一般人が銃の所持を許可されているアメリカでは学校で学生が銃を乱射する事件が多発しており、自治体によっては学校に駐在する警官によって厳しい持ち物チェックが行われているところもあります。特に新学期がスタートする毎年3月は学校での銃乱射事件が発生しがちだとのことですが、「2020年3月は18年ぶりに学校での銃乱射事件が起きなかった3月だった」と報じられています。

March 2020 was the first March without a school shooting in the U.S. since 2002 - CBS News

https://www.cbsnews.com/news/coronavirus-first-march-without-school-shooting-since-2002-united-states/

2018年に発表された論文によれば、銃火器はアメリカの若者で自動車事故に次いで2番目に多い死因だとのこと。アメリカにおける学校の安全保障問題を取り扱う団体・National School Safety Centerの(PDF)データによれば、2003年3月5日にミシシッピ州のローダーデイル・カントリースクールで15歳の少年がロッカールームで拳銃を乱射するという事件が発生して以降、毎年3月は学校で学生が銃を乱射する事件が発生しています。

しかし、ワシントン・ポスト紙のロバート・クレムコ記者が「2020年3月に学校での銃乱射事件が発生しなかった」と最初に言及しました。



アメリカ国内の銃暴力事件を追跡調査する団体・Everytown for Gun Safetyによると、2020年3月に学校構内で発生した銃撃事件は合計7件。そのうち4件は「誤射によるもの」、1件は「高校のサッカー場で大人同士が撃ち合ったもの」、2件は学生によるものではありませんでした。このことから、「2020年3月は18年ぶりに『学生が学校構内で銃を乱射する事件』が1回も発生しなかった」とCBSNewsは論じました。

2020年3月に学校での銃乱射事件が発生しなかった理由について、CBSNewsは「アメリカ全土の学校が2020年3月初頭から閉鎖され、自宅学習とオンライン授業に移行したため」とみています。

一方で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による不安で、アメリカでは銃や弾の購入に走る人が急増していることを、全米ライフル協会が発表しています。CBSNewsは「学生はCOVID-19という危険に直面しているだけでなく、学校に戻った時に銃乱射事件に巻き込まれる可能性が高まっている」と指摘しました。

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銃の規制を訴える団体・Guns Down Americaのエグゼクティブ・ディレクターであるイゴール・ヴォルスキー氏は、「COVID-19パンデミックが収束し、私たちが物理的な距離を置く現実から抜け出しても、銃は残るでしょう。学校や家庭、職場、コンサート会場での銃乱射事件が増えてしまうのではないでしょうか」と危機感をあらわにしました。