堀江氏がコロナ騒動について考えていることとは(写真:光文社提供)

コロナパニック以降、僕たちの社会は多くのものを失った。感染による犠牲者のほかにも、経済損失は計り知れなかった。

三菱総合研究所が2020年5月に公表した見通しによると、「経済活動の抑制を5月末まで実施して再流行は回避。6月以降に抑制度を緩めるも、最低限の社会的距離の確保など一定の経済活動抑制を1年程度継続」のシナリオでは、日本の経済成長率はマイナス4.9%、経済損失は世界全体で760兆円になるという。これは最善に見積ったシナリオで、より悪いほうに振れる可能性もある。

例えば「経済活動再開と再流行を繰り返す形で、断続的な経済活動抑制を12月末まで実施。2021年入り後に抑制度を緩めるも1年程度は一定の経済活動抑制を継続」するというシナリオでは、日本の経済成長率はマイナス6.5%、世界の経済損失は1120兆円にも上ると試算されている。

未来のことは「考えてはダメ」

未来の話をすると、だいぶ絶望的な気持ちになってしまう。だが、僕がいつも言うとおり、未来なんて一切、考えてはダメだ。先のことなんて、誰にもわからないのだ。特に新型コロナウイルスは、存在そのものが未知のものだ。

どんな専門家が今後の情勢を試算したって、ひとつの参考指標は作れるだろうけど、コロナ対策に有効とは限らない。僕もしばしば人に「アフターコロナの世界は、どうなっていますか?」と聞かれる。わかるわけない!

そうとしか、答えられない。未来予測に意味はない。コロナがあろうとなかろうと、未来なんか、誰にもわからないのだ。いまここを、見よう。ここから、僕たちは前へ歩き出していくことを考えよう。

コロナパニックで得られたものは、いくつかある。まず、リモートワークの浸透だ。緊急事態宣言が発令された直後、多くの企業が社員の会社への出社を禁じた。会議はZoomで済ませ、社員は各自、自宅のパソコンで仕事をこなした。

オフィスから人が消えたことで、その会社の業績が傾いたという話は、僕の知る限りひとつもなかった。むしろ、電気代や接待費などの経費削減になったという話ばかりだ。

満員電車での通勤も、オフィスを構える意味も、全然ないのだ。前から僕が主張していることなのだけど、コロナ騒動で裏づけされたわけだ。

会社勤めの人のほとんどは、定時出社・定時退社なんて必要ない。テレワークに仕事のやり方を切り替えれば、朝から晩までジャージ姿、何なら半裸で働ける。能力の高い人は、朝の準備や出勤時間がなくなり、短い時間でオフィス通勤と同じ成果を出せるだろう。

テレワークで居場所を失った人

一方、役立たずサラリーマンが、あぶり出されている。会社に来て仕事をするフリをする、無能なポンコツ社員は「妖精さん」と呼ばれているらしい。窓際にすら行けず、社内をフラフラと漂っている、妖精みたいな社員のことだ。

「妖精さん」はポンコツなのだけど、彼らは会社に行くことで、何とかポンコツがごまかされてきた。とりあえず机の前に座ってパソコンをいじっていれば、何かをやっているように見えるからだ。


リモートワーク化が進むと、「妖精さん」がいらないことが、はっきり可視化される。彼らはリモート会議でも、何の存在感も発揮せず、いずれその会議にすら呼ばれなくなる。

あなたの周りにも、コロナパニック以降、顔を見なくなった同僚や上司が、いるのではないか。会社の仕事に何にも寄与せず、他の社員に溶けこんだつもりで、無能のイライラを周囲に撒き散らす、そんな迷惑な妖精はテレワークで居場所を失ったのだ。

誤解してほしくないが、「妖精さん」自身の能力が、低いわけではない。どんな妖精でも、きっと活きる場がある。フラフラ漂うだけで時間を無駄にするなら、職場を変えればいい。その方が会社の生産性は高まるし、妖精ではなく人間として、やり甲斐も取り戻せるだろう。

コロナ禍では、「妖精さん」が強制的にあぶり出されてしまったが、案外、長い目で見れば彼らにとって、災禍ではなく良い転機だったかもしれない。