米国国防総省が公開した2015年撮影の動画の一部。

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「なんだあれは。鳥か? 飛行機か?」「いや、UFOだ!」こんなSF映画のようなやりとりがアメリカで実際に起こっていたことがわかった。4月27日、アメリカ国防総省より衝撃的な3本の動画が公開されたのだ。サイエンス作家として知られ、理学博士でもある竹内薫先生にこの動画について直撃すると──。

【写真】アメリカ国防総省が公開した「UFO動画」

これは100%、本物のUFOです

 アメリカ国防総省が公開した動画は、海軍のパイロットが「不審な飛行物体」を撮影したもの。海上を猛スピードで移動する白い光や、空中で不自然な動きを見せる楕円形の物体がとらえられている。

「回転してる!」「なんということだ!」と絶叫するパイロットの音声も記録されており、UFOファンならずとも思わず興奮してしまうような内容だ。

 何よりも驚きなのが、この映像がアメリカ国防総省から「正式に」公表されたということ。

「だったら、これって本物ってこと?」「宇宙人が来たの?」と尽きない疑問を、テレビでもおなじみのサイエンス作家・竹内薫先生に、まじめにぶつけてみた。

  *   *   *  

──アメリカ国防総省がじきじきに発表するなんて、今回は本物の可能性が限りなく高いということですか?

「そうですね。これは100%、本物のUFOです」

──えぇっ!? 断言しちゃっていいんですね!

「日本人は、UFOと聞くとすぐに“宇宙人が乗った円盤”を想像してしまいますが、UFOとは英語で“unidentified flying object”の略。あくまでも“未確認の飛行物体”という意味でしかないんです」

──というと……。

「そう、これは本物の“未確認飛行物体”だよ、ということ。アメリカの国防総省は、この物体が宇宙から来た円盤だとはひと言もいっていません。逆に確かな証拠が見つかった時点で、それは“未確認飛行物体”ではなくなります」

──ちょっとがっかり……。宇宙人が乗っているかもと思っていたのに。

「30年前だったら『ない』と断言しているところですが、可能性は十分にありますよ。というのも、太陽系外惑星が次々と発見され、地球に似た惑星が存在することもわかってきたんです。その中でもっとも地球の近くにあるものが、“プロキシマ・ケンタウリb”という惑星です」

──近い、ってどれくらい?

「約4光年です。光の速さで4年ですね」

──というと、地球からロケットで行くとなると、どれくらいの時間がかかるんでしょうか。

「いまの地球の科学技術だと、何百年もかかるでしょう」

──全然近くないです!

「でも、宇宙の規模からするととても近い距離なんです。“プロキシマ”とは“ご近所”という意味なんですよ」

──ご近所に地球に似たような惑星があるのなら、そこに住む宇宙人が地球にやってきている可能性もありますね。

「その惑星の科学技術が地球よりずっと発達していて、例えば光速の25%くらいの速さで移動できるとしたら、10数年くらいで地球に来ることができる可能性もあります」

ホーキング博士も警告していた

──10数年も宇宙船に乗って来るのは大変ですよね。

「そこまで苦労しても地球に来る魅力があるのかもしれませんよ。例えば、石油や石炭などのエネルギーや、自分の惑星にはない珍しい食べ物、人間を労働力として収奪したり……」

──えぇっ! 怖い〜。

「ホーキング博士は生前、宇宙人と接触しないよう強く訴えていました。それは地球の過去の歴史の教訓として、科学技術力が上の文明が、下の文明を滅ぼして収奪してきたことを念頭に、同じことが宇宙人と地球に起きると考えていたんです」

─宇宙大戦争が起こる可能性もあるってことですか? 「もっとも、地球の資源を収奪するまでもないくらいに経済的に豊かで、相当に科学技術が進んでいるとしたら、研究目的や観光のために来ているだけかもしれませんよね」

──ご近所からだけではなく、ものすごく遠くの惑星からも信じられないような技術で地球に来ている可能性は?

「ありますね。“ブラックホール”という言葉はよく知られていますが、これはアインシュタインの一般相対性理論に基づいたもので、いわば宇宙の時空にあいた穴。ありとあらゆるものを吸い込む重力をもっており、すでに宇宙ではブラックホールと思われるものが実際に発見されています。

 これと反対に、ありとあらゆるものを吐き出す穴“ホワイトホール”の存在も考えられています。このブラックホールとホワイトホールをつなぐトンネル“ワームホール”があれば、ワープも可能といわれています」

──まさにSF映画の世界!

