漁業指導船に残されていた男性の公務員証(実兄提供)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫

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【仁川聯合ニュース】韓国海洋警察庁は29日、北朝鮮軍が黄海で韓国公務員の男性を射殺した事件について、この男性が北朝鮮側に越境したとする中間捜査結果を発表した。

 海洋水産部所属のこの男性は今月21日、北朝鮮に近い韓国北西部の小延坪島付近で漁業指導船乗船中に行方不明となり、22日に北朝鮮軍に射殺された。

 海洋警察庁の尹晟鉉(ユン・ソンヒョン)捜査情報局長は会見で、男性が北朝鮮側の海域で発見された当時、ライフジャケットを着て気力を失った状態で浮遊物につかまっていたことを、国防部を訪れて確認したと説明。その上で、「男性だけが知り得る名前や年齢、出身地、身長などの個人情報を北が詳細に把握しており、男性が越北(北朝鮮側への越境)の意思を示した状況なども確認された」と述べた。

 海洋警察庁は、男性がライフジャケットを着ていたため、漁業指導船から足を滑らせて海に落ちた、あるいは自殺を図った可能性は非常に低いと判断した。

 男性が行方不明になった当時の小延坪島付近の潮の流れなどを分析した結果も、北朝鮮側に越境した状況を示しているという。国立海洋調査院など4機関の分析結果によると、男性が行方不明になった当時、単に漂流していたとすれば南西側に流されたと推定されるが、実際には小延坪島から北西側に38キロ離れた北朝鮮側の海域で銃撃された。

 尹氏は、男性は延坪島周辺の海域を熟知していたとし、「これまでの捜査結果から越北したものと判断している」と述べた。海洋警察庁は捜査を継続する計画で、必要に応じて国防部に追加で協力を求めるという。