ソフトバンクの配膳ロボット「Servi」は接客業の救世主となる! Withコロナ時代の苦境をロボット技術が打破する

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●ソフトバンクロボティクスの配膳・運搬ロボット「Servi」
ソフトバンクロボティクスは9月28日、飲食店やホテル、小売店などで従業員と共に働くことを目的に開発された配膳・運搬ロボット「Servi」(サービィ)を発表しました。

2021年1月からの本格運用を予定しており、月額99,800円(税別)・36ヶ月契約のレンタル(リース販売)となります。


店舗でのロボット導入を推進するソフトバンクロボティクス


ソフトバンクロボティクスは、これまでにも店舗やオフィスへのロボットの導入を積極的に展開してきました。

・人型ロボット「Pepper」(ペッパー)による受付案内や接客
・清掃ロボット「Whiz」(ウィズ)によるオフィス清掃業務

これらの事業は、同社としても想定以上の効果と反響を生んでおり、とくにWhizでは導入企業の9割以上が満足していると回答しています(過去の発表会などでの発言に基づく)。
今回発表されたServiは、顧客層を広げるための次なる施策ということになります。


●Serviが目指した「3つのポイント」
Serviが目標としたのは、次の3つの点です。

・高い移動性能
・導入ハードルが低く、操作もシンプル
・実店舗での使いやすさを追求

移動性能では、Servi本体に3DカメラやLiDER(ライダー)といった、自動運転車にも採用される技術を活用し、通路に置かれたバッグやシューズなどを避けつつ、スムーズで安全な移動を実現しています。
また60cm程度の狭い通路も通り抜けられるように設計されており、通路の狭い飲食店などでも小回りよく移動できます。

導入ハードルの点では、一般的な自動運転ロボットに必要なマーカーや導線ラインなどが不要な点が挙げられます。

各種マーカーなどを必要としないために店舗デザインを損なわず、さらにルート設定などを必要とせずに目的地(席)を指定するだけで運ぶシンプルな操作方法を採用しています。
また、配膳台部分に重量センサーがあるため、配膳された料理が顧客によって受け取られると、自動的に戻る仕組みとなっています。

店舗での運用のしやすさや利便性では、円形の配膳台とすることで360度どこからでも利用可能とし、配膳重量も最大35kgとすることで、多くの料理や商品をまとめて配送可能にしました。
また遠隔操作も可能で、店舗レイアウトや利用シーンに合わせた運用が可能です。


多くの利用客がいる中で、如何に安全かつ効率的に配膳するのかが最大のポイントだ



●現在の社会情勢がServiを必要とした
Serviの登場は、現代社会における「必然」であったと言えます。

日本の超少子高齢化に伴う労働人口の減少は危機的水準にあり、現在は毎年60万人以上、一ヶ月あたり5万人以上も労働者が減り続けている状況です。
そのような中で、飲食店での従業員数も減少を続けており、東京や大阪など大都市圏を中心に、外国人労働者による労働力の補填が命綱となっていました。

しかし、2019年末に始まった新型コロナウイルス感染症問題によって外国人労働者は激減。
そもそも外出自粛などによって大打撃を受けていた飲食業界ですが、政府によるGoToイートキャンペーンなどよってようやく集客が戻りつつある中、今度は従業員の確保ができないという事態に陥りつつあります。

Serviはそういった、難航する従業員確保の補填だけではなく、少ない従業員でも従来以上の接客品質を提供するための環境を作ってくれる救世主として期待されているのです。


これまで従業員が行ってきた片付けや配膳作業をServiに任せることで、従業員は接客に専念できる


ソフトバンクロボティクスは、清掃ロボット「Whiz」でも労働人口減少への対策を強くアピールしてきましたが、Serviでは従業員の接客品質の向上という、これまでよりも一段階上のサービスにもアプローチしています。

Serviの連続稼働時間は12時間。1回の充電(約4時間で満充電)で一般的な店舗であれば1日の利用が可能です。
段差のないフラットな床面が必要であるなど、若干の制約・制限こそありますが、一般的なレストランなどの利用において大きな効果が期待されており、実際の導入での成果に注目が集まっています。


執筆 秋吉 健