道民にしか分からない違和感がある――。

札幌在住のツイッターユーザーによる、こんな投稿が話題になっている。

写真は、何かの書類のようだ。

都道府県のどれかを〇で囲って、その前に都道府県名を記入する。よくあるパターンの記入方法だが、北海道民はなぜか違和感を覚えるという。

それは、記入欄に「北海」とだけ書いて、「道」の部分には〇を付けること。つまり、「北海+道」という書き方に、違和感を覚えるというのだ。

こうした点について、Jタウンネット編集部が2020年6月16日、投稿者の和田哲(@Satoru_Wada)さんに聞くと、次のように説明した。

北海道民の多くは、履歴書や手続き書類でこういう書き方に慣れていますが、初めての時は強い違和感を感じたと思います。日常の会話で北海道のことを『北海』とは言いませんからね」

もう少し、和田さんに詳しい話を聞いてみよう。

「北海+道の違和感凄い!」


和田 哲(@Satoru_Wada)さんのツイートより

「北海+道」の違和感について、和田さんはこう続ける。

「私は現在48歳ですが、20代から30代にかけて東京都や神奈川県に住んだことがあり、書類に『神奈川』と書いて『県』に丸を付けた時、妙にしっくりくるのを感じたのです。
慣れて忘れていたけれど、『北海」と『道』を分けるのは不自然だなと、その時に改めて感じました」

確かに、例えば自己紹介の時に、「東京から来ました」「神奈川からです」というのは聞くことはあっても、「北海から来ました」というのはめったにない。やはり「北海道から来ました」だろう。

青森に行く、秋田に行くと言うことはあっても、北海に行くと言うことは、まずないだろう。聞き返されるだけだ、「北海道......、ですよね?」。

ツイッターにもさまざまな声が寄せられている。

「東京都は、東京とも呼ぶ 大阪(京都)府は、大阪(京都)とも呼ぶ その他大勢な県は、各県抜きでも呼ぶ しかし、 北海道は、北海とは呼ばない」
「ああああー!わかりみ強すぎる!北海+道の違和感凄いの!」
「道民時代、何度ほっかいどうどうにしてしまったか数え知れない」

投稿者の和田さんは札幌在住で、雑誌編集の仕事の傍ら、札幌の歴史調査・探索を続けている。地元テレビ、ラジオの歴史番組にも出演し、2015年、NHK「ブラタモリ」札幌編では、案内人の一人として登場したこともあるという。

最後に、こうも付け足してくれた。

「実は『北海』と『道』を分けるのは、間違いではないのです。江戸時代までの五畿七道のうち、北陸道は『北陸』、山陽道は『山陽』、東海道は『東海』と今も呼ばれています。
北海道は成り立ちは少し違う(松浦武四郎がアイヌ語の『カイ』を参考にした)のですが、五畿七道に合わせた経緯があり、『北海』と『道』を分けるのは本来の理屈としては正しいのです。
現に『北海学園』『北海盆唄』『特急 北海』などの例があります。
しかし、長らく『北海道』の3文字で地名として扱ってきたために、日常語として『北海』という呼び方はされなくなってしまいました。『北海』に感じる違和感を掘り下げると、意外に面白いのかもしれません」