、射出成形用の金型に細かな○×△□型の凹凸が刻み込まれているというわけ。曲面全体に正確に○×△□の形状を刻印するために、金型にはレーザーを用いて刻印が施されており、五十嵐さんによると「入手が困難なハイエンドの多軸レーザー彫刻機」を用いて金型を加工したそうです。

なお、○×△□のテクスチャーはDualSenseだけでなく、PS5 メディアリモコンやPULSE 3D ワイヤレスヘッドセット、PS5 HDカメラといったPS5の専用アクセサリーにも採用されています。また、PS5に初めからインストールされている「ASTRO's PLAYROOM」の中でも、○×△□のテクスチャーが登場します。