「ユニクロアプリの利用者が昨年半減」と報じる聯合ニュース(2020年9月28日付)

写真拡大 (全2枚)

韓国では日本製品の不買運動が、まだ収まらないようだ。ユニクロの客足が日韓対立の始まる前の半分程度にとどまっていることがわかった。韓国の聯合ニュースが、2020年9月28日付で報じた。

ユニクロアプリを分析したところ、利用者数が落ち込んだままだった。いったい、ユニクロに何が起こっているのか。韓国紙で読み解くと――。

ヒートテック10万着無料提供で元に戻ったが...

聯合ニュース(2020年9月28日付)の「ユニクロアプリの利用者が昨年半減 不買運動の影響続く」が、こう伝える。

韓国で日本製品の不買運動が始まってからカジュアル衣料品店『ユニクロ』のアプリの利用者数がほぼ半減したことが9月28日、わかった。アプリ分析を手掛ける韓国のIGAワークスのデータ分析によると、ユニクロのアプリの月間利用者数は昨年(2019年)1月に70万9000人を超えたが、同7月の対韓輸出規制強化後、翌8月〜9月は30万人未満に急減した。11月に韓国進出15周年を記念し感謝セールを実施した際は68万8000人余りと回復するかのようにみえたが、今年に入り再び40万人前後に落ち込んだ」

ユニクロアプリ(UNIQLOアプリ)は無料で利用できる公式アプリで、クーポンやチラシ閲覧など多くの特典があるため、客のほとんどが利用する。だからダウンロード数から利用客の変化が推定できるのだ。

2019年11月の感謝セールの時は、10万人にヒートテックの無料セールを行うなど、大出血サービスをしたため、客足が不買運動前のレベルに戻った。しかし、また半減してしまったというのだ。聯合ニュースが続ける。

「今年8月は39万人にとどまった。IGAワークスは『不買運動の影響が続いている。15周年記念セールなど攻撃的なプロモーションにもかかわらず回復の勢いを失ってしまった』と分析した」

ユニクロの勢いは、もう元に戻らないのだろうか。聯合ニュース(7月31日付)「韓国ユニクロ、ソウルや釜山など9店閉店へ」によると、ユニクロは昨年8月に187店だった店舗数が今後さらに22か店を閉店する計画で、165店舗にまで減少するという。そんななか、地域の住民や商店街の反対運動が1年以上続いていた新規店舗を南部の主要都市・釜山(プサン)にオープンすることができた。

台風被害支援と地元との「共生」でやっと新規店オープン

聯合ニュース(9月23日付)「地元市場が出店反対のユニクロ店舗オープンへ共生で合意」が、こう報じている。

「近隣の在来市場が出店に反対していた釜山のカジュアル衣料品店ユニクロの釜山凡一(プサンポエル)店が、地元商人との合意を経て9月25日にオープンすることになった。同店の近隣にある釜山鎮市場(プサンヂンシジャン)はユニクロ側と共生案に最終合意したことを明らかにした」

ユニクロが在来市場の活性化に向け店舗内に市場のPRエリアを設けることや、在来市場が主催するイベントに一定の支援を行うことを盛り込んだ。ユニクロ凡一店は地元市場の商人の反発や日本製品の不買運動により、オープンが大幅に遅れた。昨年、同店の出店計画が伝わると、近隣市場の商人らは商圏の侵害などを訴えてユニクロ側に事業の撤回を要求。結局、ユニクロ凡一店の近隣にある釜山鎮、南門、平和、自由市場という4つの在来市場の活性化にユニクロ側が積極的に協力することを決め、共生案に合意したのだった。

それだけではない。ユニクロは開店に先立つ今年8月、台風が釜山を中心とする韓国南部に集中豪雨の被害をもたらした時、韓国企業よりも早く被災地域の復旧支援のため、1億ウォン(約900万円)を寄付したのだった。そうした涙ぐましい努力の甲斐があって、やっと出店にこぎつけたのだった。

22店舗を失い1店舗のオープンとは、「22敗1勝」である。ユニクロの苦闘が続く。

(福田和郎)