★適度な運動と笑いが大事

 免疫力を高めるには、日頃から体を動かすのもお勧めです。エスカレーターより階段を選ぶ、ウオーキングするなど、ちょっとした工夫で運動の機会を増やすことができます。

「筋力の低下も、免疫力の低下につながります。特に下半身の筋肉を減少させないよう、テレビを見ながらスクワットなどをやるとよいのです」(板倉先生)

 そして、体内時計の乱れも免疫力の低下につながるので、昼・夜のメリハリがある生活リズムを保つことも大事だ。昼間は体を動かし、夜は7時間前後の睡眠を確保するとよい。また、適度に太陽の光を浴びることにより活性の高いビタミンDが作られるので、朝起きたらまず太陽光を浴びるようにしよう。

 また、ストレスをためないことも免疫力を高めるポイントの1つだ。

「私も外にあまり出られない時は努めて笑うようにしました。落語や講談、ドラマなどを楽しみました。家の中でも楽しめる趣味を作っておくことは、とても大事だと思います」(板倉先生)

 これから気温が高くなり、エアコンを使う機会も増えるが、頼りすぎると体温が下がり、免疫力の低下につながる。もちろん熱中症には気をつけないといけないが、朝から晩まで使い続けるのは避けるべきだ。

■正しい手の洗い方を今一度見直そう!

(1)流水で手をよく濡らした後に石けんをつけて、手のひらをよくこする。
(2)手の甲を伸ばすようにこする。
(3)手の甲に指先をあて、円を描くように動かして指先、爪の間を入念にこする。
(4)指の間をよく洗う。
(5)親指と手のひらをねじりながら洗う。
(6)手首を洗ったら、石けんを流水で落として完了。

◉免疫力強化のキーワード

*メリハリのある生活リズム:夜ふかしのような体内時計を乱す行動は、免疫力の低下にもつながる。起きる時間、寝る時間を一定にするなど、昼・夜のメリハリがある生活リズムを保つことを心がけよう。

*栄養:栄養バランスのとれた食事を心がけ、みそ汁やヨーグルトなどの発酵食品も摂っておくとよい。免疫細胞を活性化させたり、ウイルスを排除する抗体を産生するには、たんぱく質、ビタミン、ミネラルを含む食べ物がお勧め。また、良質の腸内細菌を育成する食物繊維もしっかり摂るべき。飲み物はミネラルウオーターや緑茶などがよい。

*朝の太陽光:起床後に太陽光を浴びることで、眠気を誘発するホルモンの分泌が抑制される。また、活性の高いビタミンDが生成されて免疫力が高まる。

*睡眠:睡眠時間は7時間前後がベスト。昼間に体を動かすと、睡眠の質がよくなる。寝る前にスマホを使うと寝つきが悪くなるので、就寝1〜2時間前にはスマホを見ないようにしよう。
*笑い::笑うことで免疫力が高まることは、様々な研究で明らかになっている。お笑い番組や落語などを見て、リラックスしながら楽しく笑おう。

◉_免疫力を低下させる要因の例

*慢性疾患:糖尿病や高血圧、高脂血症などの持病を抱えている人は、免疫力が低下しているので、感染症にかかりやすい。抵抗力も弱いので、重篤化のリスクも高い。

*筋力の低下:エスカレーターより階段を選ぶ、ウオーキングするなど、運動の機会を増やすことが大事。特に下半身の筋肉を減少させないよう、家の中でスクワットなどをするとよい。

*タバコ:部屋の中での喫煙は本人だけでなく、家族の免疫力まで低下させる恐れがある。喫煙者に多い慢性閉塞性呼吸器疾患は、新型コロナウイルスに弱いので、控えたほうがよい。

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監修/板倉弘重先生
品川イーストワンメディカルクリニック理事長。認定臨床栄養指導医。東京大学医学部第三内科講師、国立健康・栄養研究所臨床栄養研究部部長などを経て現職。『血糖値・血圧・高コレステロールを下げる食事術100』(宝島社)他、著書多数。