PSE法では、電子楽器などの電源アダプターや3芯−2芯変換プラグ(下)にも「PSEマーク」が必要になる=10日、東京・赤坂のエムアイセブンジャパンで(撮影:吉川忠行)

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4月1日から電気用品安全法(PSE法)の規格に適合していることを示す「PSEマーク」のない中古の電子楽器や家電などの売買が行えなくなる問題で、経済産業省は14日、「ヴィンテージもの」の電子楽器や音響機器などを簡単な手続きで売買できる「特別承認制度」を発表した。

 同制度の対象は電気楽器、電子楽器、音響機器、写真焼付機、写真引伸機、写真引伸用ランプハウスまたは映写機の7品目。ただし、旧法の電気用品取締法に基づく表示などがあることや、生産終了品であること、他の電気製品で代替できない希少品であることが条件となる。製品を販売する相手についても、国内でこれらの製品の扱いに慣れた人に限定している。売買時の「簡単な手続き」や、どの製品を希少品とするかなどの詳細は現在検討中で、3月末までに決定する予定だ。

 中古品の売買業者が行う「PSEマーク」の取得検査についても、独立行政法人の産業技術総合研究所を活用して検査機器の無料貸出や、電気保安協会などの協力で無料出張検査サービスを同サービスの開始から6ケ月間行うなど、業者の支援も行う。また、書式の簡素化や全国500ケ所で検査を受けられるようにする。

 この問題は3月末でPSE法が施行された2001年から5年間の経過措置が終わることで、「PSEマーク」のない「ヴィンテージもの」のギターアンプやシンセサイザーなどを店頭で売買出来なくなることが発端。音楽家の坂本龍一さんらが署名活動を行うなど、音楽業界や中古楽器業界などから規制の変更などを求める声が上がっていた。経産省には1日におよそ100から150件の苦情が寄せられているという。

 しかし、以前からPSE法に従って「PSEマーク」を取得してきた業者の中には不満の声もある。今回の措置について同省製品安全課の角井和久課長補佐は「不公平感を感じる方もいるが、困っている方の救済なのでご理解いただきたい」と語った。

 経産省では今後、新聞やテレビでPSE法のPRを行ったり、相談窓口の担当者を増やして対応を強化していく。角井課長補佐は「事業者の負担を軽減するメニューを用意したので、円滑に4月から新制度へ移行したい」と新制度移行への理解を求めた。【了】

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電気用品安全法の経過措置の一部終了に伴う対策について(経済産業省)
経過措置の終了に伴う電気用品の取扱いに関して(経済産業省)