【シトロエンらしい純EV】シトロエンe-C4へ試乗 航続距離349km 136psのクロスオーバー
空気抵抗を意識したクロスオーバーtext:Matt Prior(マット・プライヤー) translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
数年前、シトロエンは環境負荷を小さくするため、SUVのデザインに対する考えを明らかにした。タフな要素を与えつつ、空気抵抗を抑えるため車高を抑え、正面面積を小さくしたスタイリングだ。それが量産車へ適用された初のモデルが、シトロエンC4となる。
全高は1520mmで、ハッチバックのフォード・フォーカスより25mm高い。タイヤの扁平率は60と、現代ではかなり肉厚。ルーフラインはファストバックのように滑らかに傾斜しつつ、ボディ下部には樹脂のプロテクターが付く。
シトロエンe-C4(欧州仕様)C4の全長は4360mm。クロスオーバー感の少ないトヨタC-HRより、30mm短い。筆者は、BMW X6の影響力を感じずにはいられない。しかしシトロエンは、従来から個性的なデザインを好んで発表してきたことは事実だ。
4Cのボディデザインは、クラシックなシトロエンが妖艶な高級感を漂わせるように、ブランドらしい雰囲気を放っているだろうか。斜め後ろから見ると、シトロエンGSとの血縁を感じられなくもない。
インテリアはシトロエンらしい。クラシックな木目パネルから未来的な化粧パネルまで、様々な素材や仕上げが選べる。ドアパネルには、大胆な装飾パネルもあしらわれている。
メーターパネルはモニター式で、大胆なグラフィックが特徴。サイズは小さく、アリエル・アトムのものを思い出してしまった。
エンジン版では、鮮明なスピードメーターと一緒に、小さなレブカウンターと水温計が描き出される。正方形が組み合わされた背景画像は、ウインドウズのホーム画面のようでもある。
エンジン版と並列に選べる純EV
C4のダッシュボードには、インフォテインメント用のタッチモニターとは独立した、エアコン用の操作スイッチが付いている。評価したい部分の1つ。
中央のモニターには、スマートフォンのミラーリング機能も備わる。標準のシステムより、扱いやすく感じる人もいるだろう。
シトロエンe-C4(欧州仕様)運転姿勢は良好。リアシートも広々としており、荷室は380Lから1250Lと、充分な競争力がある。
C4がベースとするのはグループPSAのプラットフォームで、プジョー208や2008、オペル・コルサなどと共有する。内燃エンジンと純EVが並列で用意され、ユーザーが選べる。PSAの場合、これより大きなモデルでは内燃エンジンとPHEVが選べる仕様になる。
次のプジョー308が悩んでいるように、C4を純EVとするかPHEV版にするか、シトロエンは検討したはず。バッテリーによる純EVという選択は、正しかったように思う。
このサイズのクロスオーバーの場合、比較的走行距離が短く、定期的に同じルートを走行することが多い。純EVに適した利用条件といえる。
今回試乗したのは純EV版のC4で、e-C4と呼ばれる。バッテリーは50kWhの容量があり、フロア下に搭載。制御システムはボンネット内に収まり、シングルモーターで前輪を駆動する。
航続距離はWLTP値で349km。気温が低かったり、高速で長距離を走ったりすると、この距離には近づきにくい。充電器は100kWにまで対応し、急速充電も可能だ。
どこかシトロエンらしい運転感覚
e-C4の運転感覚は、どこかとてもシトロエンらしい。運転姿勢は、シトロエンベルランゴのものに近い。ほどほどに背筋を正す感じ。
ペダルは2枚。小さくシンプルなセレクターが付き、回生ブレーキの効きが強くなるBモードが選べる。ワンペダル・ドライブはできない。AT車のように、ブレーキペダルを放すとクリープ走行をする。
シトロエンe-C4(欧州仕様)サイドウォールの高いタイヤを履いていることもあり、走行時の快適性には優れる。穏やかな乗り心地ながら、希に強めの上下動や振動が車内を襲うから、シトロエンの狙いは完全には達成できていないようではある。
ステアリングの操舵感は軽く、操作系へ伝わる感覚は不足気味。ドライバーズカーとはいえないだろう。
加速力は充分。電気モーターの最高出力は136psあり、0-100km/h加速は9.0秒とうたわれるが、発進加速はそれより鋭く思えるほど。トルクステアもほとんどない。
英国で用意されるトリムグレードは3段階。それぞれ1000ポンド(14万円)程度の差が付けられる。
今回の試乗車は、中間グレードのシャインと呼ばれるもので、装備も充実していた。英国価格は、補助金を引いた後で3万130ポンド(406万円)。日産リーフやフォルクスワーゲンI.D.3などと競合することになる。
運転の楽しさでは、シトロエンe-C4はリーフより優れ、I.D.3には届かない。50kWhというバッテリー容量は、ライバルのベースグレードより大きいから、距離は長く走れる。新しい純EVとして、悪くない選択肢といえそうだ。
シトロエンe-C4(欧州仕様)のスペック
価格:3万130ポンド(406万円)
全長:4360mm
全幅:1800mm
全高:1525mm
最高速度:149km/h
0-100km/h加速:9.0秒
航続距離:349km
CO2排出量:-
車両重量:1541kg
パワートレイン:シングル永久磁石モーター
バッテリー:50kWh
最高出力:136ps
最大トルク:26.4kg-m
ギアボックス:-
