40kmの距離で行われた単一の光ファイバー通信で、世界最速のデータ転送速度記録となる178.08Tbpsという速度を達成したと、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの研究チームが報告しました。

Optical Fibre Capacity Optimisation via Continuous Bandwidth Amplification and Geometric Shaping - IEEE Journals & Magazine

https://ieeexplore.ieee.org/document/9144561

London UK Team Achieves Record 178Tbps Single Fibre Speed - ISPreview UK

https://www.ispreview.co.uk/index.php/2020/08/london-uk-team-achieves-record-178tbps-single-fibre-speed.html

UCL sets internet speed record of 178Tbps

https://www.capacitymedia.com/articles/3826180/ucl-sets-internet-speed-record-of-178tbps

178Tbpsという速度は、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの講師であるリディア・ガルディーノ博士と王立工学アカデミーの研究員が率いる研究チームが、光ケーブル企業のXteraおよびKDDI総合研究所と協力して達成したもので、世界中に配備されているシステムの容量のおよそ2倍。この記録はアメリカの数学者クロード・シャノン氏が1949年に算出した理論上のデータ伝送限界に近く、研究チームは「Netflixにある動画すべてをダウンロードするのに1秒もかからず、これまで容量が大きすぎてHDDに保存して飛行機で輸送していたブラックホールの画像の生データをダウンロードするのに1時間もかかりません」と述べています。

これまでは、2004年11月に東京大学と富士通、CERNなどの共同研究チームによって達成された148.850Tbpsという速度が、単一データストリームの通信速度の世界記録として認定されていました。今回の178Tbpsという記録は、この2004年の記録を20%ほど上回る速度で、既存のインフラストラクチャに展開することもできると研究チームは述べています。

実験では、「hybrid discrete Raman and rare-earth doped fibre amplifiers(ハイブリッド離散ラマン分光・希土類ドープ増幅器)」という新開発の高効率増幅器が用いられているとのこと。また、一般的な光ファイバー通信は4.5THzの帯域幅が使われているのに対して、今回の研究では16.83THzという超広帯域が使われており、40kmの距離でシングルコア・シングルモードの光ファイバーケーブルの伝送スループットが測定されたそうです。



研究チームによれば、40km〜100kmの間隔で新しく開発された増幅器を導入することで、新しく光ファイバーを敷設する場合に比べておよそ4%のコストでインターネットインフラをアップデートすることが可能になるとのこと。

ガルディーノ博士は「新型コロナウイルスの世界的流行とは別に、インターネットトラフィックは過去10年間で指数関数的に増加しており、このデータ需要の全体的な成長は、ビットあたりのコストの低下と関連しています。新しい技術の開発は、このような低コスト化の傾向を維持しながら、増加し続ける将来のデータ・レートの要求に対応し、人々の生活を変えるアプリケーションをまだ考えていない場合にも、非常に重要です」と語りました。