ローランド社製TR-909(上段手前)やTR-808(上段奥)など、「ビンテージもの」として人気のあるリズムマシン=東京・渋谷のえちごやミュージックで(撮影:吉川忠行)

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4月1日から電気用品安全法(PSE法)の規格に適合していることを示す「PSEマーク」のない中古電子楽器などの売買が行えなくなる問題で、経済産業省は30日、電子楽器や音響機器などの中古品のうち、「ビンテージもの」としてマークなしで販売できる約2000機種のリストを公表した。

 経産省は14日、希少価値のある中古電子楽器など、7品目についてはビンテージものとして簡単な手続きで売買を行える「特別承認制度」を発表したが、どの製品を「ビンテージ」とするかなどの詳細は決定していなかった。今回公表されたリストは、楽器販売店数社の協力を得て作成されたもので、リストにない機種も販売業者からの情報に基づいて今後追加する方針。ただし、リストに記載されている機種を取り扱う場合でも、ビンテージ品の販売業者は、事前に同省の承認を得なければならない。

 東京都渋谷区で中古シンセサイザーを販売する、えちごやミュージックの齋藤順さんは、PSE法について「電気的に安全なものが市場に流通する点は歓迎するが、経産省には今後柔軟に対応してほしい」と話す。同店では、マークを取得する検査に必要な機器を20万円程かけてそろえた。中古楽器の買い取り件数は、同店では通常1カ月あたり30件程度だが、PSE法の問題が報じられた3月は、約50件になったという。齋藤さんによると「ローランド社製リズムマシンTR-909は、入荷後一週間ほどで売れてしまいます」と、ビンテージものの人気ぶりを語った。

 リスト作りに携わった楽器店からは「中古品も安全基準は必要だと思うが、ビンテージを定義しろと言われたら、人により価値観が異なり不可能。ビンテージ以外の基準を設けるべきでは」という声もあがっている。【了】

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経済産業省(いわゆるビンテージものに関する特別承認制度について)