格安の移籍金でも大ブレイク…“バーゲン価格”で移籍した選手たち

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 明治安田生命Jリーグの2020シーズンが終了し、国内サッカーはストーブリーグに突入。欧州でも、冬の移籍市場が来年1月にオープンするのを前に移籍報道が熱を帯び始めている。とはいえ、新型コロナウイルスの影響でどのクラブもお財布事情は厳しく、良質なタレントをできるだけ安く手に入れたいというのが本音だろう。

 過去を振り返れば、格安の移籍金でクラブを移った選手が、大ブレイクを遂げて「特売品だった」と言われるケースは多々ある。そこで今回は、バーゲン価格で移籍した選手たちを7名ピックアップ。果たして、彼らのような“当たり”を引くクラブは現れるだろうか。

※日本円はすべて12月21日時点でのレートで換算
※移籍金はすべて移籍情報サイト『transfermarkt』を参照
[写真]=Getty Images

▼ジェイドン・サンチョ

移籍:マンチェスター・C(イングランド)→ドルトムント(ドイツ)/2017年
移籍金:784万ユーロ(約9億9000万円)

「宝くじに当たった」。元ドイツ代表のローター・マテウス氏がそう称したように、サンチョはドルトムントにとって近年最高の補強となった。フィル・フォーデンとともに“マンチェスター・Cの未来”と期待されていたが、トップチームデビュー前にドルトムントへ完全移籍。移籍金784万ユーロ(約9億9000万円)は加入当時こそ割高の印象を与えたが、1億ユーロ以上の市場価値を持つ今ではバーゲン価格と言うほかない。ドルトムントの成功を受けて、“ネクスト・サンチョ”を求めるクラブが後を絶たないのも、彼の存在価値を一層高めている。

▼香川真司

移籍:セレッソ大阪(日本)→ドルトムント(ドイツ)/2010年
移籍金:35万ユーロ(約4500万円)

ユルゲン・クロップ監督のキャリアで最もコスパの良い補強となったのが香川だろう。2010年にセレッソ大阪からドルトムントに加入すると、“35万ユーロの男”はチームの中心選手として神プレーを連発し、サポーターのハートを掴んだ。ドイツでは「バーゲンというよりも“チップ”」という声も出たほど。2012年にマンチェスター・Uへの移籍が決まった際には、ドルトムントに対して1600万ユーロ(約20億円)の移籍金が支払われている。

▼リヤド・マフレズ

移籍:ル・アーヴル(フランス)→レスター(イングランド)/2014年
移籍金:50万ユーロ(約6300万円)

2016年に“奇跡”と称されたレスターのプレミアリーグ優勝。17ゴール10アシストを記録したマフレズは一躍スターダムにのし上がった。その2年前にマフレズの能力を見抜いたのが、敏腕スカウトとして知られたスティーブ・ウォルシュ氏であり、レスターはフランス2部に埋もれていた才能をわずか50万ユーロ(約6300万円)で抜き抜くことができた。2018年にマンチェスター・Cが支払った移籍金は6780万ユーロ(約86億円)。当時のクラブ史上最高額だった。

▼カリドゥ・クリバリ

移籍:ヘンク(ベルギー)→ナポリ(イタリア)/2014年
移籍金:775万ユーロ(約9億8000万円)

強さ、高さ、速さ、巧さを兼ねそなえ、“セリエA最高のDF”と称されるクリバリ。ナポリが誇る守備リーダーに対しては6500万ユーロ(約82億円)という評価額がついているが、2014年にヘンクから加入したときに支払われた移籍金は775万ユーロ(約9億8000万円)だった。もちろん“守備の国”イタリアで最初から活躍できたわけではなく、時には信じられないようなミスを犯しながらも、そのたびに成長を遂げてきたということを忘れてはならない。ここ数年移籍の噂が続いているが、どのクラブがどれほどの移籍金を積むのか要注目だ。

▼ジェラール・ピケ

移籍:マンチェスター・U(イングランド)→バルセロナ(スペイン)/2008年
移籍金:500万ユーロ(約6億3000万円)

2004年にバルセロナからマンチェスター・Uに移籍するも、4年後に帰還。そもそも放出しなければ発生しなかった費用とはいえ、500万ユーロ(約6億3000万円)で取り戻せたのはラッキーだったと言えるだろう。そのピケが長期離脱したことを受けて、カンテラ育ちのエリック・ガルシアを今冬にも買い戻す可能性が浮上している。10年以上前とはそもそも相場が異なるため、単純比較はできないが、移籍金は1000万ユーロ(約13億円)を下らないとされる。あと半年待てば、移籍金ゼロで獲得可能だが、クラブはどんな決断を下すだろうか。

▼ホセ・ヒメネス

移籍:ダヌービオ(ウルグアイ)→アトレティコ・マドリード(スペイン)/2013年
移籍金:90万ユーロ(約1億1000万円)

“ダイヤの原石”を求めて南米にスカウト網を敷くのは、欧州クラブの補強戦略の定石であり、これまでにもプロデビュー間もない若者が数多く大西洋を渡ってきた。ヒメネスもそのうちの一人で、17歳でのデビューから半年足らずでアトレティコと契約している。渡欧後の活躍ぶりは周知のとおりで、評価額は7000万ユーロ(約88億円)に到達。7年前に90万ユーロ(約1億1000万円)の移籍金でやってきた青年は、その価値を77倍以上に高めている。

▼エデルソン

移籍:リオ・アヴェ(ポルトガル)→ベンフィカ(ポルトガル)/2015年
移籍金:50万ユーロ(約6300万円)

ポルトガル屈指の名門クラブは、“育成上手”であると同時に“商売上手”としても有名だ。2017年には、エデルソンをマンチェスター・Cへ売却。その移籍金は4000万ユーロ(約50億円)だったが、2年前の獲得時にリオ・アヴェへ支払った移籍金は50万ユーロ(約6300万円)だった。また同胞のダヴィド・ルイスも、2007年に移籍金50万ユーロ(約6300万円)でヴィトーリアからベンフィカに加入すると、4年後には2500万ユーロ(約32億円)でチェルシーへ移籍している。この夏は、下部組織出身のルベン・ディアスが6800万ユーロ(約86億円)という大金を残してマンチェスター・Cへ移籍。次はどんなビッグディールが成立するだろうか。

(記事/Footmedia)