「のり弁風おかず」398円(税込) | 食楽web

 先日、ファミマにお弁当を買いに行ったら「何だ、これ?」と思わず二度見する弁当に出くわしました。それは、ファミマのブランド『お母さん食堂』から新発売された「のり弁風おかず」(398円)。

 驚くべきことに、外装には「ごはん無なし・海苔無し」と明記されています。百歩譲ってご飯がないのは良しとしましょう。しかし “のり弁風”なのに海苔もないとなると、「え? 何でよ! 海苔は!?」と途端に混乱をきたしてしまうわけです。

ファミリーマートで1月26日に新発売

 のり弁の最も重要かつ不可欠なおかずといえば、もちろん海苔です。醤油の染みた海苔が、ごはんにペタ~ッと張り付き、その下にはおかか(鰹節)が潜んでいる。箸でご飯と海苔とおかかを持ち上げて口に放り込めば、磯の香りが鼻を抜け、おかか、白飯、お醤油の旨味が舌にパッと広がります。ああ、旨い。海苔こそがのり弁の至高のおかず。それなのに、「ごはん無し・のり無し」とはいかなる了見なのか。「世も末だ」と思わず嘆きたくなるのです。

 しかし、真っ黒なパッケージを眺めているうちに、「これ、海苔がなくても美味しいのかも」と思わせてくる黒い迫力がありました。なかなか敵もよく考えている。パッケージに描かれているおかずのイラストは、のり弁の定番であるちくわ天、白身魚のフライ、玉子焼き、きんぴらごぼう。さらに、しゅうまいやコロッケ、焼きそばといった人気おかずがしっかり押さえてあります。

パッケージに書かれたイラストのおかずに惹かれます

 このとき、筆者の頭を駆け巡ったのは、「家に海苔はあったし、炊飯器にご飯も残っているはず。鰹節もパックのが棚にあった気がする」ということ。つまり、この「のり弁風おかず」を使って、自宅で自己流の「のり弁」を作ればいいじゃないかと考えたのです。

アレンジ「のり弁」作りが楽しすぎる

1食あたり、453kcalです

 さっそく家に戻り、「のり弁風おかず」のふたを開けてみると、思ったより大きな白身魚のフライやちくわの磯辺揚げがギュギュウに入っており、その下には焼きそばが敷き詰められていました。フライにはタルタルソースもかかっていて、なかなか豪華。でも、肝心の海苔とご飯は、もちろんありません。

ご飯をふたに盛っていきます

 そこで、自家製「のり弁」を作るため、ふたを利用することにしました。このふた、なかなかどうして、ご飯を入れるのにピッタリサイズの深さなのです。そこにご飯を敷き詰め、おかかと醤油をかけ、その上に海苔、さらに刷毛で海苔に醤油を塗って、のり弁の土台が完成。

のり弁の土台が堂々完成

 さらにその土台の上に、「のり弁風おかず」を一つずつ移動させ、誰が見ても「これは立派なのり弁だ」と思うような作品を作っていきます。もちろん、大したことはしていません。他人が作り、コンビニで売っているおかずを、ただただ、右から左へ動かしているだけです。でも、これがなぜか無性に楽しい。そして、でき上がったのがこちら。

自作の“のり弁”の上にファミマで買った「のり弁風おかず」をのせ、完璧なのり弁に仕上げてみた。左は、「のり弁風おかず」の下に敷き詰められていた焼きそば

 いかがでしょうか? 我ながら立派なのり弁になった気がします。食べてみると、ちゃんと美味しい。一番美味しいのは、もちろん土台部分。つまり自宅にあった海苔とおかかとご飯を合わせただけのもの。でも、そこに、家で作るとなると面倒なちくわの磯辺揚げや白身魚が加わることで、非常にトクした気分になってくるのです。

 まだまだおうち時間が長引きそうなので、このファミマの「のり弁風おかず」で、のり弁作りを楽しんでみてはいかがでしょう。けっこう楽しいですよ。

(撮影・文◎土原亜子)