「ただ、ワームホールはいまの地球の技術ではつくることができません。とても強い圧力がかかるため、トンネルの真ん中が崩落してしまうような形になってしまうんです。非常に強い物質でトンネルを支える必要がありますが、このような物質は地球にはありません。でも、ほかの惑星など宇宙のどこかに存在する可能性はあります」

宇宙人の可能性

──そんなところから、銀色の宇宙人がもう来ているかもしれないのか……。

「昔からよくいわれる“グレイ”のような二足歩行の宇宙人を想像していますか? あの姿は、まさに“地球中心主義”の考えに基づいたものですよ」

──そうか! わたしたちは無意識に、頭があって足があって、目が2つで……と、人間と同じような姿の宇宙人を想像してしまっているんですね。

「そもそも、わたしたちのようにDNAを持っていて、炭素でできた生物なのかもわかりません。シリコンでできているかも。形にしろなんにしろ、予測がつかないんです」

──透明で、見えない宇宙人の可能性もありますよね。

「姿かたちがなく、知的生命体と認識できないかもしれませんね。脳の意識をコンピュータの仮想空間にアップロードしてしまえば、AIのようにインターネット空間を生きていられるんですから。そうなったらワームホールでワープしなくとも、電波通信で、光の速さで飛んで来ることができます。不老不死を求めて、そんな宇宙人がいる可能性もあります」

──でも、姿かたちがないなんて、いくら不老不死だとしても何が楽しいのか……。

「人間とは別の欲望を持っているかもしれませんよ」

──最近はコロナウイルスの話題ばかりで不安ななか、宇宙のロマンあふれるニュースに久しぶりにわくわくしました。でも、アメリカも国家非常事態宣言が出されて大変な状況なのに、なぜあえて今、この映像を正式に公開したのでしょう。

「この映像は何年か前に正規ではないルートで流出し、さまざまな憶測がされていましたね。今のように人々が自粛を求められ、家でSNSと向き合う時間が長くなると、不安な気持ちがふくれあがって妄想が大きくなり、根拠のない騒ぎが起きる危険性があります。そういったことを防ぐための、火消しの意味合いはあると思います」

──たしかに、ノーコメントを貫き通されたほうが「国は何か恐ろしいことを隠しているの?」と疑心暗鬼になりますね。

「アメリカは情報公開の国なので、民衆が求めれば開示する、ということでもあります」

──タイムリーなことに日本でも今月、自衛隊初の「宇宙作戦隊」が発足しました。宇宙ごみや人工衛星を監視する目的としていますが、UFO対策なのでは? と疑いたくなります。

「可能性はありますよ。本当のことを言うと大騒ぎになりますしね。UFOは地球に対する脅威ですから、どちらにしても対策はしておくべきですね」

 竹内先生との対話を通して、今回のUFO問題がコロナウイルスの騒動とも重なって見えた。宇宙人が攻めてくるというおそれと、トイレットペーパーがなくなるというおそれは、いずれも不安が生んだ妄想だ。

 私たちの思い込みは本当に「科学」に基づいたものか、1度、立ち止まって考えることが未来への第一歩なのかもしれない。

■有名なUFO目撃事件

 円盤型の目撃例が増えるのは1947年から。アメリカ人実業家が自家用機で飛行中、9個の奇妙な物体を目撃。「皿のようだった」との証言が大々的に報じられ、空飛ぶ円盤(フライングソーサー)という言葉が広まった。実は同じ1947年に歴史上最も有名なUFO事件が起きている。アメリカのニューメキシコ州ロズウェル付近で、墜落したUFOと宇宙人を米軍が回収したとされるロズウェル事件だ。当時は「UFOの正体は気象観測用気球」とされたが残骸の回収に関わった軍人が1978年に「異星人の乗り物を極秘裏に回収した」と証言し大騒ぎに。その後の政府報告書で否定されるが真偽は今も不明。一方、世界中で民間機や空軍機のパイロットらによる目撃例が相次ぎ、日本でも1986年、日本航空の貨物機がアラスカ上空でUFOに遭遇した事件が話題になった。

■UFO目撃談の信憑性

 2007年、フランス国立宇宙研究センターが約50年間に寄せられた未確認飛行物体の目撃情報について発表。約1600件のうち、9%は人工衛星や隕石など具体的に立証できる現象、33%はその他の説明がつく現象、30%は信憑性が低い情報、残る28%は「正体不明」としている。一般的に「誤認」と説明されるケースは、明滅する人工衛星や夜間の飛行機、遠くの車のヘッドライト、観測気球などを見間違えた例。自然現象では蜃気楼、流星、火球、プラズマによる発光現象。写真解析の結果、実は鳥や昆虫だったと判明したこともあるそう。UFOブームの時代には「合成写真」も多かった。一方、正体は不明だが、「実験中の秘密兵器ではないか」という説もある。

PROFILE●竹内薫先生●1960年生まれ。東京大学教養学部教養学科および理学部物理学科卒業。マギル大学大学院博士課程修了。理学博士(Ph.D.)。大学院を修了後、サイエンス作家として活動。著書は100冊を超える。『99.9%は仮説〜思い込みで判断しないための考え方』(光文社)は40万部超のベストセラー。近著に『竹内薫の「科学の名著」案内』(徳間書店)や『「ファインマン物理学」を読む』シリーズ(講談社)など。TBS系「ひるおび!」などテレビでもおなじみ。

(取材・文/植木淳子)